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ドリーム・アウェイク

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「俺の名前は夢乃望。魔法渋谷区長をやっている、ただの高校生さだ。君の名前は?」
「私は・・・・・・私の名前は分からない。記憶喪失なの。」
「なんだって!?」
 新宿の魔法使いは記憶を失っていた。 
「実は新宿の魔法騎士団に無理やり加入させられた時に、それまでの記憶を魔女に奪われたの。」
「酷い! 魔女は、なんて悪い奴なんだ!?」
 改めて魔法東京都知事の魔女の残酷さを実感する。
(やりたい! 俺も弱者の記憶を奪ったり、奴隷と奴隷を戦わせたり、やってみたい! 羨ましすぎるぞ! 魔女め!)
 狂気に洗脳されている望は魔女に憧れた。
「でも街の噂では、魔法新宿区長や魔法東京都知事も誰かに操られているって言われていたの。だって、本当にあんな悪いことを偉い人たちがやるかしら?」
「そういわれてみれば、そんな気もするな。」
 望は悩んで見せる。
(やる! 偉い人は権力に良い痺れるものだから、自分のしたいように弱者を操るのが楽しいんじゃないか! それが権力者の美学だ!)
「確かに、魔法新宿のように他に魔法使いがいることが分かった以上、その一つの区は何属性で縛られるのか? それとも属性はシャッフルなのか? また23個の独立国があるという設定なのか? それとも最低23個の属性がいるのか? また実名崩しにしたのが間違いで、やっぱり敵は「さまよえる新宿区長レベル1」の方が良かったな。だって毎回、名前を考えるのが面倒臭いんだもの。」
 これだけで望の頭の回転の速さが分かる。
「区長さんはすごいのね。頭の回転が速いというよりも、全体把握をしようとしているのが良くわかるわ。」
 新宿の魔法使いは望に感心する。
「行こう。君が名前を失う前の世界へ。」
 望はニコッと優しい笑顔で新宿の魔法使いに手を差し出す。
「はい。」
 少し頬を赤くしときめいてしまった新宿の魔法使いは望の手を握る。
「でも、時間を遡るなんてできるの?」
「できるよ。俺は夢を司る魔法使いだからね。気にしないで。俺は何回も誰かの夢の世界を行き来しているから。」
 望の夢魔法の使い方は無限大である。
「ねえねえ、一つだけお願いをしていい?」
「なんだい?」
「私に名前を付けてほしいの。ダメかな?」
 新宿の魔法使いは忘れてしまった本当の名前の代わりとなる自分の名前が欲しかった。
「いいよ。ハチにしよう。女の子だからハチコ。」
「意味は?」
「魔法渋谷の駅前の犬の銅像の名前。」
 こうして新宿の魔法使いの名前はハチコに決まった。
「いくよ! 夢魔法! ドリーム・アウェイク!」
「はい!」
 望とハチコは過去の世界に旅立った。
 つづく。
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