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二章:訪れた変化
異端児の場合(2)03
しおりを挟む鬱々と考え事をしていれば、気付くとHRが終わっていた。
明日はジョギングを見送って、日曜のミサの時に少し話をしようと決めた。
その間は神父に同行して貰うように頼もう、そう計画を立てて授業の支度をするのだった。
放課後、教会に向かう。
そっと扉を開けて中を窺えば、神父が十字架に手を合わせていた。
ミルはいないようだった。
恐らく、この時間は買い出しに出ている。
狙い通りだ。
俺は、中に進んで、神父のすぐ後ろにある長椅子に座る。
此処で初めてミルを見た。
胸が熱くなった。
ミルを守りたいと強く思う。
「ああ、フィン。来ていたのか。気付かなかったよ、悪いね」
「いや、良いよ。お祈りしてたんでしょ」
お祈りが終わったのか、顔を上げた神父は俺に気付いたのか、苦笑を滲ませながら頭を掻いている。
俺は大丈夫だと首を振ってみせた。
「どうしたんだい? ミルは買い出しだよ」
「知ってる。だから来た。アンタに頼みたいことがある」
可笑しそうに笑う神父には、全てを見透かされているようだが、彼は俺の口から言わせたいのだろう、自分からは今朝のことを聞こうともしない。
ミルの異変に気付かないなんてことはないのだ。
この男は良く気が付く。
ミルのことなら尚更だ。
「うん、ジョギングのことかい? あれは君が勝手に付き添っているだけだからねえ。気まずいなら暫くやめたらいいだけじゃないかな」
矢張り、解っているのだ。
首を傾げる仕草が腹立たしい。
ちっ、と舌打ちし神父を睨み付けた。
「だから、その間はアンタがミルに同行してよ。どうせ知ってるんでしょ、ミルがどういう目で見られてるか」
「そうだね。熱い視線は送られているみたいだけども。アレは、一時の迷いでしょ。その内、なくなるよ」
あんなにでかかった神父とも、身長はさして変わらなくなった。
熊のように鍛えられた筋肉には敵わないが、一応は満足している。
神父と目線がぶつかり合う。
試されるみたいに目が細まる。
「それも、解ってる。中には過激な奴もいて、ミルを襲うかもしれないんだよ。アンタ、仮にも父親だろ。一緒に」
「ミルね、何だか元気がなくてね。朝、泣いていたんだよ。だけど、聞いても何も教えてくれなかった。相当悩んでいるみたいだ、君とのことを。そういう時は、一人で沢山考えて、考えて考えて、考え尽くして答えを見付けるしかないだろ? 父親に出来ることなんて、初めから限度があるんだ。悲しいね。守ってあげたいけど、それは私の役目ではないんだ。君の役目でしょ?」
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