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第028話 新しい出会い
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クローシャードの町での予定はそう多くなく。
少なくとも領都まではささっと進みたいねというのがアイシャさんとの相談の結果です。
それでも、領都で服を買いに行けるレベルの服を買うのやら、身分証明をしにいくのやら、鍛冶屋さんで小屋の分の金物の補充をするのやら、結構ばたばたと忙しく。
さくっとこなしましょうという事で、服屋に到達したのですが……。
「えぇ!! 薬師の方なんですか? でも、お肌綺麗ですし、日にも焼けた感じがしないですし。うわぁ……すべすべじゃないですか。それに潤ってぱつぱつですし、ご令嬢の方とばかり思っていました」
「えぇ……!? え、えへへ……」
アイシャさんが行くお店行くお店で褒めたたえられるのが癖になったのか、中々服を決めてもらえず、うろうろと。
いや、確かにすぱーんっと汚れレイヤを取り除いたみたいに綺麗になったのは確かですし、本人も意識してお淑やかにしているのでご令嬢っぽいというのは認めます。
しかし、長い……。
店の前のちょっとした段差に座り込んで飽きることなく続く営業トークをビージーエムに今日の予定をずりずり後方にずらすのでした。
「ほんっとぅに、すみません!!」
夕食の席で、土下座せんばかりに謝る姿を見て、嘆息しか出ません。
宿代が勿体ないから今日中に片付けて出発しちゃいましょうと本人が言っていたのに、結局服屋巡りだけで一日が終わったのですから。
なんでやねんと。
中々買い物に町まで出る事も出来ないので、年頃の女の子のムーヴとしては納得出来ますが、もうちょっと手加減して欲しかったなと。
罰としてお風呂無しを告げたのですが、殺生なという事で許すのだから、まだまだ甘いなとは思います。
で、次の日。
服屋に秋波を送るアイシャさんに昨日買ったでしょとツッコミながら、目的の何でも屋さんに向かう。
何でも屋さん。
こちらの世界、創造神の爺がHAHAゲームっぽくしちゃうYoと思って設定したに違いないと思うのだけど、ダンジョンというモノがありまして。
魔物の類いがそこに蔓延っているらしいのです。
で、そこを探索するとですね、神様由来なアイテムをゲット出来ちゃうと。
神ェ……!! っと血涙を流しながらツッコミたいのですが。
そこから出てきたモノに通信機っぽいのがありまして。
魔力を使って通信するという。
それを各国は所持しているので、お話が出来ちゃうよと。
その上ある程度数が余ってきたので、民間に貸し出しちゃうよと。
結論としては、役所兼何でも屋みたいな施設が出来たそうです。
まぁ、よくある冒険者ギルドを役所とハロワとがっちゃんこした感じですね。
国民がそこに行くと身分証明書を発行してもらって、お仕事を斡旋してもらえると。
そこだけなんで文明が飛びぬけるねんっと思いますが、神の思し召しらしく。
そこここに創造神の爺の顔が浮かんでくるので、かなり胸糞悪いのですが。
旅で移動するなら、証明書は必需だそうで。
てくてくと二人で向かいます。
石造りの建物は結構規模が大きく、中々に凄いなと思いながら開きっぱなしの観音扉を潜ると……。
結論としては、処理に時間はかかりませんでした。
いやぁ、エジライさんの信用度が高い、高い。
お陰で殆ど何も聞かれず、そのままの情報で身分証明書が作れました。
これで俺もこの世界の住人だ!!
お役所で証明がもらえたので、やっとそう名乗る事が出来ました。
上機嫌でアイシャさんと一緒に鍛冶屋に向かったのですが……。
そちらでひと悶着が待っているとは、全く思ってもみなかったです。
てくてくと鍛冶屋さんに併設している売店に入って、釘などを見ていると。
「あほんだらぁ!! 頼まれても二度と来るかぃ!!」
「あぁ、そうしてくれ!!」
げしげしと男性を蹴っている小さな女の子がカウンターの内側に見える。
カウンターの女性店員も頭を抱えているので、何かあったのかなと思っていると……。
「ええ匂いがする……。嗅いだ事のない……。いや、ちゃう……。懐かしい? でも、ありえへん……」
気付かない間の早業で、くんくんと背中から嗅いでいる女の子。
あまりの事態に飛びのいて、アイシャさんの背後に逃げた。
なんか、怖い。
「えと……」
俺が、ひょこっと警戒しながら顔を出して訪ねようとすると。
「ちゃうねん、ちゃうねん。あやしいもんとちゃうよ?」
ひらひらと手を振りながら、女の子が告げると。
「うちの名前は、エルディア。よろしゅうな」
名乗って、にっこりと大輪の笑みを浮かべた。
少なくとも領都まではささっと進みたいねというのがアイシャさんとの相談の結果です。
それでも、領都で服を買いに行けるレベルの服を買うのやら、身分証明をしにいくのやら、鍛冶屋さんで小屋の分の金物の補充をするのやら、結構ばたばたと忙しく。
さくっとこなしましょうという事で、服屋に到達したのですが……。
「えぇ!! 薬師の方なんですか? でも、お肌綺麗ですし、日にも焼けた感じがしないですし。うわぁ……すべすべじゃないですか。それに潤ってぱつぱつですし、ご令嬢の方とばかり思っていました」
「えぇ……!? え、えへへ……」
アイシャさんが行くお店行くお店で褒めたたえられるのが癖になったのか、中々服を決めてもらえず、うろうろと。
いや、確かにすぱーんっと汚れレイヤを取り除いたみたいに綺麗になったのは確かですし、本人も意識してお淑やかにしているのでご令嬢っぽいというのは認めます。
しかし、長い……。
店の前のちょっとした段差に座り込んで飽きることなく続く営業トークをビージーエムに今日の予定をずりずり後方にずらすのでした。
「ほんっとぅに、すみません!!」
夕食の席で、土下座せんばかりに謝る姿を見て、嘆息しか出ません。
宿代が勿体ないから今日中に片付けて出発しちゃいましょうと本人が言っていたのに、結局服屋巡りだけで一日が終わったのですから。
なんでやねんと。
中々買い物に町まで出る事も出来ないので、年頃の女の子のムーヴとしては納得出来ますが、もうちょっと手加減して欲しかったなと。
罰としてお風呂無しを告げたのですが、殺生なという事で許すのだから、まだまだ甘いなとは思います。
で、次の日。
服屋に秋波を送るアイシャさんに昨日買ったでしょとツッコミながら、目的の何でも屋さんに向かう。
何でも屋さん。
こちらの世界、創造神の爺がHAHAゲームっぽくしちゃうYoと思って設定したに違いないと思うのだけど、ダンジョンというモノがありまして。
魔物の類いがそこに蔓延っているらしいのです。
で、そこを探索するとですね、神様由来なアイテムをゲット出来ちゃうと。
神ェ……!! っと血涙を流しながらツッコミたいのですが。
そこから出てきたモノに通信機っぽいのがありまして。
魔力を使って通信するという。
それを各国は所持しているので、お話が出来ちゃうよと。
その上ある程度数が余ってきたので、民間に貸し出しちゃうよと。
結論としては、役所兼何でも屋みたいな施設が出来たそうです。
まぁ、よくある冒険者ギルドを役所とハロワとがっちゃんこした感じですね。
国民がそこに行くと身分証明書を発行してもらって、お仕事を斡旋してもらえると。
そこだけなんで文明が飛びぬけるねんっと思いますが、神の思し召しらしく。
そこここに創造神の爺の顔が浮かんでくるので、かなり胸糞悪いのですが。
旅で移動するなら、証明書は必需だそうで。
てくてくと二人で向かいます。
石造りの建物は結構規模が大きく、中々に凄いなと思いながら開きっぱなしの観音扉を潜ると……。
結論としては、処理に時間はかかりませんでした。
いやぁ、エジライさんの信用度が高い、高い。
お陰で殆ど何も聞かれず、そのままの情報で身分証明書が作れました。
これで俺もこの世界の住人だ!!
お役所で証明がもらえたので、やっとそう名乗る事が出来ました。
上機嫌でアイシャさんと一緒に鍛冶屋に向かったのですが……。
そちらでひと悶着が待っているとは、全く思ってもみなかったです。
てくてくと鍛冶屋さんに併設している売店に入って、釘などを見ていると。
「あほんだらぁ!! 頼まれても二度と来るかぃ!!」
「あぁ、そうしてくれ!!」
げしげしと男性を蹴っている小さな女の子がカウンターの内側に見える。
カウンターの女性店員も頭を抱えているので、何かあったのかなと思っていると……。
「ええ匂いがする……。嗅いだ事のない……。いや、ちゃう……。懐かしい? でも、ありえへん……」
気付かない間の早業で、くんくんと背中から嗅いでいる女の子。
あまりの事態に飛びのいて、アイシャさんの背後に逃げた。
なんか、怖い。
「えと……」
俺が、ひょこっと警戒しながら顔を出して訪ねようとすると。
「ちゃうねん、ちゃうねん。あやしいもんとちゃうよ?」
ひらひらと手を振りながら、女の子が告げると。
「うちの名前は、エルディア。よろしゅうな」
名乗って、にっこりと大輪の笑みを浮かべた。
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