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一章:学園の闇
謎の同級生 09
しおりを挟むそう言い聞かしても、なかなか真哉の不安は消えなかった。
嫌な予感が真哉を苛んでいるのだった。
* * * * * *
放課後を迎え、靴箱で五人が揃った。
勝を先頭に真哉の家まで距離を縮めて行く。
「どのぐらいで着くのお、マサ君」
悠理は、水紀と手を繋ぎながら歩いていた。
先頭の勝に声を掛ける。
「10分ぐらいだよ。中学組だし、近所みたい」
勝は首だけを僅かに後ろに向け、悠理に微笑み掛ける。
答えを返すと、前を向いた。
「そっかあ。10分、水紀ちゃんとお手々繋いでられるね」
「うん、ゆうちゃん。足元気を付けてね。ゆうちゃん、よく転ぶから」
場所も時間も関係なく、この二人のベタ甘劇場は幕を開ける。
雷紀はげんなりした顔でなるべく前を歩くカップルを見ないように心掛けた。
其れは、隣を歩くあやも同じようで、目が合った。
あやの顔に苦笑が浮かぶ。
雷紀は、ふいと顔を背けた。
やれやれ、と肩を竦めるあやは、気にした素振りもなく、ただ歩いた。
10分程、大した会話もなく歩くと、勝は表札を確認して、ある一軒の家の前で立ち止まった。
臆することなくインターホンに手を伸ばす。
ピンポーン、無機質な音が響き渡る。
「はい」
「あ、こんにちは。僕達、真哉君のクラスメイトなんですが、ちょっとお話したいことがありまして」
「……少々お待ち下さい」
落ち着いた感じの女性が応対してくれたが、インターホン越しにも彼女の戸惑いが伝わってきた。
暫くして、玄関の扉が開いた。
中から出てきたのは、30代後半とみられる女性だった。
「わざわざ来てくれて、有り難う。真哉にも声は掛けてみたけど、出てきてくれるかは、私にも解らないの。良かったら、中で待っててあげて欲しいのだけど。大丈夫かしら?」
「はい、お手数お掛けしてすいません。お邪魔させて貰います」
低姿勢な人だった。
勝がにこやかに答え、五人は真哉の家に上がり込むのだった。
洋風な造りの一軒家で、五人はリビングに通された。
白の三人掛けのソファーが、ガラス製のローテーブルを挟む形で、二つ置かれている。
其処に、左から勝、あやと座り、向かいの左から雷紀、水紀、悠理と座った。
真哉の母親は、リビングの隣にあるキッチンで飲み物を用意している。
「あの、お構い無く。その、真哉君の部屋に行くことは、可能でしょうか?」
勝がキッチンを覗くように体を捻り、眉尻を下げながら問いを掛ける。
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