7 / 20
一章:覚醒した悪魔
エスの目覚め 05
しおりを挟む純は三條の股間から足を離し、手術台に近寄った。
「ふふ、まだ少ししか虐めてないでしょ? 五体満足なんだから、褒めてよ。あ、豆屶。着替えて来るから、ソレ拘束しておいてね?」
グラスに注がれた冷茶を飲み干し、純は首を傾けて儚げに口端を小さく上げる。
しかしながら、その口から紡がれるのは物騒な言葉で、三條はガタガタと震え出す。
飲み干したグラスを手術台の上に無造作に置くと、豆屶の肩を叩いた。
三條を顎で指し示し、純は襖に足を向ける。
御意に、と背中に掛かる言葉に笑みを深めた純が、何かを思い出したかのように振り返った。
「そうそう、豆屶。つまみ食い、しても構わないからね? 先生、この男、ゲイなんですけどね、ノンケとかタチのケツにぶち込むのが大好きなんですよ。でかチンの癖に慣らすなんて優しいこと、してくれない鬼畜ですから、お尻には気を付けて下さいね? じゃあ、豆屶、宜しく頼んだよ」
にんまり、と心底愉しそうな笑みを三條に残し、青褪めた顔で「うわああ」と叫び、逃げようと暴れる彼を尻目に部屋を出た。
待ってくれ、と悲痛に響く三條の声に、満たされていくのを実感する。
ふふ、と堪え切れない笑みを溢しながら、躍る足取りで階段を上がっていく。
一階に辿り着き、自室に向かう途中の廊下で、母と出会(でくわ)した。
着物姿にツバの深い帽子を被り、着物の袖口からは腕カバーが覗いている。
若干お間抜けに見えるが、彼女の美しい肌を守る為ならば、それも許されるのだろう。
「庭の手入れは順調ですか、母上殿?」
綺麗な着物には土の汚れが付着しており、庭弄りの最中に何か忘れ物を思い出し、取りに戻って来たのだと推測出来た。
着物で庭弄りをするのは、汚れてしまう着物が勿体無いとは思うが、昔からの彩菜のスタイルである。
どうせクリーニングに出すのだから構わないのだと彼女は言う。
着物でないと落ち着かないらしく、純は彩菜の洋装姿を数える程しか見たことがない。
「ええ、いつも通り滞りありませんわ。それよりも純さん。玩具で遊ぶのは問題ありませんが、興奮し過ぎて殺さないようにお気を付けなさい。動物とは違うのです。後処理も大変なのですよ? お解りですね? 組長の迷惑になるようなことは、くれぐれもなさらないで下さいまし」
小幅で歩いていた彼女は、純の前で、ピタリと歩みを止めた。
冷たい眼差しが純に向く。
だが、純は知っていた。
彼女は冷たく見えるだけで、その実、とても優しい人である。
その優しさは、家族にしか向けられることはないのだが、純にとってはそれで十分だった。
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる