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準決勝

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「みんな! 今日も勝つぞ!」
「おお!」
 沖縄代表チームは少年野球全国大会の準決勝に望む。
「那覇、おまえには決勝戦で投げてもらわないといけない。」
「ということは、今日も休みですね! ゴーヤチャンプルーを作ります!」
 那覇は今日も試合で投げなくて良いと思った。
「5回だ! 5回で試合を終わらせれば、球数制限に引っかからずに、那覇を決勝戦に投げさせることができる!」
「ええー!? 投げるんですか!?」
「西表! 優勝するためにも、おまえたち殺人打線で5回までに10点差をつけて、コールド勝ちするんだ!」
「任せて下さい! 必ずや相手の息の根を止めて見せます! いくぞ! 野郎ども!」
「ヒイー!」
 沖縄代表チームは気持ちが一つにまとまった。
「僕たちはいつから悪の秘密結社になったんだろう?」
 那覇だけは、チームの中で浮いていた。
「プレイボール!」
 準決勝が始まった。相手は愛知県代表だった。どのチームも準決勝のベスト4まで勝ち上がったチームだから強いのだった。
(俺のアメリカ行きは誰にも邪魔させない!)
 マウンドには俺がいる。誰にも打たれる訳にはいかなかった。
(くらえ! 愛知! これが俺のバーン・ボールだ!)
 俺の投げた第一球は火が炎になり周囲を焦がしながらキャッチャーミットに投げ込まれる。
 ズドーン!
 キャッチャーミットにボールがキャッチされた音が球場全体に響き渡る。
「ストライク!」
 審判がビビりながらも高々とストライクをコールする。
「はあ!? どうやってあんな化け物のボールを打てというのだ!?」
「なんなんだ!? あのチビは!?」
「消防車を呼んで来い!?」
 愛知代表のベンチはザワザワしまくっていた。
「3アウト! チェンジ!」
 俺は簡単に1回の表の愛知代表の攻撃を終わらせた。
「よし! 点を取りまくるぞ!」
「おお!」
 1回の裏の沖縄の攻撃が始まる。
「こっちは5回までに10点を取らないといけないんだ! おまえたちに構っている暇はない!」
 カキーン!
 西表先輩の打球がライトスタンドに突き刺さる。これで西表先輩は9打席連続ホームランである。
「ゲームセット!」
 終わってみれば、56対0のワンサイドゲームで沖縄代表が勝った。
「よし! これで那覇を明日も投げさせることができるぞ! ワッハッハー!」
 チーム一丸になる沖縄代表チーム。
「ああ~疲れた。誰か僕に休みを下さい。ウギャアー!?」
 小学1年生でチビの那覇の体は悲鳴をあげていた。
 つづく。
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