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第025話 坊やだからさ

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 ライズさんも含めてなのだが。

 やっぱり、現代日本の人間って若く見えるんだなと。

 何と女子高生のリサさんのお父さん。

 五つも年下だった。

 しかも、年子でリサさんの上と下に兄と弟がいるそうで……。

 同いか、年上だと思っててごめんなさい。

 過酷な暮らしは老けるんだなと。

 改めてしんみりしてしまった。

 と、一人しょんもりしていると、裾をくいくい。

 下を見ると、爛々と輝くつぶらな瞳の群れ。

 言わずとも伝わってくる無言の圧力。

 これだけの集団が一気に食卓に押し寄せると、大変かなと思ってお預けしてたのだけど。

 もう辛抱堪らんという、見えないしっぽがブンブンされている状態を見てしまうと。

「良いですよ。お楽しみ下さい」

『う☆た☆げ!!』

『ぱーりたぃむ!!』

『ぶれいこー!!』

 精霊さん達が、マッハの勢いで突進していく。

 でも、私を介さないと食べられないぞと思いながら付いていくのだが。

 どうも、食べるだけが楽しみじゃないみたいだ。

 祭りを楽しんでいる老若男女、それぞれに貼り付きにんまり笑顔。

 雰囲気だけでも、お腹が膨れるんだなと。

 そんな事を考えながら、目立たないように給仕。

『しんしょっかん!!』

『もりとだいちのほうせきばこやー』

『ごしょーばん!!』

 村のお姉様方渾身の料理の数々は、精霊さん達を魅了し、虜にする。

 そんな喧騒の極みの中、女性陣によってローストされていたお肉が解禁される。

 一瞬の静寂。

 そして巻き起こる、天元を突破した歓喜の叫び。

 殺到する大きな男の子に苦笑しながら、お姉様方が取り分けていく。

 と、その中で胡乱な動きをするものありける。

 お皿に乗せたお肉に野菜を綺麗にトッピング。

 そんな殊勝なタマじゃ無いだろと眺めていると、いそいそと年若き乙女の下に。

 茹で上がったトマトみたいにキラキラした頬をした男の子がそっと差し出した皿を乙女が受け取った瞬間。

 歓声が上がる。

 あぁ、これがプロポーズかと思うと、周囲でも同じような光景が。

 祭りは出会いの場かぁ……。

 青いな、青い春だな。

 しみじみしていると、そっと差し出されるお皿。

 見ると、リサさんがほいっという感じで無造作に目の前に。

 おもむろに受け取り、はくっと含んでみる。

 鳥の足の肉だろうか。

 皮つきでじっくりとローストされたのだろう。

 表面は油で揚げたようにパリパリとしながらも、歯が通った直後の肉はむちりと弾力。

 強い筋肉の歯応えを抜けた瞬間、ぶじゅっと肉汁が零れそうになるほど溢れる。

 適度に利かせた塩と、酸味と香りのハーブが鳥の臭いを打ち消し、ただただジューシーな食味だけが口の中に広がる。

 あぁ、うまい。

 しみじみとうまい。

 瞑目し、その野趣溢れるご馳走に舌鼓を打っていると。

 耳元で歓声が。

 お、また、カップル誕生かと祝福の拍手の準備をしようと目を開けると。

 周囲を取り囲まれている。

 あれっと思う間もなく、祝福の渦に巻き込まれた。

 ふむ。

 女性に男性が皿を渡すと、プロポーズ。

 ミシマ、理解した。

 男性に女性が皿を渡すと?

 周囲の状況を鑑みた上で、悪戯っぽ表情で舌を出しているリサさんの姿を加味すると。

 それもプロポーズとな?

 ミシマ、理解した……。

 謀ったなぁ!?

 リサ!!
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