孤児のTS転生

シキ

文字の大きさ
上 下
104 / 196
孤児の学園生活

104

しおりを挟む
周りの人が一斉にこちらへと振り向き私は一瞬にして注目の的となってしまった。
今鏡を見れば絶対肌が赤くなっていることだろう。

私はそんなことを考えながらどうしてあの依頼者が私のいまの容姿を見て私だと気づいたのかについて考えていた。
まぁ…その結果たどり着いた答えというものが特徴的な仮面をつけた低身長の奴だという平凡な考えぐらいしか思いつかなかったわけだが…。
そんなことよりだこれからどうするべきだろうか?
誘いを受けるべきかそれとも魔術で姿を消して退散するべきか…。

殿下と言われた人物の強さは今までの戦いの感覚で言うと「まぁそこそこやるじゃん」的な感じなんだが。
戦えば周りに被害が出るがそこそこ苦戦を強いられるぐらいには強いだろうな。
というかこの殿下とかいう奴周りと比べてマジで強いな…いや周りの奴らが弱いのか?

「……トンガ子爵子息、貴様まさかとは思うが自ら戦わず子供に戦わせるつもりか?」

「何か問題お有りで?使えるものは使っておかなければ損ですぞ?」

そう言いトンガ子爵子息は後ろに下がりつつそのように言葉を発する。
トンガ子爵子息が後ろに下がるごとに聞いていた観衆も後ろへと下がりその場には私と殿下のみが取り残されてしまった。
半径で言えば100mほどだろうか…まぁ戦闘というのはそれだけ危険ということだろう。

私はというとその場で考え事をしていた為反応が遅れてしまいその場に取り残されてしまった。
隙をついて後ろへと後退しようと思ったんだがやはり身長差というものが存在する為力の関係上後ろへと無理矢理いくこともできずその場に取り残されてしまったわけだ。

んで、殿下はというとその場で下を向きながらなんかプルプルと震えている。
何かな…一時代前に流行ったスライムの真似かな?
そうして私が硬直すること数秒後、殿下はいきなり前を向き引き抜いていた剣を私へと向けてから腰につけていたもう一本の剣を取り出し構えた。

「いいだろう…そこまでワタシをコケにするなら取りあってやろうではないか…」

そう殿下がいうと観衆は盛り上がりを見せる。
そうして開戦のための合図が観衆の中から出てきた一人の男性により取り行われる。

「これよりレイベル・イードラ・ロード・カイリエ殿下対ピグル・トンガ・ヴァイル・アーベント子爵子息の契約冒険者…えぇっと名前は…冒険者との対決を開始する!それでは始めッ!」

そう言われ私の意識は戦いへと集中していく。
頭に被せていた仮面を顔面に取り付け最小限の動きで虚空庫からナイフを二本取り出し外套で身を包み相手の出方を見るために後ろへとバックステップをして一旦距離を取る。

「すまないな…名前も知れない冒険者…だがワタシの目的のために加減はできない。それでは行くぞッ!」

そう言った瞬間姿がブレたと思考した時にはレイベルと言われた人物は目の前におりその両手に持つ剣で私を薙ぎ倒そうとしていた。
だがここで倒される私でない。
その攻撃をナイフで受け流しながら小さい身体を駆使してその攻撃を避けていく。
だが受け流した剣が地面へと着きそうになった時途端にその剣は方向修正されもう一度攻撃をしてくる。
だが私はそれを避け続ける…これではキリがない。

私はレイベルの剣撃が思ったより速いということで反撃する余裕もなくただただ避けるという選択肢しかなかった。
さてここはどう乗り越えるしかないわけだが…ここは多少無茶してでも切り抜けるか。

深呼吸を行いながら心臓から魔力を片腕に集め収束させつつ身体全体に反動に耐えられる程度の身体強化を施す。
周囲の空気は静電気を起こしたかのようにパチパチと音が鳴り始め気づけば粒子が目に見えるほど広がっておりそれが少しずつ私の腕に集まっていく。
それを見たレイベルは即座にその場を逃げようとしその場をその異常なまでの脚力で逃れようとするがそれを私は逃さない。

同時進行で違う技を使う。
これは並行思考があった頃から主に魔術で使ってきたことだが今回は違う。
一つ思考は相手を仕留める為に魔力を集める為に使いもう一つの思考は相手を追い詰める為の思考を行う。
それが狩りにとって一番大事なことであると私は考えた。
だからこそ私は追い詰める為に一つの技を開拓したのだ。

足に力を入れ地面と踵の間の空間に魔力と空気を収束させる。
足は反動に耐えられるように身体強化で固める。
私が思いついたものは単純明快で空気の圧縮により集まった熱エネルギーを使いそれを急激に更に圧縮することで起こる爆発を利用して推進力を出すというものだ。
まぁその分足へのダメージがやばいがまぁそこはファンタジな能力で補うというわけで…。

「逃すかッ!我流戦闘術…膩ノ術『神風脚』ッ!」

踵を思いっきり地面へと叩きつけ赤い光と共に前へと押し出される。
そうして後から聞こえる爆撃音。
ちなみにだがこの神風脚…一切ブレーキが効かない仕様で何かにぶつかるか途中で脚を地面にめり込ませないと止まることができないクソ仕様であります。
まさに自傷ダメージ必須の神風特攻の如く…まぁ技としては終わっているしネタ枠だねこれ!

というわけで足に身体強化ッ!
からの脚を地面へとめり込ませその勢いで行くぜッ!

片足でバランスをとり腕に更なる身体強化を施す。
空気中に散らばる粒子は更に煌めきを増し赫く、更に赫く輝きだしてバチバチという音が鳴り響く。
てはもはや電気のように揺らめきその原形から遠く離れた形状へと変化を遂げまさにその手はナイフと一体化しているかのように鋭い電撃の刃と化している。

「我流戦闘術壹ノ術…『緋槍』ッ!」

そうして私は腕を突き出しその貫くことに特化したナイフをレイベルへと放った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

転生したら最強チートの美少女(幼女-ロリ-)で創世神だった件。~異世界生活をして行くうちに、チートが更にチートになって行く私は好きですか?~

白咲焰夜
ファンタジー
【第2章完結】 皆様、誠にありがとうございます!! 〜あらすじ〜 プロゲーマーでクソ社畜な安枝凪 信長(あしな のぶなが)は、自分のパソコンから謎のメールが来ていて、そのメールを開くと……ゲームアバターの設定を作る場面に切り替わり……名前と年齢と性別を記入し、後のステータスや種族などは、運営に任せた結果……パソコンの中に入って転生してしまった?! しかも、転生先は異世界だけど…… 外見は、幼女!? そして、種族は……創世神?! マジかよ!? とりあえず、元の世界に帰る方法は…… いくら探しても……無かった。 もういいや……もういっその事…… 死んで転生したと思って 第2の人生を謳歌するか! え? 何? 神の御加護で、 スライムとかフェンリルとかドラゴンとか魔王とか覇王とか勇者とかなどになれて、創造や全知全能を持つことが出来る!? あれ、私……最強……なのか……? チーレム(チートとハーレム)×スローライフ(?)& チートステータスが売りのハイファンタジー小説! この先を紡ぐ物語を……ゆっくりとお楽しみくださいませ~♪ 元の小説のタイトル…… 転生したら、スライム・ドラゴン・剣の両立チートスキルを獲得した!? ……です! どうか、ご愛読の方を……よろしくお願いします!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

チートスキルを貰って転生したけどこんな状況は望んでない

カナデ
ファンタジー
大事故に巻き込まれ、死んだな、と思った時には真っ白な空間にいた佐藤乃蒼(のあ)、普通のOL27歳は、「これから異世界へ転生して貰いますーー!」と言われた。 一つだけ能力をくれるという言葉に、せっかくだから、と流行りの小説を思い出しつつ、どんなチート能力を貰おうか、とドキドキしながら考えていた。 そう、考えていただけで能力を決定したつもりは無かったのに、気づいた時には異世界で子供に転生しており、そうして両親は襲撃されただろう荷馬車の傍で、自分を守るかのように亡くなっていた。 ーーーこんなつもりじゃなかった。なんで、どうしてこんなことに!! その両親の死は、もしかしたら転生の時に考えていたことが原因かもしれなくてーーーー。 自分を転生させた神に何度も繰り返し問いかけても、嘆いても自分の状況は変わることはなく。 彼女が手にしたチート能力はーー中途半端な通販スキル。これからどう生きたらいいのだろう? ちょっと最初は暗めで、ちょっとシリアス風味(はあまりなくなります)な異世界転生のお話となります。 (R15 は残酷描写です。戦闘シーンはそれ程ありませんが流血、人の死がでますので苦手な方は自己責任でお願いします) どんどんのんびりほのぼのな感じになって行きます。(思い出したようにシリアスさんが出たり) チート能力?はありますが、無双ものではありませんので、ご了承ください。 今回はいつもとはちょっと違った風味の話となります。 ストックがいつもより多めにありますので、毎日更新予定です。 力尽きたらのんびり更新となりますが、お付き合いいただけたらうれしいです。 5/2 HOT女性12位になってました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性8位(午前9時)表紙入りしてました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性4位(午後9時)まで上がりました!ありがとうございます<(_ _)> 5/4 HOT女性2位に起きたらなってました!!ありがとうございます!!頑張ります! 5/5 HOT女性1位に!(12時)寝ようと思ってみたら驚きました!ありがとうございます!!

処理中です...