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祖父祖母、ペットを飼う

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 獏というものは、夢を食べる生き物らしく、決まった姿形がなく、見た人の想像が姿になるという。また獏自身が可愛い姿になりたいと思ったら、カワイイ姿になっても良いとも解釈できる。
「ギャアー!? ツチノコ!? 出ていけ!」
「なんで象がいるのよ!? 出ていけ!」
「ジャイアントパンダ!? あり得ないんだけど!?」
 まるでのっぺらぼうの様な生き物が、人間のペットになりたくて、家の玄関の扉を叩く。その度に家の人間が想像した姿に見られるのだが、実際に目の前に現れるとモンスターに見えてしまうものである。
「はあ!? 僕は悪くない!。人間が勝手に好き勝手に想像して、その姿に見えるだけで、どうして僕が非難されないといけないんだ! 悪いのは、相手だ! 僕は無実だ!」
 獏、16歳の青春だった。
「あら? かわいいワンちゃん。」
「そうか? わしにはカワイイ猫ちゃんに見えるけどな。」
 そこに望の祖父と祖母が現れる。
「え? 僕がかわいい?」
 獏は生まれて初めて「カワイイ」と誰かに言ってもらえた。
「う、嘘だ!? 僕がかわいい訳がない!? 僕なんか、みにくいアヒルの子なんだ!?」
 獏は、今まで傷ついてきたので、祖母と祖父の言葉を素直に信じられなかった。
「うちで飼おうかしら?」
「それはいい。老後の生活が楽しくなりますよ。」
 祖父と祖母は捨て獏を自分の家でペットとして飼おうと思った。
「買う!? まさか、僕が珍しい珍獣だから高値でブローカーに売りつける気なんだな!? なんて恐ろしい爺と婆なんだ!?」
 獏は自分が捕まえられ売り飛ばされると恐怖を感じ、ブルブルと震えた。
「よっこいしょ。あら? 思ったより軽いわね。」
「う~ん、こいつの顔を見てると可愛いが、犬か猫か分からんな?」
 祖母は獏を持ち上げて抱きしめた。祖父は獏の顔を不思議そうに覗き込む。
「フニャ~。」
 祖母のスキンシップで、さっきまで警戒していた獏の力が抜ける。
「温かい。こんなに優しさに包まれたのは初めてだ。ああ~、なんだかホッとするな。このまま眠りたいな。」
 獏は祖母の腕の中で幸せを感じていた。
「犬でも猫でもいいから、おばあさんとおじいさんと一緒にいたいな。zzz。」
 そのまま獏は笑顔で眠りについた。

「ただいま! じいちゃん、ばあちゃん、お腹空いた! 飯にしようぜ!」
 お腹を空かせて望が家に帰ってきた。
「痛い!? なんかに躓いた!?」
 望の足は何かに躓いた。
「あれ? こいつは犬? 猫?」
 新種の犬猫? 猫犬? はカワイイ理想の姿を手に入れて、望の家にペットとして飼われることになった。
 つづく。
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