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ワタナーベと悪魔バエル

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「平和って、いいな~。」
 サトーは何も無い日常に幸せを感じていた。
「皆さん! 臨時ニュースです!」
 その時、臨時ニュースが流れる。
「村で火事・水没・落雷・竜巻・土砂崩れが起こりました!」
 サトーの住むシブヤ―村は自然災害に溢れていた。
「ゲッ―!?」
 サトーは絶句した。
「ま、まさか!? これってあいつらが原因なのでは!?」
 そしてサトーの嫌な予感はよく当たった。
「くらえ! ファイア・ボール! 乱れ打ち!」
 火の精霊サラマンダーは火を放ち。
「熱い! プールを作るぞ! スプリング・ウォーター!」
 水の精霊ウンディーネは水を導き。
「電気代がもったいないな。雷でも降らせるか! ライトニング・サンダー!」
 雷の精霊サンダーバードは節約のために大地に雷を降らせる。
「まったく迷惑な奴らだ。同じ精霊として恥ずかしい。どこかに吹き飛べ! ハリケーン・トルネード!」
 風の精霊シルフは良かれと竜巻を起こした。
「少しは人の役に立つことをしなさい! ソイル・スライド!」
 土の精霊ノームは土砂崩れを起こし人の役には立っていない。
「おまえらは悪魔か!?」
 サトーは精霊たちに恐怖した。
「ワッハッハー! キャッハッハ!」
 精霊たちの笑い声が木霊する。
「各インフラ会社は電気や水道の復旧に当たっています。」
 恐るべし、精霊さんたち。

「悪魔より悪魔だな。」
 魔界の魔王シュベルトは地上での精霊たちの活躍に悪魔を感じた。
「おい、おまえたち。どうすればあの凶悪な精霊たちに勝てると思う?」
 悪魔たちは会議を始める。
「精霊たちを分断して一人になった所を5人で襲うとか?」
 悪魔バエルは数の原理を訴える。
「こいつらが自然災害の原因だとSNSで流して、社会的に精霊を糾弾して抹殺する。」
 悪魔アガレスはIT系。
「まてよ!? 精霊を司っている人間はもっと狂暴なのでは!?」
 悪魔ウァサゴは良い所に気がついた。
「先に精霊が宿っている人間を殺せばいいんじゃないか?」
 悪魔ガミジンもグット・アイデア。
「それよか俺たちが人間に取り憑けばいいのだ!」
 悪魔マルバスは賢かった。
「おお! それがいい! それなら人間に依存している精霊たちと互角に戦える!」
 悪魔たちの作戦は決まった。
「いけ! 悪魔たちよ! 人間に取り憑いて、精霊たちを倒すんだ!」
 魔王シュベルトの命令が飛ぶ。
「はい! 魔王様! 行ってきます!」
 悪魔たちは人間界に取り憑く人間を探しに行く。
「がんばれ! 悪魔たち! これも戦争や環境破壊をやめられない人間から地球を守る為の聖戦だ!」
 魔王シュベルトは悪魔でも地球のために戦っているのだ。

「サラちゃんたち。大人しくしないとおやつをあげないよ。それでもいいの?」
 サトーは精霊たちを厳重注意していた。
「ごめんなさい。」
 おやつには代えられないので大人しく反省する精霊たち。
「精霊さんたちを外して、もう俺たちの能力の一つになったとか、水の精霊ウンディーネの鎧と水刀とか水龍とかなにか設定に変えた方が村が被害にあわなくていいのではないだろうか? いや、それだと精霊さんたちのぬいぐるみが売れなくなる。それは困る!? いったいどうすればいいんだ!?」
 スズーキは設定に困っていた。
「精霊さんたち。今日の奴はシュークリムだよ。」
 そこに救い人タカハッシーがおやつを持ってやってくる。
「反省! 終了!」
 立ち上がる精霊さんたち。
「シュークリム! わーい!」
 そしてシュークリムに群がる精霊さんは正にイナゴの集団だった。
「美味しい! アハッ!」
 精霊さんたちに反省の二文字はない。
「考えるだけ無駄だな。なるようにしかならない。」
 タナーカは精霊さんたちの性格に諦めていた。
「これでいいのだ。」
 話を終えるイトーであった。

「どの人間に取り憑けばいいんだ?」
 悪魔バエルは人間界にやって来た。
「人殺しか? それとも銀行強盗? どの人間がいいのだろう?」
 悪魔バエルは取り憑く人間を物色していた。
ピキーン!
 その時、悪魔バエルは人間の悪意を感じとる。
「なんだ!? この気は!? なんて禍々しい悪意に満ちた気なんだ!?」
 悪魔バエルは悪意に退けられそうになる。
「決めた! この恐ろしく強大な悪意こそ、俺の取り憑く人間だ!」
 悪魔バエルは悪意の方へ駆けて行く。

「ズージャニのコンサートを私一人のために行ってほしい! 他の人間はいなくなってしまえばいいのに!」
 悪意の少女ワタナーベ。
「な、なんて恐ろしい人間なんだ!? 他の人間に消滅しろだろ!? 悪魔でも皆殺しがやっとだぞ!?」
 悪魔バエルは独特な価値観をしていた。
「おい。そこのちんちくりん悪魔。」
 ワタナーベは悪魔バエルに声をかける。
「はい!? この女、悪魔の俺の姿が見えるというのか!?」
 悪魔バエルは人間如きに姿が見えることに驚く。
「当然だ。私は人間だが、悪魔より悪魔なら、おまえの姿が見えてもおかしくはないだろう?」
 ワタナーベは悪魔バエルに問いかける。
「恐ろしい!? 悪魔を超える人間!? そんな人間に出会ったのは初めてだ!?」
 変な意味で精霊さんと人間が出会うより面白い展開。
「おい。取り憑く人間を探しているんだろう? ちょうど退屈していたんだ。私に取り憑かしてやろう。」
 ワタナーベは悪魔バエルを自分に取り憑いて良いという。
「結構です。他を探します。」
 しかし悪魔バエルはワタナーベが怖いので断る。
「逃がさんぞ! 悪魔め! 私の奴隷にしてやる! 私に仕えることができて光栄だと思え!」
 高圧的なワタナーベの態度。
「ギャアアアアアアー!」
「契約成立だな。アハッ!」
 ワタナーベと悪魔バエルの契約が成立した。

ピキーン!
 サトーたちは悪意を感じとる。
「悪魔だ!? それも今までの悪魔とは比べ物にならないような強大だ悪意だ!?」
 感じた悪意はとても大きな悪意だった。
「みんな! 行ってみよう!」
 サトーは悪魔の元に向かおうとする。
「嫌だ。怖い。というキャラクターがいるのが普通ではなかろうか? 私は頭脳明晰キャラだから除外される。」
 スズーキの提案。
「そういえば、サトーはドジっ子。スズーキは理屈屋。俺はお菓子供給係。セーフ! 情けない弱虫キャラは俺じゃないナッシー。」
 タカハッシーはお菓子で甘党の精霊さんを飼いならしている。
「じゃあ、俺しか残っていないじゃないか!? って、イトー! おまえもまだいるだろうが?」
 タナーカの弱虫キャラが決まった。
「悪いが俺は登場シーンから弱虫キャラではない。俺は土の精霊ノームを司るマイペースキャラだ。俺の人生に一片の悔い無し!」
 イトーは我が道を行く。 
「もう、どうでもいいから悪魔の元に向かおうぜ。」
「おお!」
 こうしてサトーたちは悪魔の元に向かう。

「こ、これは!?」
 悪意の現場に駆け付けたサトーたちが見たものは。
「誰です? あなたたちは。あなたたちが私の夢を阻もうとしているのですか?」
 そこにいたのはワタナーベと悪魔バエルであった。
「ワタナーベ様。あれが悪い精霊戦士どもです。あなたのズージャニのコンサートに行くという夢を奪った悪い奴らです。」
 悪魔バエルはワタナーベに悪魔らしく囁く。
「なんですって!?」
 ワタナーベは邪魔をする精霊戦士の存在を知り驚く。
「あれは悪魔バエル!? 確かに倒したはずなのに!?」
 そう。悪魔バエルはサトーに倒されたはずだった。しかし覚えていろと星になって消えたので再び登場しても不思議はない。
「女の子に何か出鱈目なことを言っているぞ!?」
 サトーたちには少女ワタナーベが悪魔バエルに唆されているように見えた。
「許さんぞ! 絶対に許さんぞ! 私の夢を阻むものは、例え相手が神であっても許さない!」
 ワタナーベの怒りが込み上げてくる。
「ワタナーベ様。バエル・変身と言ってください。そうすればあなた様は強大な力を手に入れることができます。」
 悪魔バエルは更に囁く。
「う~ん。デビル・チェンジ・バエルの方が語呂がいいんじゃない?」
 ワタナーベは提案する。
「何でもいいので好きに行ってください。」
 諦めた悪魔バエル。
「精霊戦士ども! 私の行く道を阻んだことを後悔させてやる! デビル・チェンジ・バエル!」
 ワタナーベが悪魔バエルと一体化し変身していく。
「悪魔戦士バエル! 降臨!」
 ワタナーベは悪魔戦士バエルに変身した。
「なんだと!? 女の子が悪魔に変身した!?」
 サトーたちも初めて悪魔戦士を見るので驚いた。
「あいつの血は何色なんだろう? 赤? 緑?」
 スズーキは悪魔の血の色に興味があった。
「そんなことはどうでもいい! それよりも今日のおやつを何にするか考えろ!」
 タカハッシーもおやつにしか興味はなかった。
「怖いよ! 怖いよ! 暗いよ! 狭いよ! 怖いよ!」
 タナーカは弱虫キャラ。
「俺、自分の世界が保てるマイペースキャラで良かった。感謝します。神様。ありがとう。」
 イトーは自身のアイデンティティを神に感謝した。
「おまえたちゴチャゴチャうるさいんだよ! 一掃してくれる! くらえ! バエル・パンチ!」
 悪魔バエルが攻撃を繰り出す。
「ウワアアアアアー!?」
 サトーたちは吹き飛ばされる。
「見たか。これが私の実力だ。ワッハッハー!」
 勝ち誇るワタナーベ。
「クソッ!? なんてパワーだ!? 負けるもんか! みんな! 変身だ!」
「おお!」
 サトーたちは精霊戦士に変身する。
「この物語は異世界ファンタジーだから精霊戦士ではなく、精霊騎士の方が良いんじゃないか?」
 ふとスズーキは思った。
「今は戦闘中だからやめてくれ。」
 サトーはスズーキを窘める
「サラマンダー・変身!」
「向こうに合わせると、スピリット・チェンジ・ウンディーネ! になる。確かに分かりにくくなるけど、カッコイイ様な。」
「サンダーバード・変身!」
「シルフ・変身!」
「ノーム・変身!」
 サトーたちは精霊戦士に変身する。
「愛と勇気の精霊戦士! 参上! 地球の平和は俺たちが守る!」
 口上と決めポーズを決めるサトーたち。
「いくぞ! 悪魔バエル! サラマンダー・パンチ!」
「ウンディーネ・パンチ!」
「サンダーバード・パンチ!」
「シルフ・パンチ!」
「ノーム・パンチ!」
 サトーたちは必殺技を繰り出す。
「なに!? 俺たちの必殺技が効かない!?」
 しかしサトーたちの攻撃でワタナーベはビクともしなかった。
「フッ。そんなものが私に効く訳がない。これから私が本物のパンチというものを教えてやろう。」
 ワタナーベの悪意が高まっていく。
「なんて強大な悪意なんだ!? 禍々しいマリスだ!?」
 サトーたちはワタナーベの悪意に恐怖した。
「あ、ズージャニのコンサートが始まっちゃう!? 急いでいかなくっちゃ! またね! バイバイ!」
 ワタナーベはアイドルのコンサートの方が大切なので精霊戦士にとどめを刺さないで帰って行った。
「か、勝ったのか? 俺たちは。」
「何か用かな? 見逃してくれたのか?」
 サトーたちは命拾いした。
「正義は勝つ! ワッハッハー!」
 とりあえず価値の名乗りしておいた精霊戦士たち。
「これでいいのか?」
 疑問を抱きながらも精霊戦士の戦いはつづく。
 つづく。
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