一坪から始まる新世界創造

文字の大きさ
上 下
6 / 51

第006話 今日の神価指数は底を打った形で微増傾向です。

しおりを挟む
 あわあわと女の子と幼女の頭を撫でながら慰めたところ、やっとの事で落ち着いた。



 もうね、精神力枯渇中ですよ。



 幼女なんて女の子が泣いているのに釣られて泣いているから、自分が泣いている理由とか分からないので、泣き止まない。



 指が外れる手品とか繰り出して、女の子と二人這う這うの体で泣き止んでもらった。



 現在、絶賛花丸笑顔です。



 泣いたカラスがもう笑っている、ですよ。



「助けて頂いて、ありがとうございます」



「あぃがとーまーしゅ!!」



 ぱーどん?



 女の子から開口一番お礼を言われたのだけど、状況が掴めない。



 とりあえず、分かる範囲で説明してもらったのだけど。



 女の子が幼女と一緒に森へ採取に出かけました。



 いつも通っている森なので安心していたのですが、異音がしたので隠れていたらドラゴンさん発見。



 隠れていたら、ドラゴンさんに見つかってあわやの時。



 颯爽と俺、登場。



 で、森に火が付いたり凄い鳴き声が聞こえて大惨事になっているのをガタガタ二人で震えながら耐えていると、静まり返ったと。



 てくてく出ていくと、広場に真っ赤な俺、発見。



 声をかけたら、倒れちゃったので、慌てて村人総出で運んでくれたそうで。



 あぁ、森林火災も村の人々のお陰で鎮火済みです。



 村の近くの森で火災とか、まじあり得ない事態なので。



 良かったです。



 あの不定形に成り果てた生ゴミに関しても、埋めてくれたらしく。



 そのままにしていると野生生物がはくはくと食べに来たり、悪い病気が流行りそうなので、そっちもぐっじょぶです。



 結論から言いますと。



「すみません、運んでくれてありがとうございます」



 逆お礼状態ですね。



 という訳で、お礼vsお礼のお礼合戦を制した俺は、現状把握に努めた訳ですが。



 村の長老曰く、開村六十年を経てドラゴンなんて高空を飛んでるのを数回見た程度らしく。



 降りてきて襲ってくるなんて初めての事。



 それを聞いた俺の心は、ドラゴンが日常にある世界かよという葛藤と、あんまり遭遇頻度は高くないのかという安心と、絶対に創造神という邪神が悪さをしたなという確信で三分割な訳です。



 村に関しては、人口三百人強の規模だそうで。



 王国に所属していて、その辺境の果てに位置しているようです。



 主要な産物は木材と農作物となります。



 ちなみに。



 女の子の名前は、アイシャさん。



 予想と同じく十六歳とのこと。



 幼女はクローネちゃん。



 四歳の女の子だそうです。



「にーちゃは、なぃするひと?」



 幼女の純粋な瞳が、現在絶賛ニートの心を抉る。



 いやぁ、人と会うならカヴァーストーリーの一つも考えないと駄目だろうと今になって思うのですが。



 この世界に出現した途端、ドラゴンさんとガチバトルですよ?



 そんな余裕ありません。



「お……お兄さんはね、旅人なんだよ?」



 やや上擦った声で最後疑問形になりましたが、きちんと伝えられました。



「ゎーぃ!! たぅぃと、たぅぃとぉ!!」



 そんな叫びと一緒に、扉から飛び出していく幼女。



 ぅゎょぅι゛ょっょぃ。



 残ったアイシャさんと話の続きと相成ります。



「では、記憶を失って彷徨っていたと?」



「這う這うの体で彷徨っていたのですが、お二人の姿を見て、あぁ助けないとと思いまして」



 取り敢えず、なんらかの原因で記憶を失って彷徨っていたら、ドラゴンに襲われているのを見つけて飛び出した感じに出自を説明した訳で。



「記憶ははっきりしないのですが、何とかドラゴンを倒した……と思います」



 ドラゴンさんを倒したのは失った記憶の中の未知なる力という形でまとめてみました。



 その辺でアイシャさんも納得してくれたらしく、村人に伝えてくれるそうです。



 どうもアイシャさん、一族で薬師という薬草を使ったお医者さんをしているそうで、その祖父曰く俺の病状は精神的な過労だそうなので一日ゆっくり休んで下さい、と残して部屋を出ていきました。



 という訳で、一人になったのですが。



 はい、ちょっと考えてみよう。



 まず、森スタートとはいえ、人里の近くに転移してくれた。



 これは創造神好感度上昇基調。



 少なくとも、即死は求めていなかったと。



 次にドラゴンさん急襲。



 これに関しては、早々に起こる話じゃないっぽいので、関与が疑われると。



 死ななかったからいいものの、創造神好感度急降下案件。



 ドラゴンさんに関しては機転を利かせて倒せたので、『一坪の世界』は良いものだ。



 その点は創造神好感度急上昇といっても良い。



 そして、無事に生き残ったはいいものの、住処は借り物、明日の食事の行方すら分からない訳で。



 早急な貨幣獲得手段も無いし、ニートスタートには閉口するので創造神好感度を下げる圧力が高い感じ。



 結論として神価指数は大幅下落の後、底を打って微増な感じで邪神扱いは相変わらず。



 今度創造神の神殿とかに行ったら、なまず髭を書き加えるのはマストだなと。



 明日からの生活、どうしよう……。



 そんな事を考えながら、空腹も感じず、ぱたりと意識を失うかのように眠りの帳を引いたのでした。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。 ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。 『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』 『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』 そんな感じ。 『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。 隔週日曜日に更新予定。

異世界坊主の成り上がり

峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ? 矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです? 本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。 タイトル変えてみました、 旧題異世界坊主のハーレム話 旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした 「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」 迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」 ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開 因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。 少女は石と旅に出る https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766 SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします 少女は其れでも生き足掻く https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055 中世ヨーロッパファンタジー、独立してます

僕だけが違う能力を持ってる現実に気付き始める世界

夏目きょん
ファンタジー
僕には特殊な能力がある。しかしまだ誰もその能力に気づいていない。そう僕ですら…この能力を知った時世界は!? ◇◆◇ 昔々、この世界には魔族と人間と獣族がいました。 魔族と獣族と人間はいつも戦っていました。 しかし、魔族・獣族と人間の間には天と地程の力の差がありました。 だが、人間には彼らにはない『考える力』がありました。 人間は考えた末、【浮遊島】へ移住し、魔族と獣族の争いに巻き込まれないようにしました。 しかし、人間はあと一歩のところで食料の確保をし忘れるという大きな失態を犯してしまう。 これを『食料難時代』と呼ぶ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 人類は食料確保の為、定期的に下界、つまり魔族と獣族のいる場所に降りる様になる。 彼らを人は『フードテイカー』と呼ぶ。

Fragment-memory of future-Ⅱ

黒乃
ファンタジー
小説内容の無断転載・無断使用・自作発言厳禁 Repost is prohibited. 무단 전하 금지 禁止擅自转载 W主人公で繰り広げられる冒険譚のような、一昔前のRPGを彷彿させるようなストーリーになります。 バトル要素あり。BL要素あります。苦手な方はご注意を。 今作は前作『Fragment-memory of future-』の二部作目になります。 カクヨム・ノベルアップ+でも投稿しています Copyright 2019 黒乃 ****** 主人公のレイが女神の巫女として覚醒してから2年の月日が経った。 主人公のエイリークが仲間を取り戻してから2年の月日が経った。 平和かと思われていた世界。 しかし裏では確実に不穏な影が蠢いていた。 彼らに訪れる新たな脅威とは──? ──それは過去から未来へ紡ぐ物語

蟻魔王ございます

蟻村 和希
ファンタジー
暴君と呼ばれた最強の魔王アングルクス=ドラドは部下の裏切りに合い殺されてしまう。 しかし、死んだ彼はなんと蟻の魔物に生まれ変わっていたのでした。 これはそんな蟻に生まれ変わった最強の魔王が、裏切った部下に復讐を誓うお話であります。 稚拙かつ経験もありませんが完結を目標に頑張っていきたいとおもいます なろうで先行投稿している作品です なろうとは少しだけ改稿している部分があります

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...