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大間くん

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「いよいよ準決勝だ。波乱の展開だが、トーナメントなので仕方がない。だが私たちは波乱の波に飲み込まれることなく、波を乗りこなしていくぞ。」
「おお!」
 少し具志堅監督は言葉を選んでみた。
「おまえたち、諦めたら、そこで終わりですよ。」
 少し具志堅監督はカーネルサンダース先生に憧れている。
「気合入れていくぞ!」
「おお!」
 沖縄代表チームは準備万端である。
「寒いな。ブルブル。」
「ゆ、雪が降っている!?」
「吹雪いてるじゃん!?」
 準決勝の球場は、雪が舞い振る屋外球場だった。
「さ、寒いです。」
「那覇先輩、雪を固めて、いい国作ろう鎌倉幕府を作るです。」
「おお!」
 那覇は寒さ対策でベンチに雪を固めて火鉢で温めて、かまくらを作った。
「寒い!?」
 沖縄代表チームは監督から選手まで、かまくらの中で暖を取っていた。
「プレイボール!」
 審判が試合の開始を告げる。
「ベンチから出ていけ! 石垣!」
「ギャアアアアアアー!?」
 石垣はベンチから追い出される。
「ふん!」
 青森代表の先発ピッチャーの大間くんが第一球を投げた。
 ふわ。
 大間くんのボールは緩やかなスローボールだった。
「もらった! こんな、へなちょこボール! ホームランだ!」
 ブルン~!
「ストライク!」
 大間くんのボールを石垣は扇風機の様にバットを振り回し空振りした。
「み、見えなかった!?」
 石垣は目を疑った。
「白いボールと吹雪が重なって、ボールが雪の中に消えてしまう!?」
「これが俺のホワイト・アウト・ボールだ!」
「なんですと!?」
 なんと大間は雪に消えるボールを投げる魔球使いであった。
「スリーアウト! チェンジ!」
 沖縄代表チームは三者三振だった。
「ブルブル。手がかじかんで力が出ない!?」
 打者は寒さで震えているので、バットがまともに触れる状態ではなかった。
「見たか! 雪国の恐ろしさを!」
「いや~、かまくらの中は温かいですね。」
「そうですね。守備につきたくない。」
 誰も沖縄代表チームはベンチから出てこなかった。
「雪の球場で試合をする恐ろしさを知るがいい。ヘッヘッヘ。」
 雪になれている青森代表の大間は不敵な笑いを浮かべる。
 つづく。
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