あべらちお

Neu(ノイ)

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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼

やじるし 08

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熱に浮かされた目で誘うように青年へと視線を送り、ねえ、と少年の掠れた声が響く。

「これ、……っ、辛く、ない、の?」

未だに苦しそうに呼吸を繰り返しながらも、少年は悪戯に指を動かしていた。
細い指が、青年の屹立を辿る。
親指で先端を押すと、答えを促すように柔く首が傾けられた。

「……っ……! 初めてなのに、お前は手慣れた娼婦の様だな」

はっ、と鼻で嗤い、青年は自身を撫でる悪戯な手を掴んだ。
少年の眉が僅かにピクリと動き、手の自由を奪う主に向かい、べぇっ、と舌を出す。

「それ、褒め言葉? 僕、娼婦って嫌いだなあ。うん、でも。もう一回シタいから許します。今度はお兄さんもイケますかね?」

ぎゅっ、と眉間に皺が寄って表情を隠すように少年の顔が横を向いた。
それでも、おずおずと青年へと目線を戻せば、くたり、とゆるい笑みを投げ掛ける。

「流石に、首絞めたぐらいじゃイケねえよ。お前が協力してくれるなら、まあ、イケないこともないと思うが」

苦々しく眉を寄せ、少年の頬を撫でる。
青年が窺うように少年を見ている。
少年は目を瞬かせて、自身の頬を撫でる青年の手を握った。
 
「どうすれば、いいですか? セックスしながらヤります?」

にしし、と子供のように笑いながら、その口からは不釣り合いな台詞が飛び出す。
青年は、にぃ、と口端を持ち上げ、少年の頬を抓った。

「セックスまではしねぇよ。擦り合わせるだけで十分だ。お前なあ、自分の体、大事にしろよな、……って、俺が言えた台詞じゃねぇか」

呆れたと少年を見遣るも、彼の首を絞めた人間の台詞ではないかと眉尻が下がる。
ホントそれなー、と少年が、頬を甚振(いたぶ)る手を抓り返した。
頬から青年の手が離れていく。
ぐはは、と笑い声を上げて、青年の手を抓っていた手を彼のボサボサヘアーに差し入れた。

「残念。僕、お兄さんになら、……って、思ったんだけど。……脱がせて、くれますか? 実はね、2回もおパンツの中で精液ドックンしたから、気持ち悪くて。お願い、お兄さん」

わざとらしく甘えた声を出し、くいくい、と腰を上げ下げする少年に、ふっ、と息だけで微笑した青年の手がベルトに伸ばされる。

「餓鬼の癖にイヤらしいな。本当に初めてか?」

ガチャガチャ、と音を立ててベルトが外されていく。
疑うように問う青年に、唇を尖らせて彼の髪を引っ張った。

「初めてですよー。僕、女の人苦手だから、下のキノコ君、勃たないし、ゲイじゃないから、男でも勃ちません。そもそも、他人に触られるの、キライ」
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