ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした

【番外編】バレンタイン

⚠︎番外編です申し訳ございません⚠︎



駒井さんと暮らし始めて初めてのカップルイベントがやってきた…。

そう、バレンタイン。


彼に出会って約1ヶ月が立ち、お母さんとも【ピー】なり、やっと生活が落ち着いてきたある日のこと…。



「沙織ちゃんさ、春憂に何作るの？」


駒井さんがお風呂に入り居間でテレビを見ている時、美津さんが雑誌を持って隣に腰を下ろした。

「…バレンタインですか？」

ほぼほぼ当たりだろうけど一応確認すると、彼女は大きく頷いて「もちろんー」と笑った。



「…あの、お金も…あと…ものすごい不器用で作れないんです」


目を逸らしてそういうと、美津さんはあははと笑って「難しいのじゃなくていいんだよー」と背中を叩いた。

テーブルに雑誌を開いて「特集載っててさ～」とページをめくる。


「簡単で低価格とか低カロリーとか…いろいろあるよー」

目に写ったメニューは確かに簡単そうで豊富なラインナップだった…けど、


「あの…溶かして流し込む以外できないんです」

小声でそういうと、「じゃあケーキ系はやめよっか。トリュフとか？」とページをめくる。

「あの！」


突然声を大きくした私に美津さんは一瞬止まって「ん？」と目を合わせる。


「…私、トリュフも生チョコも失敗するんです…」




その言葉に、テレビを見ていたカズさんが振り返った。