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スライムマン

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「いくぞ! ベリアル!」
「やっちゃえ! アーサー!」
 怖いもの知らずにも程がある、セーラとアーサー。
「遊んであげましょう。人間たち。」
 余裕で防御無しのベリアル。
「ヒイイイイイー!? 戦いは嫌い!?」
 ビビっているヘスティアー。
「大丈夫だ。ヘスティアー。」
「え?」
「よく見て。もしかしたらベリアルは強いかもしれないけど、護衛は頭スライムの体は白黒タイツの変態ばっかりよ。勝機はあるわ!」
 セーラ姫とアーサーの自信は、ベリアル以外が弱そうな所から湧いてくる。
「でも、どうしてスライムに人間の体がついているの?」
 セーラ姫は良い所に気がついた。
「いい質問ですね。私が答えてあげましょう。」
 ベリアル先生は魔界や魔物の事情に精通している。
「天界の唯一無二の絶対神になったルシファーは、冥界をハーデースに与える代わりに、いくつか契約をさせました。その一つに魔物も人間と仲良く暮らすために、ハリウッドの力を使い魔物と人間を合成するキメラ化実験をすると。」
「キメラ化実験!?」
「それでスライムと人間を足したら、頭がスライムで体はタイツのスライムマンなのか。」
 スライム人間は残念なキメラであった。
「成功事例は、魚と人間で半魚人。とかげと人間でリザードマンなどです。結局は異物として人間は仲間として認めてくれませんでした。それ故に彼らは魔物として扱われたので、魔物らしく人間界で自分たちが暮らしていけるような土地を占拠して生きています。分かりましたか?」
「はい。ありがとうございます。ベリアル先生。」
 セーラ姫はベリアルを師と崇める。
「ヘスティアー、おまえもベリアル先生くらいの知識は勉強しておけよ。」
「ゴロゴロ~。何か言った? アハッ!」
 笑って誤魔化すヘスティアー。
「それにしても、ルシファー神は、本当に世界を平和にしようとしていたのかしら?」
「会って話を聞いてみないと分からないね。いったいどこにいるのやら?」
 セーラ姫とアーサーは神ルシファーに疑問を抱く。
「ワッハッハー! 観念しましょう。」
 突然ベリアルが楽しそうに笑い出した。
「私たちの勝ちでいいの?」
「はい。殺してしまうには面白い人たちだ。素直に観念しますから、私を仲間にして下さい。」
「ええー!? 仲間!?」
「姫が言ったのですよ。素直に観念するなら仲間にして下さると。あなた方の身の安全は保障しますよ。」
「仲間! ベリアル、私と友達になりましょう!」
「はい。セーラ姫。」
 こうしてセーラ姫は冥界へ、ベリアルはハリウッド・タワーから天界を目指す。
 つづく。
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