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一章:偵察
神沼さん家の事情 08
しおりを挟む次の日には、淳志と懇意にしている私立探偵を雇い調査を依頼した。
その日、純は純で行動を開始させたようで、司破が勤務する学校の教師にアクションを仕掛けている。
それとなく司破の動向と明紫亜との関係について知らせるように働き掛けていた。
その後で長兄は、滅多に連絡を取ることのない母方の親戚に電話をする。
何の因果か、彩菜の従姉妹の息子が司破の高校で保健医をしているようだった。
彩菜は従姉妹とは交流がある様子だが、勘当されている手前、実家とは全くの疎遠だと聞く。
その為か、純は母方の親戚全てを敵と見做している傾向にあった。
それ故に保健医に連絡を取ると聞き、豆屶も些か驚いていた程である。
今のところ役に立つ情報は、長兄が落とした高校の女性教諭からのものだけだった。
明紫亜の家庭環境が何やら複雑であること。
今は保護者である親戚の知り合いの家で下宿していること。
中部地方から東京に越して来たこと。
翌日にオリエンテーションがあること。
司破と明紫亜もオリエンテーションに参加すること。
それだけだった。
兎にも角にも、詳しいことは探偵からの報告待ちとなり、この日は終了となる。
そして翌日のこと。
朝一で私立探偵が倉本の本宅にと訪れた。
応接間で報告を受ける段階に至り、初めて明紫亜なる高校生が男子であると発覚する。
40代半ばの探偵は、探偵と名乗りながらも、その実、探偵と言うよりも情報屋に近い仕事をこなす男である。
淳志と二人きりの応接間で、手渡された書類に目を通した。
「早速ご報告ですが。対象者は神沼 明紫亜、高校一年生、男。父親不明、母親は神沼 温子(カミヌマ アツコ)。風俗嬢をしていた女です。父親は不明となっていますが、まあ、噂レベルの確認も取れないことですがね、目星はついているらしいんですよ、父親の。表には出せない人物との不貞だったとかレイプだったとか、そういうレベルの噂です」
そこで一旦、探偵は言葉を区切り自分用の書類を捲る。
男だったのか、と片手で髪を掻きながら淳志も次のページを開いた。
「明紫亜は育児放棄、所謂ネグレクトってやつですね、を受けて育ち、彼が6歳の時に餓死寸前で親戚に発見されています。これを機に明紫亜は、発見した親戚、叔母の雪代 涼子(ユキシロ スズコ)に引き取られ、以後彼女の家で育てられます。涼子の旦那は、雪代 蒼護(ユキシロ ソウゴ)。地元では有名な、幼等部から大学まである私立学園の理事長を勤めているようですね。学園の詳しい資料は別途用意してありますので後程お渡しします」
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