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66話

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 今日もホームルームが終わり、やっと学校から解放される。
 放課後も空は厚い雲で覆われている。
 天気予報通りなら、今日は雨は降らないらしい。

「一緒に帰ろう、茜ちゃん」
「そうだね。帰ろうか」

 早苗は隣の席の茜に話しかける。
 茜もいつも通りの表情で頷く。

「ごめんね早苗、茜。今日は渚と二人でデートしてくるから」
「明日は一緒に帰れるから」
「うん。二人とも楽しんできてね」
「別に大丈夫。二人とも楽しんできてね」

 今日はミチルと渚のカップルが二人でデートしに行くらしく、二人は少しだけ申し訳なさそうに一言謝ってから、教室を出て行く。
 ミチルと渚はもう、友達ではなくカップルなのだ。
 カップルなら二人の時間も必要だろう。
 早苗も茜も嫌な表情はせずに、むしろラブラブな二人を微笑ましく見送った。
 その後、早苗と茜は二人並んで教室を出て廊下を歩く。

「なんか騒がしいね」

 早苗たちは昇降口前の掲示板前で、騒がしい集団を目撃する。

「前もこんなことがあったよね」
「うん」
「だからあたし的には嫌な予感しかしないんだけど」

 前回もこのようなことがあったことを思い出した茜は憂鬱そうに頭を抱えていた。
 確かに前回もこんなことがあったが、さすがに二回連続でそんなことはないと早苗は心の中で思った。
 だがその予想はすぐに裏切られる。
 早苗たちが掲示板前まで来た瞬間、一斉にそこに集まっていた生徒が早苗たちに注目する。
 いや、早苗たちではなく茜に注目した。

「飯島先輩に告白されたのって本当なのっ」
「それで、告白は受けたの。断ったの」
「やっぱり、武田さんと神崎さんって付き合っていなかったんだ」
「あの飯島先輩が神崎さんを選ぶなんて意外だったなー」
「あ、あたしの会長が。あたしの会長が。あたしではなく、あの女を好きになるなんて」
「しっかりしてください会長。まだ、まだ二人は付き合っておりません。まだ会長にもチャンスは残っております。我ら非公認飯島密樹ファンクラブは、会長と密樹様の結婚を応援しております」

 一部、変な非公認飯島密樹ファンクラブが戯言を言っていたが、他の生徒の反応を見る限りだいたい、どんな内容が記事に載っているのか推測ができた。
 きっと、昨日密樹が茜に告白をしたというような感じの記事が張り出されているのだろう。
 そのせいで、茜が目の前に来た瞬間、集まっていた生徒は茜を囲むように騒ぎ出す。
 しかし茜はあまり気にしていないようで、むしろ面倒くさそうな表情を浮かべている。
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