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一章:精神病×難病×家庭教師

友人は大切に 04

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 昼休みに入り、俺はゆっくりと立ち上がる。
ずっと座っていた後に立つと、足の違和感が強いために良くふらついてしまう。
よっ、と小さく声を溢し、片手に弁当箱を持ち、ひょこひょこと七海の机まで歩いて行く。


 七海は近くの席の生徒と話していたが、俺に気付くと、話を切り上げたのだろう、片手にコンビニ袋を下げて近付いて来る。

「メシ、食い行くか。歩ける?」
「おう、大丈夫大丈夫! どこ行く?」

足を軽く引き摺る俺に、七海の眉は下がる。
心配ないと笑顔を向けるが、七海の表情は冴えない。

「中庭にでも行くか」
「ああ、職員室の前の?」
「そっ。先生の目に着きやすいから、あんま人いねえのよ。穴場中の穴場。悪さをしなきゃね。それに、ツウリの場合、何かあった時に大人の目が届いてる場所のが良いっしょ?」

へらへらとしているが、やはり七海は色々なことを考えてくれている。
大人だ。
俺は頷いて踵を返した。
七海と並んで教室を出て行く。


 中庭には、ベンチやカフェにあるような丸いパラソル付きのテーブルが幾つかある。
それでも、あまり人がいないのは、職員室の前だからであり、利用者の殆んどが教員であるからだ。


 今日も先生達の姿はちらほらと伺えたが、生徒の姿は少数であった。
生徒会の人間や委員長クラスの真面目な生徒の姿は、少しだけ確認出来た。
真面目な人間にとっては、居心地が良いようだ。
俺達は、端っこのテーブルに荷物を置き、向き合う形で腰を落ち着かせた。


 俺は弁当の包みを開き、七海はがさごそと袋の中からパンを取り出した。
頂きます、と手を合わせてから箸を手に取った。
パンの包装を豪快に破り、パンにかぶり付いた七海の口がもぐもぐと動いている。
ごくん、と飲み込んだ七海は、袋の中から有名どころのお茶のペットボトルを取り出して一口飲んでいる。
母親特性の弁当をつついている俺をまじまじと見詰め、七海が口を開いた。

「ツウリって、育ちが良いよな。毎回そうやって挨拶するし」
「いや、別に良くはないよ。母さんが煩いだけだって。そんなことより、七海に聞きたいことがあるんだけど」

俺は照れから俯いた。
いきなり何を言い出すんだ、と胸中で文句を言うも、悪い気はしない。
俺は視線だけ七海に向けて本題に入ろうとした。

「ん? 何だよ、唐突に。彼女はいないから、いつでも告白OKだぞ?」
「違うから。そうじゃなくて。ある人に出会ってから、考え方とか姿勢が前向きになったり、その人のこと特別だって想う気持ち。何て言う感情なのか解るか?」
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