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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
凹凸の巡り合わせ 07*
しおりを挟む「僕は、普通に幸せも感じられるし、ちゃんと生きたいとも思うんですよ。でも、それと同じ分だけ、死にたくなるんですよねー。死にたくなって、でも、生きたくて、そういうところに、なんかずっと、小さい時からいるんです」
幸せなのにねー、と首を傾けて彼の瞳を覗き込むようにして見詰め返し、くたりとした笑みを向ける。
途端に腕を強く掴まれた。
「あら、先生。どうしました?」
腕を掴んだまま動かない司破に問い掛ける。
するり、と空いている方の手が、首筋に伸びてくる。
ネクタイを片手で緩めていく様を眺めて、器用だなあと他人事みたいに暢気に考えていた。
はらり、と床にネクタイが落とされ、シャツの釦を一つ二つと外されて初めて、あれ、と疑問が湧き、開かされたシャツの隙間から手が入り込んだ時には手遅れだった。
「ちょ、せんせっ、い!? 流石に、そこ、っ、ヤバ、いですよー」
噛み跡の残る箇所を指が辿る。
絆創膏を貼ってある其処は、それでも、触れられると酷く感じてしまうのだ。
慌てて身を捩るも、そのまま逆手に取られて背後から抱き竦められてしまう。
司破の足の間の僅かな隙間に座らされていた。
「笹垣先生、あの、ホント、ッ、やめ、っ、ぁ、ふ、っ、ん」
後ろを振り向き抗議の声を上げるも、絆創膏の上から噛まれてしまい、力が抜けていく。
彼に背中を預けて体を震わせる。
「痕、消えそうなんだろ? 新しくつけてやるよ」
べりっ、と絆創膏が剥がされて、デスクの上に転がっていくのが見えた。
「うれしっ、けど……学校、ですよ?」
快感に身を任せそうになり、ぶるぶると頭を振る。
髪の毛が揺れて、司破の鼻を擽った。
「あー、誰も来ねぇだろ。ホント邪魔なキノコだな。暴れるんじゃねぇよ」
「でも、さっき、あんま、来るなって、言ったじゃん。こういうの、困るんだよね?」
頷きそうになって、ダメだと反論を試みる。
ぶるんぶるん、抵抗するようにキノコも揺らせば、背後から大きな溜息が聞こえてきた。
「……解った、軽く痕つけるだけにするから、大人しくしてろ」
耳許で囁かれて、すぐに終わるならと大人しくしたのが間違いであった。
「ひっあ、っ、ちょっ、まっ、それ、っ、だ、め……っ、っ、っ!」
ぐちゃり、と熱い唇が押し当てられ、舌が薄く残る痕を舐め、そのまま、思いっ切り、噛まれる。
歯が食い込み、痛みが這い上がってくるのと同時に、血の匂いが鼻をついた。
二度三度と、ガリッ、ガリッ、とまるで食すように噛まれて、司破の腕の中でビクンビクンと体が跳ねた。
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