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決勝戦、次鋒

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 ここは代々木の体育館。渋谷区剣道大会女子団体戦が行われている。
「狸子、ありがとう。」
「どういたしまして。」
「お姉ちゃん、ナイス!」
「主将カッコイイ!」
 恵比寿高校剣道部はラブリーの勝利を部員全員で称える。
「次はあなたの番よ。メアリー。」
「任せて! 必ず勝利で続くから!」
 恵比寿高校剣道部の次鋒は恵三姉妹の次女メアリー。
「最悪だー!?」
 一方、渋谷高校剣道部の雰囲気は最悪だった。魔法で体に負荷がかかった楽子は目を回して倒れている。
「魔法を使ったのに負けるって、どういうこと!?」
 今までの全作品全話、困ったら魔法を使って解決してきた。まさか、剣道ごときで魔法が破られるとは。
「しかも人間の精神力に負けた!?」
「剣道、侮れないスポーツね!?」
 栞、泪、結の魔法少女3人に動揺が走る。
「こうなったら次のドキ子は魔法力の温存のために捨てて、中堅からの私たちで勝つしかない!」
「おお!」
 気を引き締める栞たちであった。
「酷い!? 栞ちゃんたちはドキ子が勝つことを応援してくれていないのね!?」
 土器ドキ子は栞たちにガッカリした。
「でも、友達の谷子ちゃんは私が勝つことを応援してくれているわよね?」
「う、うん。」
 谷子に迫り無理やり応援させるドキ子。
「次鋒、前へ。」
「見てなさいよ! アルティメット・ドキ子の実力をみせてあげる!」
 ドキ子は戦いに望む。
「こいつも何か魔法で強化されているのか!?」
 対戦相手の恵比寿高校剣道部の次鋒、メアリーは油断せず注意深くドキ子を観察する。
「そんなに見つめないで。ドキ子が可愛いのは分かるけど。」
「はあ?」
「サインは後にしてね。インスタのフォローよろしく。ドキ。」
「結構です。」
 メアリーは丁重にお断りをする。
「はじめ!」
「でやああああああああ!」
 ドキ子は普段通り竹刀を振り回して突撃する。
「何がくる!? 瞬間移動か!? それとも乱れ打ちか!?」
 メアリーは注意深くドキ子の動きを観察する。
「あの子に魔法はかかっていない。」
 狸子がドキ子には魔法によるパワーアップは無いと言う。
「なら、ただ単に竹刀を振り回しているだけだというのか!?」
「ドキドキ!」
 メアリーは竹刀を振り回すドキ子を警戒し過ぎていたようだ。
「脅かしよって。勝負をつけてやる! でやああああああああ!」
 メアリーはドキ子のテリトリーに踏み込んで攻撃を仕掛けようとする。
「引っかかったわね!」
「なに!? やはり罠か!?」
 その時、ドキ子のお面の顔の網のような部分が外れる。
「ヒャアー!」
 そしてドキ子は空気をお腹一杯に吸い込む。
「いったい何をする気だ!?」
「魔法ではない何か!?」
 一同がドキ子の変な体質を目の辺りにする。
「怪獣ちゃん、耳栓。」
「ありがとう。栞お姉ちゃん。」
 渋井姉妹は耳栓をして、衝撃に備える。
「ドッキドキー!!!」
 ドキ子は口からドッキドキーと言う大型の文字を吐き出す。
「ギャアアア!?」
 ドッキドキーの文字はメアリーに命中し場外に吹き飛ばす。
「一本! それまで!」
 不意を突かれたメアリーはかわすこともできずに吹き飛び気絶している。
「メアリー!?」
 恵三姉妹のラブリーとユウリーも、魔法少女の渋井狸子も唖然として動くこともできなかった。
「やったー! 勝った! ドキ子の勝利だ! ドキ。」
「やっぱりドッキドキー砲だったわね。」
「耳栓しといてよかった。」
 渋井姉妹は知っている。過去の作品より、ドキ子が口から文字を吐き出すことを。魔法を超えた別次元の生き物である。
「ドキ子カワイイでしょ? ドキ。」
「カワイイ。うん。カワイイ。」
「カワイイと言わないと何をされるか分からないので怖いです。」
 渋井姉妹の本音である。
「ドキドキさせちゃうぞ! ドキ。」
 ドキ子は魔法を超える。

つづく。
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