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一章:援交とタローさん
性交はイコールで愛になるか 10*
しおりを挟む「何してんの?」
お兄さんの声がして、ぴたりと動きを止めた。
またごろん、と寝返りを打ち仰向けになれば、腰にタオルを巻いただけの彼が、笑いながらベッドまで歩いてくる。
小さなタオルで髪を拭いているのを見て、ぴょんぴょん跳ねていた髪がワックスによるものだと解った。
すとん、と落ち着いた髪になっている。
「ベッドの上で水泳の練習? 寒中水泳でもするの?」
ぎしり、と音を立てて座った彼の手が、僕のお腹に乗せられる。
「しないよ、そんなの。ちょっと運動」
淡々と適当な返答をした。
寒中水泳なんか死んでもしたくない。
お腹に乗っかった手は、服の裾をズボンから出そうと引っ張っている。
触るな、と払い退けようとするも、手を掴まれてしまう。
「なんでこんな小学生みたいな格好してるの? 脱がしにくいじゃん」
「ブカブカだからだよっ」
両手首を一纏めにして、彼の片手に頭上で縫い付けられてしまう。
片手で余裕に掴まれてしまうのは、なんだか悔しかった。
睨んでもお兄さんは笑うだけで、全然堪えた様子もない。
「可愛いけど、今は服とか邪魔だからなあ。脱ごうね」
彼の片手が器用に裾を出していく。
体勢的に無理矢理ヤられているみたいで嫌だった。
「脱ぐから放して。僕、自分で脱げるよ」
「んー、脱がすのも大人の楽しみな訳。抵抗しないなら手は放すよ」
しないから放して、と告げれば、手首は開放された。
それでも、お兄さんが脱がせやすいようにと万歳の格好でいると、頭を撫でてくれる。
それが嬉しくて、目蓋を閉ざした。
ひんやりと冷たい空気が肌に触れて、上を脱がされた。
シャツがぱさり、と床に落ちる。
どくどくと騒ぐ心臓が五月蝿い。
額に目蓋に頬に、と彼の唇が落ちてくる。
触れたところから熱が生じて、その熱を逃がすみたいに、ふはあ、と息を出した。
可愛い、と耳を食(は)みながら囁かれて、擽ったいのとその中に潜む快感に体が震えた。
お兄さんの指が、肌の上を辿って、胸を揉むみたいに肉を掴む。
「あ、胸、ない」
「そんなことないよ。ぴん、てしてきた」
抗議するために目を開けて、後悔した。
指と指の間に挟まれた尖りは、揉まれる度に刺激されて、可愛らしくも主張していて、彼に意地悪く指摘されてしまう。
「ゃう、タローさん、いじっ、わる」
「意地悪するからセックスは燃えるんでしょ」
ちゃんとは触れない焦れったさと、柔く加えられる刺激に息があがる。
彼は首筋をネットリと舐めあげて宣った。
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