孤児のTS転生

シキ

文字の大きさ
上 下
31 / 204
孤児は戦争へ

31

しおりを挟む
明るい陽光が肌を照りつけるなか街を歩く。
まぁ俺はローブを着てフードも被って仮面もつけているから肌なんか照りつけることなんてないんだが。
さて俺一推しの店に行くとしますかね。

「おっちゃんおっちゃん、串を2本くれ」

「おっ?お前さんか、あいよ銅貨4枚だ」

「ん、ほい」

「まいどあり~また来いよ」

「うん」

ふふふ、ここの串焼きはマジで美味い。
そしてここら辺の店の飯は何かが足りない。
やはり文明が違うからかねぇ味が前世と全く違うんだよな。
いや別にこの世界の飯がまずいというわけではないんだがなんつぅか旨味が足りないと言いますか。
うん…まぁこの串焼きは美味いというわけだな。
銅貨はこれであと2枚か。
両替えってこの世界にもあるのかな?

「はぁ~美味いんじゃ~」

…幼女食事中…

ふぅ食べ終わったことだしそろそろ買い物しながら移動しますか。
今回は商人の護衛だ。
行き先は確か王都『イードラ』という名前だった筈だ。
なんでもその昔、始まりの王が豊穣の女神だったからその名前から取ってこの名前になったそうだ。

んーと何が必要だ?
保存食としてジャーキーと穀物をすりつぶして固めたパンみたいなやつと水の入った革袋。
あとは、寝袋とか衣服とかかな?
まぁ今までは金があまりなかったから服まで手がつけられなかっただけで普通に衣服は欲しいし。
っと早くしないと集合時間に間に合わなくなっちまうな。
速く買ってくるとしますか。

…幼女買い物中…

よしこんなもんかな?
今の時間は大体12時ぐらいだな。
では門に行くとしますかね。

門の近くまで近づくと護衛する商人の馬車が見えてくる。
そしてそれを引いているのは馬…じゃないな。
なんだあれは?
狼のような見た目だが大きさは普通の狼の何倍もあり毛色が赤い。
どう見ても魔物だ。
とりあえず今回の依頼人の商人に挨拶でもしてくるかな。

「こ、こんにちは」

「あぁ今回参加してくれる冒険者の方だね」

「はい。Fランク冒険者のレナです。よろしくお願いしますです」

「はい。よろしくお願いしますね?私はエルペス。しがない旅商人ですよ」

そういいお辞儀をしてくれた。
商人のエルペスさんとそのまま待ち続けること数分後、今回一緒に依頼を受ける他の冒険者が来た。

「こんにちは!Cランク冒険者パーティの『ドラゴニア』です!」

「はい。よろしくねぇ。まだパーティが揃ってはいないですが時間ですのでそろそろ出発しますか」

そうエルペスさんが言うと馬車?というか狼車に乗り込んだ。
俺達も狼車に乗り込みいよいよ出発しようとした時だった。
後ろからこちらを呼び止める声がした。

「ちょっと待ってくれぇー!」

そういい防具を着た3人の男女が来た。
もしかしてエルペスさんが言っていた揃っていないパーティの人だろうか?

「はぁはぁ俺達はEランク冒険者パーティの『暴力装置』だ」

そういうと狼車に乗り込もうとするが『ドラゴニア』の大柄の身体を持つ剣士だろう男性に押し出され外へと出される。
『暴力装置』の面々は「イッテェな!」とか言いそのまま剣を抜こうとするが商人のエルペスさんに押さえ込まれてしまった。

「貴方達、今何をしようとしましたか?剣を抜こうとしましたか?…立派なギルド法違反ですねぇ」

そうエルペスさんが言うと『ドラゴニア』の人達も狼車から出てきて怖い顔をしながら『暴力装置』の所へと詰め寄る。
ギルド法、それは冒険者ギルドに所属する者全員が守らなければいけないルール。
今目の前で起きたのはギルド法第26条の内の第2条。
『街の中では緊急事態で無い限り絶対に武器を抜いてはいけない』というルールがある。
もしも守らなかったら…まぁそこは考えなくても分かりきったことだろう。
当然除名だ。

そしてそのまま『暴力装置』は近くにいた門番の人に縄で縛られてギルドへと連行されていった。
全く馬鹿なことをする奴らだ。
普通依頼には遅れてはいけない。
しかも依頼主になんの挨拶もなしに狼車に乗り込もうとするなんて…。

「レナさんすいませんね?こういうことが起きてしまい…怖かったでしょう?」

「い、いえ大丈夫です。それより力になれなくてすみませんでした」

そういうとエルペスさんは俺が謝罪を述べた後「いえいえ」と言いながら前の方に行った。
俺は静かに肩を下ろし自分の座っている所を座り直した。
すると『ドラゴニア』の大柄の身体の男性がこちらへ来た。

「おう。俺は『ドラゴニア』の剣士のローガンだ。あー少年?さっきはすまなかったな。あぁいう奴はたまにいやがるんだよ。全く迷惑な話だ」

そういうとローガンさんは俺の横へ腰を下ろした。
そして全員狼車に乗ったことを確認し狼車はようやくこの街、レインバード領のレイン街を出た。

ところで本当にエルペスさんに護衛なんているか?
普通に『暴力装置』の人を組み伏せていたし俺がいても意味がないと思うんだが。

「まぁいいか」

「ん?なんか言ったか?少年?」

「あ、いえなんでもないです」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

引きこもりのニートは異世界を旅したい。

有栖紫苑
ファンタジー
引きこもりのニート富永理玖24歳はいつの間にか異世界転生とやらをさせられていた。それも、幼児まで逆戻り。また、人生やり直しかよ!!そう思ったのもつかの間、貧しい家に生まれたらしく捨てられた!?しかし、そんなことは気にしない。楽をして過ごしたい理玖は、家も持たずに自由気ままに旅をしていく。無自覚の成り上がりを実行するお話です、多分。 更新は不定期です。ご了承ください。そして作者の気まぐれで趣旨も変わっていくかもしれません。

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

伯爵令嬢に婚約破棄されたので、人間やめました

えながゆうき
ファンタジー
 うー、ダイエット、ダイエットー!  子爵家の庭を必死に走っている俺は、丸々太った、豚のような子爵令息のテオドール十五歳。つい先日、婚約者の伯爵令嬢にフラれたばっかりの、胸に大きな傷を負った漆黒の堕天使さ。髪はブロンド、瞳はブルーだけど。  貴族としてあるまじき醜態はすぐに社交界に広がり、お茶会に参加しても、いつも俺についてのヒソヒソ話をされて後ろからバッサリだ。どっちも、どっちも!  そんなわけで、俺は少しでも痩せるために庭を毎日走っている。でも、全然痩せないんだよね、何でだろう?  そんなことを考えながら走っていると、庭の片隅に見慣れない黒い猫が。  うは、可愛らしい黒猫。  俺がそう思って見つめていると、黒い猫は俺の方へと近づいてきた! 「人間をやめないかい?」 「いいですとも! 俺は人間をやめるぞー!!」  と、その場の空気に飲まれて返事をしたのは良いけれど、もしかして、本気なの!? あ、まずい。あの目は本気でヤる目をしている。  俺は一体どうなってしまうんだー!! それ以前に、この黒い猫は一体何者なんだー!!  え? 守護精霊? あのおとぎ話の? ハハハ、こやつめ。  ……え、マジなの!? もしかして俺、本当に人間やめちゃいました!?  え? 魔境の森にドラゴンが現れた? やってみるさ!  え? 娘を嫁にもらってくれ? ずいぶんと地味な子だけど、大丈夫?  え? 元婚約者が別のイケメン男爵令息と婚約した? そう、関係ないね。  え? マンドラゴラが仲間になりたそうな目でこちらを見てる? ノーサンキュー!  え? 魔石が堅くて壊せない? 指先一つで壊してやるよ!  え? イケメン男爵令息が魔族だった? 殺せ!  何でわざわざ俺に相談しに来るんですかねー。俺は嫁とイチャイチャしたいだけなのに。あ、ミケ、もちろんミケともイチャイチャしたいよー?

悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい

斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。 ※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。 ※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。

辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。 アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。 書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。

かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる

竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。 ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする. モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする. その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.

結婚なんて無理だから初夜でゲロってやろうと思う

風巻ユウ
恋愛
TS転生した。男→公爵令嬢キリアネットに。気づけば結婚が迫っていた。男と結婚なんて嫌だ。そうだ初夜でゲロってやるぜ。 TS転生した。女→王子ヒュミエールに。そして気づいた。この世界が乙女ゲーム『ゴリラ令嬢の華麗なる王宮生活』だということに。ゴリラと結婚なんて嫌だ。そうだ初夜でゲロってやんよ。 思考が似通った二人の転生者が婚約した。 ふたりが再び出会う時、世界が変わる─────。 注意:すっごくゴリラです。

処理中です...