孤児のTS転生

シキ

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孤児と大罪を背負う英雄

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アルキアンによる領地の熱弁も終わったところで本題である依頼のことに話が移っていく。
何でもここ最近失踪した住民が海底街にいっているということは把握しておりその海底街に誘導している教会の神官にはもう目星がついているらしい。
だが、彼らが獄中で言葉にした神のための生贄というその神はどれ程の危険性を持っているのかがまだ不明瞭であるため処罰を下しにくいとのこと。

生贄を打ち切ればその神が地上に這い出て国を滅ぼすのではないかという懸念や我らが信ずる海神と何が違うのか。
そこが特定できないため上手く動くことができないらしい。

ということはあの私が行った洗脳を行う薬屋は教皇にはもう見つかっていて見逃されながら営業をしているというわけか。
…何とも滑稽なことだろうか。
まぁどうにもその洗脳を止めれば足がかりがなくなってしまうからこちらとしても営業を続けてもらわないと困るわけなのだが。

「そこでだよ…僕達は明日海底街の最奥、深海の神殿へ行くんだよ。君ほどの優秀な護衛がいてくれたら僕としても嬉しいんだが…来る気はないかい?」

深海の神殿というのはこの国の建国の王女と奉る海神様という存在が眠るとされるこの国のトップシークレットだ。
本にあった建国神話にも幾つかの記載があったし面白そうではあるが…こうさ第六感というべきかわからないがヤバいやつがいるっていう予感がバシバシ伝わってくる。
具体的には眉がピクピクする…こういう時って大抵何もない時の方が多い気がするが今回に限っては本当に危ない目に遭う気がするな。

「わかったよ…ただし行くだけだよ?」

だが頭で考えていることとは別に口からはそこに行く意思を発してしまう。
まぁ好奇心には勝てないからね…それに建国神話には確か神殿の神がいる間には不可侵の絶対的な防護陣が貼られておりそこに入れる者は神託を受ける教皇とその教皇に許可されたもののみが入れるって記載があったからね。
その防護陣ってのがこの国最古の魔法陣なのではないかと睨んでいるわけだよ。

確か別の本では神を神殿に封じたとも書かれていたからそこからの攻撃は通さない許可をしたものにしか干渉できない更に言えば内側から出ることもできない牢獄とも言える封印なのではないかとね思うわけなんですよ。
そんな面白そうで研究し甲斐があるものに食いつかないわけがないではありませんか。

「それを聞けただけでも嬉しいよ…それじゃそうだね…気難しい話はここまでとして今日はちょっと変わった遊びでもしようではないか」

そうしてアルキアンは壁を方を向き「片付けてくれ」と頼むとテーブルにあった資料をいつから私たちの後ろにいたのか気づかなかったメイドが手早く片付ける。
メイドがその際にテーブルの上に幾つかの道具を置き足音も立てず目の前からまたいなくなってしまった。

目に見えていたのに瞬きひとつすると消えるってのは何度体験しても驚くばかりだ。
コレでも冒険者としての技術である気配察知には自信があるのだがそれすら気づけない気配の消し方には敵意を持つのではなく称賛をしてしまう。
全くコレでレインバード領最高の暗部であり定年で退職した元メイド長なのだから過保護であるといわざるおえないな。

「正に『神出鬼没』とでも言いたそうな顔をしてるねレナ…さて今日はこのゲームをしようか互いが眠くなるまでさ」

テーブルの上に置かれてるのは一見すると召喚札という本来は魔物を封じてあり資格を持つものが使うことで封印を解き魔物を従わせることができる代物に見える。
…だがコレは当然偽物だ。
コレはとある幻想魔法使いというユニークな職業に就いた者が作り出した魔力を流すことでその幻想を作り出す摩訶不思議なカードバトル専用の札だ。

ルールは簡単で魔物が載っているカードを5枚まで選びそこに書かれたコストを支払って幻想を召喚する。
コストは大体手札のこのカードを捨てるとかだがたまに他のカードを捨てるものもありそれは使い回しができるたりして1ターンに一度山札の上から一枚だけカードを手札に加えることもできる。
そしてその魔物のカードに記載されたステータスで相手を攻撃して先に相手の最初からあるHP5000を削れば勝利する。

因みにカードに書いてある魔物は実際に3D映像の様にカードの上に映し出される。
流石は幻想を操る魔法使いが作っただけある…精巧な作りだ。
自分のターンには一度しか召喚はできないし召喚したターンは召喚酔いという名目で攻撃もできない仕様となっている…かなり現代っ子にはもどかしいゲーム内容だがこの異世界にとっては革新的なゲームなのだ。

「それじゃあやろうか…そういえばレナはこのゲーム知ってるかい?それにこのカードも…なかったら貸すよ」

「いいや結構だよ…私もこのゲームは知ってるし何度か一人でやったことはあるからね」

この幻想札というカードはユニークな職業である幻想魔法使いが手間暇かけて作っているため高そうなのだが…実際は庶民でも手が届く値段で売られている。
まぁそれでも結構なお値段なんだけどね…相手がいなかったってだけで私もこういう類の者は身体が変わっても生来の持つ意思があるためつい集めてしまう。

思い浮かべるのは最強のカードを持って戦う自分…そう実にかっこいいではないか?

「へぇレナもコレ集めてたんだね…(持ってなかったら貸してあげようと思ってたんだけど)…じゃあ始めようか?」

その一声でアルキアンはテーブルに置いてあるカードの束をシャッフルして5枚山札の上からカードを手に取った。
私もそれに続き虚空庫からデッキを取り出して5枚山札の上から捲り手に取り…そうして時間は過ぎ夜は朝に向けて時間を進めていくのだった。
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