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第005話 たった一つの尊き誓い
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思った以上に眠い。
空に堂々と浮かんでいるお月さま三つを見上げながら、眠気を噛み殺す。
あれだけ深夜残業に打ち勝ってきた体は、健全な状態になった事によって、健全な眠りも欲するようになったという事か……。
いや、社畜生活とやらはどれだけ人間の基礎的な営みを狂わせ、壊してきたのだろう。
そんな哲学的命題に目覚めながらも、眠気対策のため駄女神の言ってた事を考えてみる。
そもそも『自分の力を認識出来る程度の能力』とはなんぞいや。
おっさん黙考中……。
と、考えた瞬間、つらつらと頭の中にリストが浮かんできた。
基本情報処理技術者とかCCNPなんかの資格もあれば、数学3.09やら調理4.21みたいに細かい数字が付いているのもある。
あれか、熟練度システムなのかなと考えながら細かく覗いていくのだが。
殆どの項目には(隠蔽)というのが後ろに付いている。
大型自動車免許(隠蔽)みたいな感じ。
この世界にも、能力を閲覧する方法があると言っていたからそれ対策なのかなと。
そんな感じで自分の能力を客観的に覗く事を楽しんでいると、見慣れぬ項目を発見。
精霊視5.00(隠蔽)。
こいつか、こいつが元凶か。
地球時代の生きづらさの象徴を見つけてしまい、地面をコロコロと転がり理不尽を腹に収めた。
「まぁ、今となっては命綱だし……」
そんな感じで自分を慰めながら、焚火の周囲をくるくると盆踊りのように回っている精霊さんを眺めてみる。
「さて、どうするのが良いのやら」
当座の方針としては、セベルさん達に着いていって村に潜り込む。
出来ればそこで身分をゲット出来れば万々歳。
お仕事を得られれば、尚良し。
「で。という話なのですよ」
そう。
村で得られる仕事は、まぁ単純労働だろう。
それで人生を費やす?
第二の人生を?
勿体無いというか、駄女神が降りてきて殴られそうだ。
人生設計、戦略的方針。
要は、将来何になりたいかですよ。
「もう、四十のおっさんだがなー」
自身にノリツッコミを入れながら、健全化した肉体とそこに宿る魂に問う。
私、どうしたいよ?
ぽくぽくと哲学的命題にも似た悩みにうんうんと唸り、ぱたりと背中から地面に倒れる。
「結局はさ……」
誰ともなく、口を開き、言葉に紡いでみる。
「ブラックな環境ってやつが、人生を決めちゃっていたんだよな……」
形にしてみると、どんどんと思考がはっきりとクリアになっていく。
「どうせ、この修羅の世界もブラックでしょ? そんじゃ最終的には自分でホワイトな世界にしなくちゃいけない訳で」
よっと気合を入れて腹筋で起き上がる。
「ホワイトな世界って、単位何よ。村……町……領地。小さいよな……。押しつぶされる。んじゃ、国かぁ」
宴もたけなわになってきた焚火の周りは、明日の朝にはバターが量産されるんじゃないかという勢いと熱意で回転運動を繰り広げていた。
「精霊さんもいるし……。国、興しちゃおうかな。ホワイトな国。やっべ、白い家とか建てちゃいそう」
へらっと笑いを浮かべ、パンと両手で頬を張った。
「過ごす人が幸せに暮らせる国。奪われない優しい国……」
夜空を眺めると、変わらず月光は優しい光を降り注いでいる。
立ち上がり、両手を空に。
月を掴むように、握りしめ。
世界に一つ、誓いを立てる。
「私……私さ、王になるよ……。優しい王様に、さ」
そっと優しく見下ろしてくる三つの月に微笑みを返しながら誓ってみた。
たった一人、たった一つの誓い。
それは、それこそが、始まりの第一歩だった。
空に堂々と浮かんでいるお月さま三つを見上げながら、眠気を噛み殺す。
あれだけ深夜残業に打ち勝ってきた体は、健全な状態になった事によって、健全な眠りも欲するようになったという事か……。
いや、社畜生活とやらはどれだけ人間の基礎的な営みを狂わせ、壊してきたのだろう。
そんな哲学的命題に目覚めながらも、眠気対策のため駄女神の言ってた事を考えてみる。
そもそも『自分の力を認識出来る程度の能力』とはなんぞいや。
おっさん黙考中……。
と、考えた瞬間、つらつらと頭の中にリストが浮かんできた。
基本情報処理技術者とかCCNPなんかの資格もあれば、数学3.09やら調理4.21みたいに細かい数字が付いているのもある。
あれか、熟練度システムなのかなと考えながら細かく覗いていくのだが。
殆どの項目には(隠蔽)というのが後ろに付いている。
大型自動車免許(隠蔽)みたいな感じ。
この世界にも、能力を閲覧する方法があると言っていたからそれ対策なのかなと。
そんな感じで自分の能力を客観的に覗く事を楽しんでいると、見慣れぬ項目を発見。
精霊視5.00(隠蔽)。
こいつか、こいつが元凶か。
地球時代の生きづらさの象徴を見つけてしまい、地面をコロコロと転がり理不尽を腹に収めた。
「まぁ、今となっては命綱だし……」
そんな感じで自分を慰めながら、焚火の周囲をくるくると盆踊りのように回っている精霊さんを眺めてみる。
「さて、どうするのが良いのやら」
当座の方針としては、セベルさん達に着いていって村に潜り込む。
出来ればそこで身分をゲット出来れば万々歳。
お仕事を得られれば、尚良し。
「で。という話なのですよ」
そう。
村で得られる仕事は、まぁ単純労働だろう。
それで人生を費やす?
第二の人生を?
勿体無いというか、駄女神が降りてきて殴られそうだ。
人生設計、戦略的方針。
要は、将来何になりたいかですよ。
「もう、四十のおっさんだがなー」
自身にノリツッコミを入れながら、健全化した肉体とそこに宿る魂に問う。
私、どうしたいよ?
ぽくぽくと哲学的命題にも似た悩みにうんうんと唸り、ぱたりと背中から地面に倒れる。
「結局はさ……」
誰ともなく、口を開き、言葉に紡いでみる。
「ブラックな環境ってやつが、人生を決めちゃっていたんだよな……」
形にしてみると、どんどんと思考がはっきりとクリアになっていく。
「どうせ、この修羅の世界もブラックでしょ? そんじゃ最終的には自分でホワイトな世界にしなくちゃいけない訳で」
よっと気合を入れて腹筋で起き上がる。
「ホワイトな世界って、単位何よ。村……町……領地。小さいよな……。押しつぶされる。んじゃ、国かぁ」
宴もたけなわになってきた焚火の周りは、明日の朝にはバターが量産されるんじゃないかという勢いと熱意で回転運動を繰り広げていた。
「精霊さんもいるし……。国、興しちゃおうかな。ホワイトな国。やっべ、白い家とか建てちゃいそう」
へらっと笑いを浮かべ、パンと両手で頬を張った。
「過ごす人が幸せに暮らせる国。奪われない優しい国……」
夜空を眺めると、変わらず月光は優しい光を降り注いでいる。
立ち上がり、両手を空に。
月を掴むように、握りしめ。
世界に一つ、誓いを立てる。
「私……私さ、王になるよ……。優しい王様に、さ」
そっと優しく見下ろしてくる三つの月に微笑みを返しながら誓ってみた。
たった一人、たった一つの誓い。
それは、それこそが、始まりの第一歩だった。
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