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75話

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「初めてボクサーパンツを履いたが、なんか変な感じだな」
「私はいつも履いているので、その変な感じが分かりませんが」
「そうか。けど初めてボクサーパンツを履いたが結構良いな。意外にもフィットする」
「気に入ってもらえたなら良かったです」

 意外に履き心地が良かったのか、紗那がボクサーパンツを気に入る。

「やはりノーブラはなんか落ち着かないな。なんか恥ずかしい」
「そうなんですか? 私はつけないので分かりませんが。透けてないので別に恥ずかしがることはないと思うんですけど。さすがにブラジャーはないのですみません、我慢してください」
「いや、文句を言ったわけじゃないんだ。嫌な言い方をしてすまない」
「いえ」

 さすがに真希は男の娘なのでブラジャーまでは持っていなかった。
 別にノーブラでも服で完全に隠れているし、透けていないのだからなぜ恥ずかしいのか分からなかった。
 ブラジャーを貸せなかったことを謝ると紗那も真希に気を使わせてしまったと思ったらしく紗那も真希に謝る。
 例え真希が女の子でもあんなにでかいブラジャーは持っていなかっただろう。
 それぐらい紗那のおっぱいは破壊力が大きかった。
 その後、一時間ぐらい紗那と雑談をしていた。
 まだ雨は降っているが、かなり勢いは弱くなっている。
 これなら傘を貸せば帰れるだろう。

「結構雨脚が弱くなったので帰りますか?」
「そうだな。あまり長居をしていても北野後輩に悪いしな。お暇させていただくよ。今日は着替えとかありがとう。助かったよ」

 シャワーや着替えを貸してくれたことに感謝しながら紗那は家に帰るために立ち上がる。
 真希も玄関前まで見送るために立ち上がる。

「あれ……」
「北野後輩っ」

 急に立ち上がったせいで貧血になったのか、やはり雨で体を冷やしてしまったのかは分からないが頭から血がさぁーと引いていく。
 頭がクラクラして足に力が入らない。
 よたつく真希を心配した紗那が真希の体を支えようとする。
 しかし、支える態勢が悪かったせいで踏ん張ることができずに二人してベッドに倒れこむ。
 一瞬、なにが起こったのか分からなかった。
 いや、今も分からない。
 目の前に吐息がかかりそうなぐらい近くに紗那の顔がある。
 いや、吐息がかかりそうなぐらいではない。もうかかっている。
 唇に触れる柔らかい感触。
 その感触はとても瑞々しく弾力があり、今まで唇では触れたことのない感触だった。
 二人の視線が混じり合う。
 紗那の胸の感触もダイレクトに伝わっていく。
 女の子の体ってこんなに柔らかいんだと初めて知った真希だった。

「すまない北野後輩。重くなかったか」
「はい、大丈夫です……」

 紗那も真希になにをしてしまったのか理解しているらしく、慌てながら真希の上から体をどかす。
 真希も平静を装うとしたが、唇の感触が忘れられず頬を赤く染め、紗那から視線をそらしてしまう。
 今のは事故だから気にする必要はないと伝えるべきなのだが、動揺しすぎて言葉が出てこない。
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