孤児のTS転生

シキ

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スラムの孤児

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「知らない天井だ…」

今何時だ?
つーかここどこだ?

「いや待て…あぁそうだ転生したんだっけか」

だんだんと頭が覚めてきた。
マジで異世界にきたんだなぁ。
さて、体を温めるためにストレッチでもしますか。
今日も動かないとならないしな。

この身体硬いなぁ。
前屈ができん。
まぁこれくらいでストレッチは終了してと。
草でも食うか。

「モッシャモッシャ不味い」

当たり前だが不味い。
ハート型の草はそれ程だがただの雑草は吐き出しそうな程だ。
今日こそ雑草じゃない食べられる物を食べたいものだ。
そういえば今何時ぐらいだろうか。
影の長さで時間がわかるっていうやつ確かあったっけ?
なんかインターネットで調べたやつ。
まぁ覚えてないけど。
今日も外に出る準備でもしますか。
…準備する物ないけど。

「さて外に出るとしますか」

右、左、前方オールクリア。
目標までの距離約50m。
いくぞっ!

「ぐっはぁはぁこれ程体力がないとは思わなかった」

いくぞっ!と言って走り出して50m地点、体力1は伊達じゃないぜ。
この短い距離でものすごく疲れた。
もう帰りたい。
だが外に出なくちゃ飯にありつけないし草も取れない。
面倒くさいがいくしかない。

壁の隙間から出て森を目指す。
森までの距離は目測で約500mぐらいかな?
歩いても歩いても森に着かない。
そして同時進行でハート形の草を抜く。
一応森で飯を見つけれなかった時の保険として持っていく。

20分後

ようやく森の入り口に入れた。

「疲れた」

そんな言葉が出てくるぐらいには疲れた。
ほんと体力無いなこの身体。
そんな事は置いといて、さーて探索でもしましょうか。
森で迷ったらやばそうだから入り口と浅いところを探索しよう。
とりあえず腹が少し減ったから草、食うか。

やはりハート形はミントっぽい味がして食べやすい。
気分もスッキリするし体力も戻った感じがするやはりそこらの雑草とは違うな。

「腹と体力を満たした事だし探索をしますか!」

といってもそこら辺を歩いて食べ物があったら拾い食いしたり家に持ち帰る分を採取するだけだけどね。

歩き回って採取できたのは赤色のした小さい実と様々な模様をしたキノコが数十個。
とりあえず地面に集めて置いてある。
早速食べられるか実食してみようと思う。
まずは小さな赤い実からだ。

俺は小さな赤い実を手に一粒乗せ口の中に放り込んだ。

「…ゴクリ」

味は…少し酸っぱい。
癖になる味だ。
だが腹にはたまらないので森に来た時しか採取して食べないだろう。

「さて、次食べるのはキノコだが…正直言って食べたくないなぁぁぁ」

本当にこれは食べたくない。
あからさまに毒です!って言っているような模様があるのだ。

「とりあえず一つ食べてみるか…」

その中から最も大丈夫そうなキノコを選別する。
そして椎茸っぽい形をしたのを手に取る。
俺は「いただきます」と口に出しながら手に取ったキノコを口の中に入れた。

「…セーフ!よし!コレは椎茸だ。毒とかは無いな!」

どうやら本当に椎茸だったらしい。
いやぁ結構な賭けだったが勝ててよかったぜ。
まぁもうキノコを食べようとは思わないが。
キノコも最終手段の一つにしよう。
もしも毒茸だったら目も当てられない事態になってしまうからな。

『ガサッガサガサ』

「ッ!」

後ろの方から草木が揺れる音がして咄嗟に振り返る。
そこに居たのは…リスだった。
…リスである。

こういう時って大体の場合スライムだとかゴブリンだとかそういう異世界要素の魔物が出てくるかた思ったんだけどな。
どっからどう見てもリスである。
驚いて損した気分だ。

だが、俺は見てしまった。
その奥にいた動物を見てしまった。

それは大きな巨体を持つ熊だった。
爪に赤黒い物が付いているとこを見るに狩りができるタイプの熊だろう。
俺の身長が小さくてよかった。
もし大人の身体だったら草木に隠れる事ができずにあの爪でズタボロにされていただろう。
恐怖という感情が込み上げてくるがまだ冷静に考えられる余裕がある。
コレがスキル『恐怖耐性』というものの効果だろう。
もしもコレがなかったらと思うとゾッとする。
もしかしたら大声をあげていたかもしれん。

それからの俺の行動は迅速に行われた。
熊が少し遠くに行ったことを確認すると草木に当たらないよう草原を目指して早足で歩き出した。
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