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孤児の冒険者活動
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ギルドを出て門を抜け歩くこと数十分。
俺は依頼書の通りに魔の森付近の草原に着いた。
周りには草しかなく依頼にある魔物の姿はどこにも見当たらない。
「…えーと、今回の依頼の魔物は『シャドー』という魔物か」
今回狩るこの魔物はいわゆる変異個体として認定され依頼されたやつだ。
本来のシャドーは魔の森の奥深くで夜にしか現れない固有の魔物で通常だとDランクに分類されている真っ黒な人型の魔物だ。
シャドーは一体一体は弱く光に怯えておりカンテラの小さな光でさえも怯えるという魔物だ。
ただし光を失えば好戦的になり集団で襲ってくる。
ついでに言うとすれば火には強いが火から発される光には弱い。
物理攻撃は効かず魔法攻撃も光以外は効かない。
まぁそこそこ厄介だがカンテラから照らされる光さえ持っていれば簡単に対処が可能だ。
今回の変異個体と言われているシャドーは…いやその前に変異個体についてもう一回思い出しておいた方がいいか。
変異個体とはその文字通り突然変異した個体のことだ。
突然変異した個体は弱点を克服したり通常の何倍も大きかったり強くなったり大群をなしたり多くの魔物を指揮したりする個体だ。
例えるならばゴブリンロードだろうか。
あいつはゴブリンが突然変異して同種のゴブリン達を指示することが可能になり身体が巨体になりゴブリンに知性と力を与えることが可能となる魔物だ。
ランクはAランクとなっており見つけたらすぐに報告して討伐することが義務付けられている。
ランクの割には力が弱いが群れれば災害を招く事態へとなるためにこのランクになっているらしい。
んで今回狩る変異個体のシャドーは光を克服しており本来森の中から出てくるはずがないのにこの平原へ出てきている個体らしい。
夜にしか出てこないはずだが朝にも出てくるようになったらしくここにくる冒険者を積極的に襲撃していると報告されている。
…ちなみに言うとBランクの冒険者でも討伐できなかったらしい。
ならなんで一つ下のCランクにこの依頼があったんだろうか?
まぁあんなギルド職員がいるから適当にランクを下げて受けてくるのを待っていたんだろうがよくそんなバカなことがバレなかったと俺は少し尊敬を覚えたよ。
…とさっき門を通る時に門番の人が教えてくれた。
「…物理は効かないし魔法もそれほど効かず光も克服している魔物ってどう倒せばいいんだ?」
まぁなるようになるだろう。
俺はそう考えてシャドーを探すことにした。
…幼女探索中…
あの頃のように薬草を取り虚空庫の中に投げ込んでいきながらシャドーを探すこと数時間。
ようやくシャドーと思わしき姿を捉えた。
全身真っ黒で全長2mくらいだろうか?
シャドーの奥にいるホーンボアという角の生えた猪を狙っているらしくひっそりと見ながら少しずつ近づいていっている。
戦い方は通常のシャドーと同じらしく後ろから近づいて手を変形させ長い爪のような形に変えて攻撃を仕掛けるらしい。
「では、俺もそれに便乗してひっそりと攻撃をするとしますか…魔法陣展開」
手を地につけ魔法陣を展開する。
魔法陣のいい点は魔力が届く限り遠くに魔法陣を出すことが可能なことだ。
まぁ集中力が途切れると失敗するから動いている時はあまり使えないがこういう奇襲を仕掛ける時は有効な手段といえるだろう。
「ふぅ…このぐらいでいいか」
シャドーがホーンボアに攻撃する時に開始するとしよう。
手で魔法陣を前方に描き照準をシャドーに合わせる。
シンボルは雷、光を克服しているから雷もあまり効かなそうだがこちらを向かせるにはいい手段になるだろう。
「魔法陣展開…いまだっ!ボルトショット!」
魔法陣に青白い光が集まり目に見えない速度でシャドーに当たる。
それに当たったシャドーはこちらに振り向くと同時にホーンボアによって突き飛ばされる。
ホーンボアがした攻撃手段は魔力を角に込めた魔法と物理が合わさったホーンボアが怒ったときに出される攻撃。
威力は熊でさえ貫くとされている。
そんな角に突き飛ばされたシャドーは地に転がるがすぐ起き上がり激昂し叫び俺の方へ走ってくる。
シャドーにホーンボアの攻撃が通ったことは予想外だったが突き飛ばされて前に出ただけで作戦には異常はない。
むしろその位置に転がってくれてラッキーだと思うべきか。
ではやるとしようか。
「魔法陣起動!」
シャドーの四方八方から光る鎖が飛び出しシャドーの四肢を縛り付ける。
今回仕掛けたこの魔術は『ライトチェーン』。
光属性の鎖が飛び出して対象を縛るデバフ魔術。
本来のシャドーは影移動という厄介なスキルを使いありとあらゆる方向から飛び出して攻撃してくるがコレで縛ればそれも使えない。
つまり奴はこのままライトチェーンの効果が切れるまで動くことはおろか攻撃することさえできないというわけだ。
「さて、あとは袋叩きにすればすぐ終わりそうだな…魔法陣展開!竜喰!」
少々不恰好な魔術でできた竜がシャドーを飲み込む。
ライトチェーンは千切れ地へと飲み込まれていく。
「気配操作に反応なし…ホーンボアももう逃げていったか」
…さてこの中からシャドーの魔石を見つけなきゃなぁ。
もう少し違う魔術でトドメを刺した方が良かったか…あぁめんどくせぇな。
*今回使った魔術一覧*
ボルトショット:電気でできた弾を打ち出す。威力は少ないが感電させることが可能。
ライトチェーン:光の鎖を対象に打ち出し縛りつける。
俺は依頼書の通りに魔の森付近の草原に着いた。
周りには草しかなく依頼にある魔物の姿はどこにも見当たらない。
「…えーと、今回の依頼の魔物は『シャドー』という魔物か」
今回狩るこの魔物はいわゆる変異個体として認定され依頼されたやつだ。
本来のシャドーは魔の森の奥深くで夜にしか現れない固有の魔物で通常だとDランクに分類されている真っ黒な人型の魔物だ。
シャドーは一体一体は弱く光に怯えておりカンテラの小さな光でさえも怯えるという魔物だ。
ただし光を失えば好戦的になり集団で襲ってくる。
ついでに言うとすれば火には強いが火から発される光には弱い。
物理攻撃は効かず魔法攻撃も光以外は効かない。
まぁそこそこ厄介だがカンテラから照らされる光さえ持っていれば簡単に対処が可能だ。
今回の変異個体と言われているシャドーは…いやその前に変異個体についてもう一回思い出しておいた方がいいか。
変異個体とはその文字通り突然変異した個体のことだ。
突然変異した個体は弱点を克服したり通常の何倍も大きかったり強くなったり大群をなしたり多くの魔物を指揮したりする個体だ。
例えるならばゴブリンロードだろうか。
あいつはゴブリンが突然変異して同種のゴブリン達を指示することが可能になり身体が巨体になりゴブリンに知性と力を与えることが可能となる魔物だ。
ランクはAランクとなっており見つけたらすぐに報告して討伐することが義務付けられている。
ランクの割には力が弱いが群れれば災害を招く事態へとなるためにこのランクになっているらしい。
んで今回狩る変異個体のシャドーは光を克服しており本来森の中から出てくるはずがないのにこの平原へ出てきている個体らしい。
夜にしか出てこないはずだが朝にも出てくるようになったらしくここにくる冒険者を積極的に襲撃していると報告されている。
…ちなみに言うとBランクの冒険者でも討伐できなかったらしい。
ならなんで一つ下のCランクにこの依頼があったんだろうか?
まぁあんなギルド職員がいるから適当にランクを下げて受けてくるのを待っていたんだろうがよくそんなバカなことがバレなかったと俺は少し尊敬を覚えたよ。
…とさっき門を通る時に門番の人が教えてくれた。
「…物理は効かないし魔法もそれほど効かず光も克服している魔物ってどう倒せばいいんだ?」
まぁなるようになるだろう。
俺はそう考えてシャドーを探すことにした。
…幼女探索中…
あの頃のように薬草を取り虚空庫の中に投げ込んでいきながらシャドーを探すこと数時間。
ようやくシャドーと思わしき姿を捉えた。
全身真っ黒で全長2mくらいだろうか?
シャドーの奥にいるホーンボアという角の生えた猪を狙っているらしくひっそりと見ながら少しずつ近づいていっている。
戦い方は通常のシャドーと同じらしく後ろから近づいて手を変形させ長い爪のような形に変えて攻撃を仕掛けるらしい。
「では、俺もそれに便乗してひっそりと攻撃をするとしますか…魔法陣展開」
手を地につけ魔法陣を展開する。
魔法陣のいい点は魔力が届く限り遠くに魔法陣を出すことが可能なことだ。
まぁ集中力が途切れると失敗するから動いている時はあまり使えないがこういう奇襲を仕掛ける時は有効な手段といえるだろう。
「ふぅ…このぐらいでいいか」
シャドーがホーンボアに攻撃する時に開始するとしよう。
手で魔法陣を前方に描き照準をシャドーに合わせる。
シンボルは雷、光を克服しているから雷もあまり効かなそうだがこちらを向かせるにはいい手段になるだろう。
「魔法陣展開…いまだっ!ボルトショット!」
魔法陣に青白い光が集まり目に見えない速度でシャドーに当たる。
それに当たったシャドーはこちらに振り向くと同時にホーンボアによって突き飛ばされる。
ホーンボアがした攻撃手段は魔力を角に込めた魔法と物理が合わさったホーンボアが怒ったときに出される攻撃。
威力は熊でさえ貫くとされている。
そんな角に突き飛ばされたシャドーは地に転がるがすぐ起き上がり激昂し叫び俺の方へ走ってくる。
シャドーにホーンボアの攻撃が通ったことは予想外だったが突き飛ばされて前に出ただけで作戦には異常はない。
むしろその位置に転がってくれてラッキーだと思うべきか。
ではやるとしようか。
「魔法陣起動!」
シャドーの四方八方から光る鎖が飛び出しシャドーの四肢を縛り付ける。
今回仕掛けたこの魔術は『ライトチェーン』。
光属性の鎖が飛び出して対象を縛るデバフ魔術。
本来のシャドーは影移動という厄介なスキルを使いありとあらゆる方向から飛び出して攻撃してくるがコレで縛ればそれも使えない。
つまり奴はこのままライトチェーンの効果が切れるまで動くことはおろか攻撃することさえできないというわけだ。
「さて、あとは袋叩きにすればすぐ終わりそうだな…魔法陣展開!竜喰!」
少々不恰好な魔術でできた竜がシャドーを飲み込む。
ライトチェーンは千切れ地へと飲み込まれていく。
「気配操作に反応なし…ホーンボアももう逃げていったか」
…さてこの中からシャドーの魔石を見つけなきゃなぁ。
もう少し違う魔術でトドメを刺した方が良かったか…あぁめんどくせぇな。
*今回使った魔術一覧*
ボルトショット:電気でできた弾を打ち出す。威力は少ないが感電させることが可能。
ライトチェーン:光の鎖を対象に打ち出し縛りつける。
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