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読書、最高!

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 ここは渋谷の図書館。
「読書、最高!」
 9才の谷子は図書館に来ていた。図書館は谷子にとって、大好きな本に囲まれているパラダイスだった。
「本って、なんて素敵なのかしら。」
 美人、カワイイ、スポーツ万能の活発な谷子が図書館にいる方が不思議なくらいである。
「谷子ちゃん、また来たのかい? 毎日、ご苦労様だね。」
「あ!? 図書館のおばちゃんだ。こんにちわ。」
 図書館のおばあちゃん。図書館のおばちゃんも谷子のことを可愛がってくれる。
「おばちゃん。私は将来、図書館で働けるかな?」
「きっと谷子ちゃんなら図書館で働けるよ。だって、本が谷子ちゃんを呼んでいるもの。」
「やったー! 大人になったら図書館で働く!」
 さすが本の申し子の谷子である。図書館にある無数の本が谷子を呼んでいるらしい。
「でも谷子ちゃんなら、もっと大物になるかもね。」
 大正解。将来、谷子は「ほんのおねえさん」になります。
「おばちゃん。」
「なんだい? 谷子ちゃん。」
「どうやったら図書館にある本を全て読むことが出来るかな?」
 本が大好きな谷子は図書館にある全ての本を読んでみたかった。本好き谷子の野望である。
「毎日、地道に少しずつ読むか、後は読むスピードを鍛えて早くすることだね。」
「読むスピードを鍛える? どういうこと?」
今までマイペースで本を読んできた谷子は初めて触れる価値観だった。
「速読っていってね、速読を習得した人はペラペラ本をめくるだけで、本を読むことが出来るというんだよ。」
「速読か、谷子にできるかな?」
「まあ、がんばってよ。谷子ちゃん。」
 谷子は速読に挑戦することにした。
「ある貧血、森のな浣腸、くまさん大蒜、出会ったん瘤。」
 なかなか本が大好きな谷子でも速読を容易に習得することはできなかった。
「本を早く読むって難しいことなんだ。」
 速読の難しさを実感した谷子であった。
 この日から谷子の本を早く読む特訓が始まった。
「ブブブブブブッブブブブブブブブンハチが飛ぶ。」
「生麦、生米、生クリーム。」
「赤ワイン、白ワイン、カルピスワイン。」
 来る日も来る日も谷子は早いスピードで本を読み続けた。
「できた! 読める! 私にも文字が読めるぞ!」
 谷子は三日で本を早く読める技術、速読をマスターした。
「おばちゃん! 速読ができるようになったよ!」
「え? 本当かい? 谷子ちゃん。そんな簡単には無理でしょう。」
「本を一冊ちょうだい。速読をしてあげるよ。」
 谷子は中身の知らない本をおばちゃんから受け取る。
「行きます。はあ~あ!」
 谷子は神経を集中する。
「でやあああああああああ!」
 猛スピードで本のページをめくる谷子。その姿は、まさに本の神が宿っているといっても過言はなかった。
「フィニッシュ!」
 谷子は200ページ位ある本を5秒ほどで読み終えた。
「ええー!? もう読み終えたのかい!?」
 図書館のおばちゃんは谷子の速読に驚くしかできなかった。
「うん。この本の内容は、頭の賢い小坊主さんが、意地悪な将軍様ととんちで勝負して勝利する物語だよ。」
「あ、あってる!?」
 谷子の速読は本物だった。
「でやあああああああ! どやあああああああ! どやさどやさ!」
こうして速読をマスターした谷子は図書館の本を片っ端から読み続けた。
「やったー! これで図書館の本を全部読んだぞ!」
 谷子は約10日で図書館の1億冊の本を全て読み終えた。
「読書、最高!」
 こうして谷子は奥義、速読を習得したのであった。
「まだ地下の秘蔵図書があるわよ。」
 図書館のおばちゃんは負けず嫌いだった。

つづく。
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