孤児のTS転生

シキ

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孤児のダンジョン生活

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ヨグと二人でダンジョンを抜け探索者ギルドに立ち寄ると中はガランとしており朝とは違う風景が広がっていた。
やっぱり冒険者と探索者というのは違うみたいだ。
冒険者ギルドの時は朝から晩までギルドに入り浸る奴が多いのに対して探索者ギルドは朝から晩までダンジョンに潜って活動するため入り浸る奴はあまり見かけない。
まぁそれは土地によって違ってくるのかもしれないが。
そんなことを考えながら受付へと移動し朝にも対応をしてもらったドローさんのところへと移動した。

「ヨォ!ヨグ坊と嬢ちゃん初めてのパーティでの探索はどうだった?」

ヨグはまるで親子の様に今日あったことをドローさんへと喋りかけている。
そんな中で私はというとあまり興味がないので今日倒してドロップした素材やらアーティファクトやらを勝手にヨグの鞄からカウンターに出していた。

今日の収穫物はゴブリンやスライムからドロップした魔石が8個。
そしてレアモンスターのゴブリンライダーからドロップした『騎狼の上革』が1枚。
そして5層の階層主のブルファーイからのトレジャーボックスで手に入れた猫じゃらしと黒い角笛と銀の鍵穴のネックレス。

そんなこんなで私がカウンターで素材を出しヨグとドローさんとの会話が終わるのを待ち続けること10分が経過しようやく長い会話が終了した。
その間私が何をしていたかというと探索者ギルドの本棚にあった『初級編!誰でもできる魔導士のお仕事』という本を速読して頭の中に叩き込んでいた。
コレで一応は簡単な魔導士の基礎は覚えれた感じだ。

「この覚えた基礎を元に論文と照らし合わせて魔術を作成するというのも面白そうだな…」

私はその考えが思い浮かんだ瞬間に研究欲というか探究心が湧き上がった感じの感覚に陥った。
ちなみにいうと魔導士に関する本はこれだけで他にも魔法についての本はあったが魔術師についての本は一つもなかった。
そこまで不遇なのかよ魔術師。

そして私が読み終わった本を本棚に戻し違う本を手に取ろうとした時カウンターの方からヨグが「買取と鑑定するよ!レナッ!」という声が聞こえてそちらへと視線を移す。
私は誰にも聞こえないように舌打ちをした後立ち上がりドローさんのいるカウンターへと足を運んだ。

「さて、初めてのパーティでの戦果は…ゴブリンの魔石が6個で銀貨4枚でスライムの魔石が2個で銅貨8枚。そして『騎狼の上革』1枚で金貨1枚。とりあえず換金でいいか?」

私がカウンターに行くとドローさんは淡々と魔石を計量器のような魔道具の上に乗せ換金金額を言っていく。
ヨグと私はとりあえず話し合い魔石と革を換金することとした。

「さて…次はアーティファクトか…まさか初日で持ち込まれるとは思わなかったぜ…」

そう言うとドローさんは机の下からさっきまで使っていた計量器とは違う豪華は装飾が施された物を取り出した。
どうやらこの計量器はヨグによると上に乗せた物の鑑定、解析を簡単にしてくれるアーティファクトのようだ。
そして私たちが取ったアーティファクトをその計量器の上に乗せスイッチを押す。
するとまるでプリンターのように隙間から一枚の紙が現れた。
ドローさんはその作業を黙って行いようやく3つのアーティファクトの鑑定が終了した。

「ふぅコレで一応簡単に鑑定、解析してやったぜ…んじゃ後はお二人さんで話し合いな」

そう言って近くにあった椅子を引っ張り出しそこに座りこちらをニマニマと気持ち悪い笑顔をしながら見てきた。
ヨグと私はとりあえず鑑定結果の書かれた紙を見ることにした。

アーティファクト名:キャットスナッチャー
ランク:F
効果:魔獣の猫種限定で誘き寄せる効果を持つ。また猫種が触った場合高確率で行動停止のデバフを与える。なおCランク以上には効果が無い。
売値:銀貨5枚

アーティファクト名:猛き闘牛の角笛
ランク:D
効果:吹くことにより注目を集め周りの者を鼓舞させる効果を持つ。相手に低確率で狂乱のデバフを与える。また味方、敵関係なくこの効果は発動する。
売値:銅貨2枚

アーティファクト名:鍵穴付き銀のネックレス
ランク:S
効果:鍵をさすことにより効果を発動する。
売値:金貨1枚

全部売るとして合計で金貨1枚銀貨5枚銅貨2枚という何とも言えない結果となってしまったな。
後どれも使えそうな感じじゃ無いゴミのような効果が多い。
唯一売れそうな神遺物と言えるネックレスも効果がよくわからないから価値が低くなっているし…。

「と、とりあえずさ…コレ山分けしようか。どれか欲しいやつある?」

そう言われても私は別にどれも欲しくは無い。
『キャットスナッチャー』は別に使う場面が少ないからいらないし『猛き闘牛の角笛』に至っては敵も鼓舞するというクソ仕様で更に味方にデバフを低確率でつけるキング・オブ・クソの称号すら与えたい代物。
そして『鍵穴付き銀のネックレス』は…ヨグがわざとかはわからないがチラッチラしてみているから欲しいという感情が丸わかりだからいらん。
まぁそれでも別に興味がなかったからいらなかったが。

「…どれもいらない」

そう言うとヨグは「じ、じゃあコレもらうね」と予想通り『鍵穴付き銀のネックレス』を手にとってそのまま首から下げた。
ヨグと私は後は換金するといい後の全ての物を売ることにした。

「んじゃ合計で金貨1枚と銀貨9枚と銅貨10枚な…あぁまた在庫処分のアーティファクトが増えたか…」

そう言いながらドローさんは品々を手で持ちカウンターのドアを開けその奥行ってしまった。
…やっぱりあれって在庫が有り余ってんだなぁ。
さてこの中途半端な換金金額はどうしましょうかね。

「あのさボクはこのネックレスをもらっちゃったからさ今回の換金金額全部もらって行っていいよ?」

私は少し悩んだ後話し合いヨグに銅貨だけ貰ってもらいそして今日はここで解散となった。
どうやらヨグはギルドで寝泊まりしているらしくこの後ドローさんの手伝いを行うらしい。
そして私はというと今日泊まる宿を探しながら今日のことを思い返していた。
その結果出た答えは…。

「冒険者の方が楽だし稼げるんだなぁ」

そんなことしか私は思いつかなかった。
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