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良いこと、恵
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ここは恵比寿のマンションの部屋。
「そうか、恵比寿って、渋谷区だったのね。知らなかった。」
少しテンションが低くシュールな恵。剣道編では狸子だったが、恵の方が響きがいいので変えてしまおう。
「そんなことよりリヤロド様。私たちは試されています。ポン。」
このタヌキは恵の使い魔兼家族のタヌキの狸子である。ここに持ってこよう。
「狸子、試されているって、どういうこと?」
「私たちのように突拍子もなく、魔法少女が現れた時に、その魔法少女が成立するかしないかを問われています。ポン。」
「そうなんだ。へ~。」
恵はマイペースな魔法少女だった。
「元々、私はリヤロドの店の前に立っていた、通行人の女の子で、キャラクターになりたいと願ったのね。その時、偶然、狸子が目の前を通ったという運命的伝説なのよね。」
「リヤロド様に拾ってもらって良かったです。ポン。」
「私は栞ちゃんたちと違って、まだ悪いことしてないもんね。エヘッ。」
そう、ただの対魔法少女用に登場しただけの恵の手は、まだ汚れていない。
「純白のウエディングドレス~。ニタッ。」
「少し、気持ち悪いですよ。ポン。」
そうか、気づかないだけで、使い魔兼家族と一緒に暮らしている魔法少女は、既に良いことをしている。
「狸子。あなたはタヌキだから、語尾はタヌじゃないの? どうして、ポンなの?」
「まだ、どのキャラクターもポンを使っていないので、早い者勝ちです。タヌポン!」
タヌとポン問題は、先送りしよう。
「すごく文字数に余裕がある。私はどうすればいいと思う?」
「良いことをすればいいんじゃないですか。ポン。」
「良いことか、難しいね。」
「まず部屋の掃除からすればいいんじゃないですか? ポン。」
「そうだね。そうしよう。」
恵は、第4の魔法少女として、また新しいテーマ「良いこと」を探すために部屋の掃除をすることにした。
「掃除って、自分でやると大変だな。お母さん、いつもありがとう。」
恵は、自分で掃除をして、初めて掃除してくれているであろう、母親に感謝する気持ちが芽生える。
「タヌポンもありがとう。」
「どういたしまして。あの、私の名前は狸子ではありませんか? ポン。」
「そうだったかしら。エヘッ。」
とぼける恵。
「今度はお腹もすいたし、料理でもしようかな。」
冷蔵庫を覗き込む恵。
「何も無い。カップラーメンにしよう。お湯を沸かすだけだし。」
「給湯器に水を入れますね。ポン。」
こうして3分後にはカップラーメンができた。
「いただきます。ズルズル。美味しいね。タヌポン。」
「寒い冬は温かいカップヌードルが美味しいですね。ですから、私の名前は、狸子ですってば。ポン。」
「美味しい。今度は洗濯物を干すぞ。」
逃げる恵。
「ああ~洗濯物を干すって、気持ちいいね。タヌポン。」
「そうですね。しわにならないようにパンパン叩きながら干すといいらしいですよ。おい! 私の名前は狸子だ! ポン。」
「あ、まだ洗濯物が残っていたわ。干さなくっちゃ。」
「ギャア!? 何をする!? やめて!? 許して下さい!? ポン。」
恵は洗濯物と一緒に狸子も干したのだった。
「あ、思い出した。私は魔法少女だったんだ。掃除も料理も洗濯も魔法を使えば良かったんだ。私のバカバカ。」
恵に悪気は無いが、どうやら天然キャラを司る魔法少女のようだった。これが栞のように車を炎上させたりしていない、穢れを知らない純粋な魔法少女の実力である。
「近所のコンビニに行って、お買い物しないと食べる物がない。ここは魔法を使って食べ物を持って来てもらおう。」
恵はパソコンを操作する。
「私の自宅に食べ物を持って来て! リヤ・リヤ・リヤロド!」
恵は、ネットスーパーの宅配サービスの申し込みボタンを押すのであった。恐るべし魔法少女。
つづく。
「そうか、恵比寿って、渋谷区だったのね。知らなかった。」
少しテンションが低くシュールな恵。剣道編では狸子だったが、恵の方が響きがいいので変えてしまおう。
「そんなことよりリヤロド様。私たちは試されています。ポン。」
このタヌキは恵の使い魔兼家族のタヌキの狸子である。ここに持ってこよう。
「狸子、試されているって、どういうこと?」
「私たちのように突拍子もなく、魔法少女が現れた時に、その魔法少女が成立するかしないかを問われています。ポン。」
「そうなんだ。へ~。」
恵はマイペースな魔法少女だった。
「元々、私はリヤロドの店の前に立っていた、通行人の女の子で、キャラクターになりたいと願ったのね。その時、偶然、狸子が目の前を通ったという運命的伝説なのよね。」
「リヤロド様に拾ってもらって良かったです。ポン。」
「私は栞ちゃんたちと違って、まだ悪いことしてないもんね。エヘッ。」
そう、ただの対魔法少女用に登場しただけの恵の手は、まだ汚れていない。
「純白のウエディングドレス~。ニタッ。」
「少し、気持ち悪いですよ。ポン。」
そうか、気づかないだけで、使い魔兼家族と一緒に暮らしている魔法少女は、既に良いことをしている。
「狸子。あなたはタヌキだから、語尾はタヌじゃないの? どうして、ポンなの?」
「まだ、どのキャラクターもポンを使っていないので、早い者勝ちです。タヌポン!」
タヌとポン問題は、先送りしよう。
「すごく文字数に余裕がある。私はどうすればいいと思う?」
「良いことをすればいいんじゃないですか。ポン。」
「良いことか、難しいね。」
「まず部屋の掃除からすればいいんじゃないですか? ポン。」
「そうだね。そうしよう。」
恵は、第4の魔法少女として、また新しいテーマ「良いこと」を探すために部屋の掃除をすることにした。
「掃除って、自分でやると大変だな。お母さん、いつもありがとう。」
恵は、自分で掃除をして、初めて掃除してくれているであろう、母親に感謝する気持ちが芽生える。
「タヌポンもありがとう。」
「どういたしまして。あの、私の名前は狸子ではありませんか? ポン。」
「そうだったかしら。エヘッ。」
とぼける恵。
「今度はお腹もすいたし、料理でもしようかな。」
冷蔵庫を覗き込む恵。
「何も無い。カップラーメンにしよう。お湯を沸かすだけだし。」
「給湯器に水を入れますね。ポン。」
こうして3分後にはカップラーメンができた。
「いただきます。ズルズル。美味しいね。タヌポン。」
「寒い冬は温かいカップヌードルが美味しいですね。ですから、私の名前は、狸子ですってば。ポン。」
「美味しい。今度は洗濯物を干すぞ。」
逃げる恵。
「ああ~洗濯物を干すって、気持ちいいね。タヌポン。」
「そうですね。しわにならないようにパンパン叩きながら干すといいらしいですよ。おい! 私の名前は狸子だ! ポン。」
「あ、まだ洗濯物が残っていたわ。干さなくっちゃ。」
「ギャア!? 何をする!? やめて!? 許して下さい!? ポン。」
恵は洗濯物と一緒に狸子も干したのだった。
「あ、思い出した。私は魔法少女だったんだ。掃除も料理も洗濯も魔法を使えば良かったんだ。私のバカバカ。」
恵に悪気は無いが、どうやら天然キャラを司る魔法少女のようだった。これが栞のように車を炎上させたりしていない、穢れを知らない純粋な魔法少女の実力である。
「近所のコンビニに行って、お買い物しないと食べる物がない。ここは魔法を使って食べ物を持って来てもらおう。」
恵はパソコンを操作する。
「私の自宅に食べ物を持って来て! リヤ・リヤ・リヤロド!」
恵は、ネットスーパーの宅配サービスの申し込みボタンを押すのであった。恐るべし魔法少女。
つづく。
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