親友ラバー

Neu(ノイ)

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一章:親友の異変

自室集合 05

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「そうだな、そうだった! カイっちを楽しませる任務だった! カイっちは何が好き?」

ぽん、と掌を打つと、健は和志の肩越しに誡羽をジッと見詰めてくるのだった。
困るのは誡羽である。

「え、いや、別に。特にこれといってない、けど」
「んん? そっかー。いつもは佐倉の兄ちゃんと何してるの?」

一度は納得する健だったが、食い下がってきた。
誡羽は記憶を探る。
目を上にやり考えた。

「話したりするぐらいかな。後は勉強を教えて貰ったり? 僕、あまり勉強出来ないし」
「おお、カイっちは真面目っ子だなあ! 俺なんか、宿題も良く忘れるのに」

健はゲームの配線をテレビから外しながら、感心感心と頷いていた。

「健は少し見習った方が良いよ。誡羽君もなんか言ってやって」

そんな健を見て、和志は肩をすくませる。
正直言うと、保護者に見えた。
和志とは部活が一緒だが、やはり彼は面倒見が良い男のようだった。

「そうだね、勉強はした方が良いかな。今度一緒に勉強する?」
「カイっちまでそんなこと言わないでよ! 勉強すると、頭痛くなって熱出るしっ」

うぅ、と唸る健は、やはり犬に見える。
小型犬だ。

「確かに、健は良く知恵熱出すからな。難しいね」

和志が腕を組んで考え込んでいる。
知恵熱とは、また厄介である。

「知恵熱って、小さい子がなるんじゃ?」

誡羽が首を傾げれば、何故か誇らし気に健が頷いた。

「俺ね、昔から難しいこととか考えると熱が出るんだ。テストの時とか大変なんだよね」

うんうん、と首を何度も縦に振る健。

「だから、勉強も出来ないんだ! それでOK!」

にっ、と口端を上げて続けて宣う健に、和志は額を片手で押さえた。
保護者が大変なのは、どこも同じようだ。

「健。光輝に教えて貰えば大丈夫なんじゃないかな?」

思い付いたように告げられた和志の言葉に、健の表情が一変した。
ぴくり、と強張っている。

「いや、その。それは。勘弁して欲しい、デス」

そして、最終的には、しゅんと肩を落としてしまう。
あんなにも慕っている光輝に勉強を見て貰いたくないとは、不思議なこともあるもんだと思う。
和志は何故だか嬉しそうに目を細めている。

「光輝は何だかんだで厳しいからね。僕が教えてあげるよ」
「うう、勉強は嫌だけど。佐倉の兄ちゃんより和志の方がまだマシ! 容赦ないんだよ」

光輝と勉強をしたことがあるのだろう。
健は思い出すだけでも頭が痛くなると頭を抱えている。
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