29 / 53
15の災い。その13
しおりを挟む
「ねえねえ、ペリー。」
「なに? ちいちゃん。」
「災いって、一人歩きすると思う?」
「一人歩き!? するんじゃない、一人歩き。」
「そうだよ。災いさんだって、お腹が空いたら、おにぎりを食べるよ。」
「それはない。」
「ということは、やっぱり家々のご先祖様たちが災いを起こしたんだから、家々のご先祖様が悪いのよ。」
「そうだ! そうだ! 家々が悪い!」
「ええー!? なんで、そうなるんだよ!?」
「みんな、家々くんのことが好きなんだよ。」
「なんだ、そうなのか。エヘヘッ。」
「照れるな!」
「僕はモテモテなのか! ワッハッハー!」
「調子に乗るな!」
「ワッハッハー! ワッハッハー! ワッハッハー!」
「やっぱり家々は除名だな。」
「それだけはご勘弁ください!? 調子に乗った僕が悪かった!? 許してください!?」
「除名は効くんだな。」
「よっぽど少年少女剣客隊にいたいんだな。」
「許してください!? ウエエエ~!」
「泣くな! 男のくせに!」
「除名だけは嫌だ! ウエエエ~!」
「分かった。除名はやめてやるから。」
「本当? エヘエヘッ。」
「泣き止んだ。」
「嘘泣きだったのか。」
「笑顔が不気味だ。」
「それほどでも。ニコッ。」
「誰も褒めてない!」
「やはり! 少年少女剣客隊には、リーダーの僕がいないと物語が面白くないのだ! 第16代将軍、徳川家々あっての少年少女剣客隊だ! ワッハッハー!」
「おまえは不幸をまき散らしているだけだろうが。」
「桜先生!?」
子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。
「今日から、宿題を出す。」
「宿題!? 災いだ!?」
「ええー!? 嫌だ!?」
「鬼!? 悪魔!? ババア!?」
「黙れ! 者共!」
「ねえねえ、実朝くん。」
「なに? 楓ちゃん。」
「宿題って、何?」
「寺子屋が終わってから、家で勉強しろってことだよ。」
「死ね! 桜お姉ちゃんなんか死んでしまえ!」
「私はもう死んでいます! 楓! それが姉に向かって言う言葉か!?」
「除霊のお札を貼ってやる! 家の四隅に貼って、家に入れなくしてやる! 嫌なら宿題を撤回しなさい!」
「仕方がないでしょ。私はこれでも教師なんだから。」
「じゃあ、教師やめれば?」
「簡単に言うんじゃない!? どうやってご飯を食べていくのよ? 楓は、おにぎりが食べれなくなってもいいの?」
「宿題、最高! 大好き! だから桜お姉ちゃん、しっかり働いてね。キラン!」
「ちょろい。楓に言うことをきかせる時は、食べ物の話に限るわ。」
「なんて恐ろしい姉妹なんだ!? ブルブル。」
「ということで。」
「どういうところなんだ!?」
「オープニングの寺子屋トークだけで、1話の半分も使うのよ。これじゃあ、話をまたぐか、話を長くするかしか、課題やクエストを行うのは無理です。どうしましょう?」
「そこを考えるのが教師の仕事でしょうが!?」
「そうだね。アハッ。」
「笑って誤魔化してる。」
「いるよね。今時の公務員教師。」
「税金泥棒! 金返せ!」
「あなたたち! 宿題を2倍にします!」
「お許しください! 桜先生様!」
「私たちが悪かったです!」
「家々を差し出しますから、煮るなり焼くなり好きにして下さい!」
「どうして僕が生贄にならねばらん!?」
「家々、熱湯風呂にでも入るか? ニコッ。」
「遠慮します!」
「ダメだ! 一つの会話で売り言葉に買い言葉の話が膨れ上がってしまう!? これでは話が先に進めない!? 私は教師失格だわ!? ウエエエ~!」
「桜先生、私たちの頭の回転が良いってことですよ。」
「そうですよ。これも桜先生の日々の授業で育てられたからです。」
「ありがとう。桜お姉ちゃん。」
「みんな! 私、教師をやっていて良かった! 復活!」
「桜先生の機嫌も直ったことだし、今日の宿題は無しということで。」
「それとこれとは話が別です。」
「チッ。」
「舌打ちするな。」
「で、桜お姉ちゃん。」
「なに? 楓。」
「今日の宿題は、何にするの?」
「え? しまった!? 宿題の中身を考えていなかった。」
「そんなことだろうと思ったよ。」
「だな。桜先生らしい。」
「とりあえず今日の宿題は、家々くんのご先祖様が帰るのを手を振ってお見送りしましょう。」
「それって、宿題!?」
「私は、徳川15将軍の一人、第5代将軍、徳川綱吉だ。」
「どこから現れたんだ。どこから。」
「は~い。みなさん。ご先祖様に手を振ってお別れしましょうね。それでは、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋から帰って行った。
「え? え? どういうこと?」
寺子屋には、綱吉一人だけが残されたのだった。
つづく。
「なに? ちいちゃん。」
「災いって、一人歩きすると思う?」
「一人歩き!? するんじゃない、一人歩き。」
「そうだよ。災いさんだって、お腹が空いたら、おにぎりを食べるよ。」
「それはない。」
「ということは、やっぱり家々のご先祖様たちが災いを起こしたんだから、家々のご先祖様が悪いのよ。」
「そうだ! そうだ! 家々が悪い!」
「ええー!? なんで、そうなるんだよ!?」
「みんな、家々くんのことが好きなんだよ。」
「なんだ、そうなのか。エヘヘッ。」
「照れるな!」
「僕はモテモテなのか! ワッハッハー!」
「調子に乗るな!」
「ワッハッハー! ワッハッハー! ワッハッハー!」
「やっぱり家々は除名だな。」
「それだけはご勘弁ください!? 調子に乗った僕が悪かった!? 許してください!?」
「除名は効くんだな。」
「よっぽど少年少女剣客隊にいたいんだな。」
「許してください!? ウエエエ~!」
「泣くな! 男のくせに!」
「除名だけは嫌だ! ウエエエ~!」
「分かった。除名はやめてやるから。」
「本当? エヘエヘッ。」
「泣き止んだ。」
「嘘泣きだったのか。」
「笑顔が不気味だ。」
「それほどでも。ニコッ。」
「誰も褒めてない!」
「やはり! 少年少女剣客隊には、リーダーの僕がいないと物語が面白くないのだ! 第16代将軍、徳川家々あっての少年少女剣客隊だ! ワッハッハー!」
「おまえは不幸をまき散らしているだけだろうが。」
「桜先生!?」
子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。
「今日から、宿題を出す。」
「宿題!? 災いだ!?」
「ええー!? 嫌だ!?」
「鬼!? 悪魔!? ババア!?」
「黙れ! 者共!」
「ねえねえ、実朝くん。」
「なに? 楓ちゃん。」
「宿題って、何?」
「寺子屋が終わってから、家で勉強しろってことだよ。」
「死ね! 桜お姉ちゃんなんか死んでしまえ!」
「私はもう死んでいます! 楓! それが姉に向かって言う言葉か!?」
「除霊のお札を貼ってやる! 家の四隅に貼って、家に入れなくしてやる! 嫌なら宿題を撤回しなさい!」
「仕方がないでしょ。私はこれでも教師なんだから。」
「じゃあ、教師やめれば?」
「簡単に言うんじゃない!? どうやってご飯を食べていくのよ? 楓は、おにぎりが食べれなくなってもいいの?」
「宿題、最高! 大好き! だから桜お姉ちゃん、しっかり働いてね。キラン!」
「ちょろい。楓に言うことをきかせる時は、食べ物の話に限るわ。」
「なんて恐ろしい姉妹なんだ!? ブルブル。」
「ということで。」
「どういうところなんだ!?」
「オープニングの寺子屋トークだけで、1話の半分も使うのよ。これじゃあ、話をまたぐか、話を長くするかしか、課題やクエストを行うのは無理です。どうしましょう?」
「そこを考えるのが教師の仕事でしょうが!?」
「そうだね。アハッ。」
「笑って誤魔化してる。」
「いるよね。今時の公務員教師。」
「税金泥棒! 金返せ!」
「あなたたち! 宿題を2倍にします!」
「お許しください! 桜先生様!」
「私たちが悪かったです!」
「家々を差し出しますから、煮るなり焼くなり好きにして下さい!」
「どうして僕が生贄にならねばらん!?」
「家々、熱湯風呂にでも入るか? ニコッ。」
「遠慮します!」
「ダメだ! 一つの会話で売り言葉に買い言葉の話が膨れ上がってしまう!? これでは話が先に進めない!? 私は教師失格だわ!? ウエエエ~!」
「桜先生、私たちの頭の回転が良いってことですよ。」
「そうですよ。これも桜先生の日々の授業で育てられたからです。」
「ありがとう。桜お姉ちゃん。」
「みんな! 私、教師をやっていて良かった! 復活!」
「桜先生の機嫌も直ったことだし、今日の宿題は無しということで。」
「それとこれとは話が別です。」
「チッ。」
「舌打ちするな。」
「で、桜お姉ちゃん。」
「なに? 楓。」
「今日の宿題は、何にするの?」
「え? しまった!? 宿題の中身を考えていなかった。」
「そんなことだろうと思ったよ。」
「だな。桜先生らしい。」
「とりあえず今日の宿題は、家々くんのご先祖様が帰るのを手を振ってお見送りしましょう。」
「それって、宿題!?」
「私は、徳川15将軍の一人、第5代将軍、徳川綱吉だ。」
「どこから現れたんだ。どこから。」
「は~い。みなさん。ご先祖様に手を振ってお別れしましょうね。それでは、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋から帰って行った。
「え? え? どういうこと?」
寺子屋には、綱吉一人だけが残されたのだった。
つづく。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる