72 / 78
第七十二話
しおりを挟む
「……どういうことだ実乃里。中村は楠先輩にキスをされたことが嫌だったんじゃないの」
「……私もそうだと思ったんだけど、違うみたいだよ」
「……っていうかそれってつまり……」
急に愛音と実乃里は二人だけでコソコソと話し合う。
一体なにを話しているのだろう。
きっと優には聞かれたくない話だからコソコソと話しているのだろう。
二人が優しいってことは知っているから悪口を言っているわけではないだろう。
「中村って楠先輩にキスをされたことを悩んでわけじゃないならなにに悩んでんの?」
「楠先輩が私とキスをしたことを忘れてからだよ。ホント信じられない。私ファーストキスだったのに。それを忘れてるってサイテー。ホント、能天気な楠先輩を見てるとモヤモヤするしイライラもしちゃう。楠先輩のバカ」
愛音に質問され、優は思わず感情が乗ってしまい饒舌に葵の不満をぶちまける。
そんな優を見て、なぜか愛音も実乃里も呆気にとられていた。
「……もしかしてあたしたち中村の惚気に付き合わされてるだけじゃない?」
「……本人は自覚してないけど惚気だよね」
「……まっ、深刻な悩みじゃなくて良かったと思えば良かった良かった。これなら二人の仲が戻るのも時間も問題だね」
二人がまたコソコソと話している。
悪口は言っていないと思うが、気になるものは気になる。
「中村。すぐに仲直りできるさ」
「きっと中村さんと楠先輩なら大丈夫だよ。中村さんも素直に自分の気持ちを伝えたらすぐに仲直りできると思うよ」
「えっ、どういうこと二人とも? そんな単純な問題じゃないよ」
愛音と実乃里は自信満々に大丈夫だというが、どうしてその結論に辿り着いたのか理解できなかった優は困惑する。
「大丈夫。中村が楠先輩が好きなら大丈夫だ」
「そうだね。中村さんが楠先輩のことが好きならなにも問題ないよ」
「確かに楠先輩のことは好きだけど……なんで二人ともニヤニヤしてんの~」
ニヤニヤしている愛音と実乃里に挟まれた優は意味が分からず絶叫する。
なにが大丈夫なのか全然分からなかった。
放課後。
実乃里も愛音も放課後予定があるということで、今日は一人での帰宅である。
「中村さん、見つけたわっ」
廊下を歩いていると聞きなれた先輩の声が聞こえてきた。
そしていきなり後ろから葵に抱きしめられる。
後頭部に柔らかい双丘が当たり、心拍数が上がる。
制服越しでも分かるぐらい本当に葵のおっぱいは柔らかくて弾力がある。
「捕まえたわ、中村さん」
「……」
葵は優に逃げられないように力強く抱きしめるが、決して痛くはなかった。
葵は安堵の息を漏らす。
「……私もそうだと思ったんだけど、違うみたいだよ」
「……っていうかそれってつまり……」
急に愛音と実乃里は二人だけでコソコソと話し合う。
一体なにを話しているのだろう。
きっと優には聞かれたくない話だからコソコソと話しているのだろう。
二人が優しいってことは知っているから悪口を言っているわけではないだろう。
「中村って楠先輩にキスをされたことを悩んでわけじゃないならなにに悩んでんの?」
「楠先輩が私とキスをしたことを忘れてからだよ。ホント信じられない。私ファーストキスだったのに。それを忘れてるってサイテー。ホント、能天気な楠先輩を見てるとモヤモヤするしイライラもしちゃう。楠先輩のバカ」
愛音に質問され、優は思わず感情が乗ってしまい饒舌に葵の不満をぶちまける。
そんな優を見て、なぜか愛音も実乃里も呆気にとられていた。
「……もしかしてあたしたち中村の惚気に付き合わされてるだけじゃない?」
「……本人は自覚してないけど惚気だよね」
「……まっ、深刻な悩みじゃなくて良かったと思えば良かった良かった。これなら二人の仲が戻るのも時間も問題だね」
二人がまたコソコソと話している。
悪口は言っていないと思うが、気になるものは気になる。
「中村。すぐに仲直りできるさ」
「きっと中村さんと楠先輩なら大丈夫だよ。中村さんも素直に自分の気持ちを伝えたらすぐに仲直りできると思うよ」
「えっ、どういうこと二人とも? そんな単純な問題じゃないよ」
愛音と実乃里は自信満々に大丈夫だというが、どうしてその結論に辿り着いたのか理解できなかった優は困惑する。
「大丈夫。中村が楠先輩が好きなら大丈夫だ」
「そうだね。中村さんが楠先輩のことが好きならなにも問題ないよ」
「確かに楠先輩のことは好きだけど……なんで二人ともニヤニヤしてんの~」
ニヤニヤしている愛音と実乃里に挟まれた優は意味が分からず絶叫する。
なにが大丈夫なのか全然分からなかった。
放課後。
実乃里も愛音も放課後予定があるということで、今日は一人での帰宅である。
「中村さん、見つけたわっ」
廊下を歩いていると聞きなれた先輩の声が聞こえてきた。
そしていきなり後ろから葵に抱きしめられる。
後頭部に柔らかい双丘が当たり、心拍数が上がる。
制服越しでも分かるぐらい本当に葵のおっぱいは柔らかくて弾力がある。
「捕まえたわ、中村さん」
「……」
葵は優に逃げられないように力強く抱きしめるが、決して痛くはなかった。
葵は安堵の息を漏らす。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
好感度MAXから始まるラブコメ
黒姫百合
恋愛
「……キスしちゃったね」
男の娘の武田早苗と女の子の神崎茜は家が隣同士の幼馴染だ。
二人はお互いのことが好きだったがその好き幼馴染の『好き』だと思い、恋愛の意味の『好き』とは自覚していなかった。
あまりにも近くにいすぎたからこそすれ違う二人。
これは甘すぎるほど甘い二人の恋物語。
ウザい先輩と可愛げのない後輩
黒姫百合
恋愛
「本当に君は可愛げのない後輩だな」
高校一年生の春、北野真希(きたのまき)は高校三年生の鈴木紗那(すずきさな)に絡まれる。
紗那は真希と仲良くなりたいと思うものの、他人に興味がない真希は紗那をウザがる。
でも何度も話しかけられるたびに真希の方も無視するよりも適当に相手にする方が、時間を浪費しなくて済むことに気づき、少しずつ紗那との交流が増えていく。
そんなある日、紗那とキスをしてしまい……。
ウザイ先輩と可愛げのない後輩が紡ぐ、ラブコメが今、始まる。
柊瑞希は青春コンプレックス
黒姫百合
恋愛
「何度も言うが私は青春が嫌いだ」
高校一年生の男の娘、柊瑞希は青春が大嫌いだ。
理由はそんな安っぽい言葉で自分の人生や苦悩を語ってほしくないからである、
青春なんていらない。
瑞希はそう思っていた。
部活も時間の無駄だと思った瑞希は帰宅部にしようとするものの、この学校には帰宅部はなく瑞希はどこかの部活に入るように先生に言われる。
それと同じタイミングで瑞希と同様部活は時間の無駄だと考える少女が先生と言い争っていた。
その後、瑞希は部活をしない部活を創立し、二人の女子と交流を持つようになり……。
ひねくれ男の娘が少しずつ大切なものを知っていく物語が今、始まる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる