孤児のTS転生

シキ

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孤児のダンジョン生活

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ヨグは泣き出しポツリポツリと今日起こったことを話し出した。

そうしてわかったことはどうやらヨグの所属している探索者ギルドのCランクパーティの『トレジャーハンター』に今日追放されたらしい。
でもその理由は自分が悪いとわかっているらしく自分から離れようとしたところダンジョンに生息する魔物たちの群れに突き放されたらしい。
そのおかげでもう人のことを信じて良いのかわからなくなってしまい今一番信用している俺 私へと泣きついてきたらしい。

「ぼ、僕の能力は攻撃するような能力でもなければ探索に役に立つような能力でもないから…もう荷物持ちぐらいしかできないんだ…」

そう言ってまた泣き出した。
私はどうすることもできずにベットの上でただただその場でヨグの言葉を聞くしかなかった。



あれからまた数日が経ち私は退院することができた。
ヨグはあれからと言うもの毎日夕方に来てはいるがあの時のような元気を見せることはなかった。
そうして私はヨグと一緒に探索者ギルドへとやってきた。

探索者ギルドは冒険者ギルドとあまり変わらない。
昼間から酒を飲む大人や会話をしている奴らで賑わっている。
ただ一つ私は気に入らないことがある。
それは私の隣にいるヨグへの視線とその中いるヒソヒソとこちらを馬鹿にするような、見下したような顔をしながらこちらを笑ってくる集団だ。
ヨグは小さな声で「気にしないで…行こう」と言い私の手を引き探索者の対応をするカウンターへと移動した。

「探索者ギルドへ登録したい」

私が淡々と受付の40歳ぐらいの男性へと喋りかける。
するとその男性は驚いた後チラッとヨグの方を見てから私のを見て不器用で一般の人なら悲鳴を出すような不気味な笑みをしながら喋りかけてきた。

「ヨォ!お嬢さん。もしかしてだがヨグ坊の彼女さんかい?いやぁ良い彼女を持ったなぁ?ヨグ坊?」

そう言い視線をヨグの方へ向けて笑い出す。
ヨグは必死になって「違います!」と叫んでいるがこれまた滑稽に見えたようでその男性の笑いを一層大きくさせる。
この男性とヨグは仲が良いのだろうか?
そんな考えがよぎるぐらいにヨグと男性はからかいあってはそれを否定していた。
そうしてひとしきり笑いからかった後視線を私に戻し話し出す。

「俺の名前はドローって言うんだが…まぁ嬢ちゃんよろしくな!…んでなんだったか…そうそう!確かギルドに登録したいんだったか?」

そう言いドローさんは後ろを向く。
そして資料と水晶なものを持ってきて説明を始めた。

「この資料に自分の名前を書いてくれ。…んでこの水晶なんだが…自分の能力値を見ることができる『掲示石』って言うやつだ。これは一応みんなやってくれなくちゃ登録ができないと言うことになっているんだが…そのな」

そう言いドローさんはヨグの方を見た。
ヨグは俯きながら喋り出した。

「『掲示石』はね自分の能力値を他人にも見れちゃうんだ。だからそれを見るだけで有能かどうか判断されちゃって…」

そう言いまた俯いて喋らなくなってしまった。
私はどうするべきだろうか?
一応私は普通にステータスで自分の能力を確認することができるから自分の能力値を知っている。
だが他人の能力と比べたことが無いから今の私の能力値が良いのか悪いのかわからない。
だけどやらなきゃダンジョンに入らせてもらえなさそうだし触るしか無いか。

「いいよ…触る」

そう言い私は小石程度の水晶のような物を手で触れる。
そして水晶は水色の光を放ち始め空中に水色の光の板が出来上がり文字が描かれていく。

名前:レナ
性別:女
種族:人間
年齢:6
職業:原初魔法使い
適正属性:風・雷・闇・無
HP:C MP:B
腕力:D 体力:C 俊敏:C
知力:B 魔力:B 器用:C

なるほどステータスの数値はアルファベットで書かれるのか。
それにスキルは表示されないと…。
んでこれは高い方なのだろうかそれとも低い方なのだろうか?
というか私の適正属性も出ているな。
初めて見たが私の適正属性ってかなり厨二くさい属性になっているな…。

そんなこと考えヨグの方を見る。
ヨグは口を開け私の能力値が描かれた板の方を見ている。
ドローの方も見るがヨグと同じく口を開け私の能力値が描かれた板を見ている。
そうしてドローは板を見ながら私へと声を投げかける。

「嬢ちゃんはもしかしてかなーり良いとこの貴族様だったのかい?」

そう言っているのを私は無視して資料に目を通す。
ふむふむなるほどなるほど…注意事項やらダンジョンからドロップした品についての説明がされているな。
非常に興味深い。

そうして私がそれを読み終わり資料に名前を書き終わったことを知らせるためにヨグの方を見る。
そして見えたのはこちらを見る数々の視線。
さっきまで見下すような視線を送っていた集団からも期待するかのような視線をこちらへ向けてくる。

「嬢ちゃん…今のうちにヨグ坊とパーティ登録しておいた方がいいぜ…ほらこれが探索者ギルドの証明するタグだ。無くすなよ」

そう私に小さな声で囁いてパーティ登録用の紙を誰にも見えないように渡してくる。
私とヨグは目を向け合い小さく頷き自分とヨグの署名をした後ドローに書いた紙を渡すと共にヨグの手を握り外へと走り出した。
瞬時の行動にその場で沈黙しながら待っていた探索者たちは走り抜ける私たちの前へ立ち塞がってくるが子供特有の身体の小ささを利用してそれを回避する。

「そこの嬢さん!俺らのパーティに入りませんか!?」

そういう声がいくつも飛んでくるが「お断りッ!」と叫び私たちはその場を駆け抜けていった。
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