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一章:援交とタローさん
性交はイコールで愛になるか 07
しおりを挟む顔がすぐ近くにある。
足元に転がるシャワーから出る水流が足の裏を擽る。
「大人をからかっちゃいけません、って習わなかったか?」
「なっ、習って、ない」
彼の息が頬に当たる。
くすり、と笑って「じゃ、俺が教えてあげる」と宣ったお兄さんは、僕の唇に噛み付いてきた。
何度も何度も優しく触れるのに、彼はそれ以上をしてはこない。
瞳を閉ざしてネットリとした感触を待ちわびる僕は、うっすらと目を開ける。
お兄さんと目が合った。
彼の瞳は欲情に濡れていて、それは今までの人間と同じなのに、お兄さんは荒々しいことをしてはこない。
奪うようなキスに慣れている僕は戸惑って、急かすみたいに彼の腕を掴んだ。
「誰にされた時のこと、思い出してるの?」
意地悪く問い掛けられて、涙が滲んだ。
お兄さんの顔を縋るように見ても、彼は少し怒った顔で、それでも笑った。
「キィ君は、何回ぐらいこういうのした?」
まるで、インランだと言われているみたいで、僕は首を左右に振りたくった。
「おっ、覚えて、ないよ」
「優しくして貰ったこと、ある?」
怒ってる顔をしている癖に、彼の手は優しく僕の頬を撫でている。
どうしてなのか解らなくて、頭がパンクしそうになった。
「乱暴にされても、僕は文句を言える立場じゃないし」
「あのね、キィ君。本来、愛し合うためにする行為なんだから、君の意向も伝えるべきだよ。喩えそれが援交とかセフレって関係でも。言っておくけど、俺は乱暴なの嫌いだからさ。体だけ満足すれば良いと思って募集した訳じゃないし。キィ君は、俺にどうして貰いたいの?」
お兄さんは優しい顔に戻って、優しく唇を合わせた。
僕をじっと見ている。
「あっ愛が、欲しい。優しく抱き締めて、貰いたい。僕は、愛がないと、死んじゃいそうなんだ」
震える唇で、そう告げれば、彼は蕩けそうに甘い顔で僕の頭を抱き寄せた。
「そんなん、幾等だってやるよ。他の奴とのセックスなんて忘れるぐらい、愛するから。ねえ、俺のことだけ考えて」
何でそんなこと言うの、と問いたくても、やっと押し入ってきた彼の舌に夢中になってしまい何も言えなかった。
何分舌を絡ませていたかなんて覚えていない。
絡まる舌もやっぱり優しいから、僕は泣き出してしまいたくなった。
乱暴に奪ってくれれば、何も考えずに済むのに。
お兄さんは僕にそれを許してはくれない。
今、僕に愛を注ぐのが誰なのか。
乱暴な性交に着いていくだけで一杯一杯だった僕は、考えることもなく、その温もりを彼女の愛に変換出来たのだ。
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