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アップルと気持ち

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「いじめられている、私は面白くなかった。」
 死んだはずのアップルが二本足で立っている。
「どうして動いている!? おまえは確かに殺したはず!? なぜ死んでいないのだ!?」
 ストロベリー王女は、目の前の出来事を理解できなかった。
「当然でしょ? だって、私は神だもの。」
 アップルは、天にいます神様公認の神様候補者であった。
「神!? アップル、おまえごときが神だというのか!?」
「そうよ。私は神様公認の純粋な神です。」
ストロベリー王女は、自分の出来損ないの妹が神と聞いて驚く。
「し、信じられない!? おまえみたいなドジっ子、ダメっ子、使えない子、いらない子とバカにされて生きてきたおまえに、神になる価値があるものか!?」
「あなたがたにいじめられてきたおかげで、私は自分の手を汚さずに済んだ。私はは他人の痛みが分かる人間になれた。だから私は純粋な人間でいられた。」
「そうだ。アップルは、あなたと違って、心の優しい温かい人間だ。」
「クウウウッ!?」
 数の上でも不利になったストロベリー王女。
「どうです? 意地汚いお母様を盾にして、陰険に私をいじめていたお姉様お一人では、私をいじめることもできないでしょう。」
「何を!? 私にずっといじめられて生きてきた、アップルの分際で!?」
「いじめられてきたのではなく、私はお姉様を相手にしなかっただけです。」
「なに!?」
「私がお姉様に抵抗しなかっただけです。もし私が殴られて殴り返していたら、性格の悪いお姉様と同じになってしまいます。私は、お姉様と同類になるのが嫌だから、やり返さなかっただけです。」
「そこまで私を蔑んでいたというの!?」
「はい。お姉様が可哀そうだから。」
「アップルに、アップルごときに、この私が軽んじられる!?」
 下に見ていたアップルに、実は哀れに思われていたことを知ったストロベリー王女はショックと恥ずかしさを覚える。
「私の生前お姉さまに言いたかったことはお伝えしたので、お話は終わりです。お姉様には死んでもらいます。」
 アップルは、姉のストロベリー王女を死を言い渡す。
「わ、わ、私を再び殺すというのか!? 私はおまえの姉だぞ!?」
 ストロベリー王女は、必死にアップルに食い下がる。
「私もお姉様の妹でしたが、お姉様は私を毎日いじめられましたよね?」
「そ、それは!?」
 邪悪な行いを行ってきたストロベリー王女は、アップルに言い返すことができない。
「ジュライ。」
「アップル。」
 見つめ合うアップルとジュライ。
「ただいま。」
「おかえり。」
 アップルとジュライも再び出会えたことに喜びを感じている。
「でも、どうしてアップルは死んだフリなんかしたの?」
「これよ! これ! こいつを手に入れるためよ!」
 アップルの手には、アップルのDNA入り呪いの藁人形が握られてあった。
「会議でボツになった呪いの藁人形!?」
 ジュライは、どこからそんなものが!? と驚く。
「どうやら、この呪いの藁人形をいじめると、本体である私もダメージを受けるみたいなのね。だから、あなたがブルーベリーお母様を倒して、床に落ちた所を拾って回収したのよ。」
 アップルが死んだフリをしたのは、呪いの藁人形を回収するためだった。
「そのためにわざわざ死んだフリをしたの?」
「そうよ。だって、この人形をチクチクされると痛いんだもの。」
「分かった。もう分かったからアップル、僕の元へ帰っておいで。」
「うん。ジュライの元へ戻ります。」
 アップルは、再びジュライの体に戻って行った。ジュライの馬の顔がアップルのカワイイ顔になった。
「この化け物め!」
 ストロベリー王女は、目の前でチェスの馬に人間が吸収される光景を見る。
「いいえ。私はただの人間です。」
「そうだ。アップルは、アップルだ。」
 アップルとジュライは、2人仲良くストロベリー王女に反論する。
「化け物は、お姉様の方です。」
「なに!?」
「自分の人生がつまらないからといって、人間が他人をいじめても良いということにはなりません。もし、それができるのであれば、既に人間ではなくなっているのでしょう。お姉様は、人間の外見をした、悪魔です。」
「悪魔!? この私を悪魔呼ばわりするのか!?」
「悪魔が嫌なら、神様のいう所の邪悪なる人間です。早く、僕とアップルの目の前から消えて下さい。」
 アップルとジュライは、ストロベリー王女の存在を否定する。
「い、言わせておけば!? 私には、邪神様がついているのだ!」
 ストロベリー王女の怒りが頂点に達する。
「さよなら、お姉様。」
 瞬時に移動したアップルが剣でストロベリー王女の首を斬り飛ばす。
「ギャア!?」
 ストロベリー王女は断末魔の叫びをして、アップルに打ち取られた。
「今度、生まれ変わったら仲の良い姉妹になりましょう。ストロベリーお姉様。」
 剣を鞘に収めるアップル。
「泣いているの? アップル。」
「あれ? どうしてだろう。悲しくないはずなのに、目から涙がこぼれてくる。」
 アップルは、瞳の涙を手で拭うのだった。
「アップル。これからは僕がアップルを支えるから。」
「ありがとう、ジュライ。私は、大丈夫よ。」
 アップルとジュライの愛は更に深まった。
「なかなかの見世物だったぞ。」
 その時、人間の暮らす人間界に今までで一番の邪悪な気配が現れる。
「神様!?」
 邪悪な気配の姿は神様だった。
「違う、違う。神などではない。私は、邪神様だ。」
 現れたのは、邪神様であった。
 つづく。
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