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「目覚めよ! ありぴょん!」
俺たちは懺悔の沼にやって来た。
「よいしょ。よいしょ。」
「漬物臭い!? 嫌だ!? 体に臭いが移る!?」
「ラキ、キラ、思いっきり引き上げるんだ。」
「中途半端に言われたくない。」
「おまえも手伝えよ。」
「はい。直ちに手伝いま・・・こら!? 私の方が上官だぞ!? おまえたちは下級天使! 私は中級と上級の間の天使だぞ!」
「中途半端だな。」
「神様は黙っていてください!?」
「はいはい。」
なんやかんやと楽しく会話している間に、ありぴょんは懺悔の沼から引きずり出された。
「ゲホ、ゲホ、死ぬかと思った。」
「神を飼おうとした、おまえは死ぬことも許されない。」
「う、うさぴょん!? くまぴょん!? どうして!? おまえたちが!?」
「まだ分からないのか?」
「なに!?」
「おまえは神の手の平で踊らされていただけに過ぎない。」
「全ては、退屈しのぎの神様の人生ゲームなのだから。」
「な、なんなんだ!? おまえたちは!?」
「神です! 神様なのです!」
「自己紹介が遅れて、ごめんなさい。」
「神様!? ふざけるな! 神なんか、いる訳がない!」
可哀そうな、ありぴょんは現実を受け入れることが出来なかった。これが愚かな人間という生き物である。
「それがいるんだな。だって、俺たちが神だもの。」
「ありぴょん、神を奴隷犬として飼ったのは、まずかったね。君は神の怒りを買っているんだよ。」
「神の怒り?」
「反省して謝罪するなら、レベル30くらいの悪役にしてあげようと思ったが・・・気が変わった。おまえはレベル1から悪役として苦労するがいい!」
「自業自得だね。神に弓を引いたことを後悔するがいい。」
「はあ!? おまえたちは何を言っている!? バカじゃないのか!?」
「救いようがないな。もう、いいや。」
「さようなら。」
「ギャアアア!?」
こうして、ありぴょんは人間の世界に転送された。ご武運を祈ろう。
「誰が中途半端だ!?」
「あなたです。」
「私たちが出世して、直ぐに抜いてみせます。」
「まだやっていたのか・・・。」
「みんな、元気だな。」
世の中には神様も呆れることが多い。
そして、ありぴょんは人間界に飛ばされた。
「こ、ここは・・・どこだ?」
どこかの町で目覚めたありぴょんは周囲を見渡した。なんだか見覚えがある町だった。
「そうだ!? ここはニの町だ。懐かしいな~。うん?」
ありぴょんが懐かしさにノスタルジックな気持ちになっていると、目に一枚の張り紙が見えた。
張り紙には・・・。
「我の名前は、ありぴょん! 私は、神に逆らう者だ! あの大悪党、カトリーヌ・ねこぴょん軍の生き残りである。この世を支配する。泣け! 叫べ! 町人よ! 私の奴隷犬になるがいい! わっはっはー!」
と、書かれてあった。
「なんじゃこりゃ!? 知らないぞ!? 知らないわよ!? 私は、こんな張り紙を張った覚えはない!?」
ありぴょんは目を疑った。自分の知らない間に、大悪党に仕立て上げられていたのだった。
「いたぞ! ありぴょんだ!」
「神をバカにする者は許せない!」
「大悪党カトリーヌ・ねこぴょんの生き残りだ!」
「殺せ! 殺せ!」
「俺たちの町が滅んだのも、こいつのせいだ!」
「生かして返すな!」
「生け捕りにして、吊るし首にするんだ!」
「生き血を差し出せ!」
全てのニの町の生き残っていた人々の怒りは、ありぴょんに向けられた。
「ひいいいいっ!? いったい何なんだ!?」
まだ、現状をありぴょんには理解できなかった。
つづく。
俺たちは懺悔の沼にやって来た。
「よいしょ。よいしょ。」
「漬物臭い!? 嫌だ!? 体に臭いが移る!?」
「ラキ、キラ、思いっきり引き上げるんだ。」
「中途半端に言われたくない。」
「おまえも手伝えよ。」
「はい。直ちに手伝いま・・・こら!? 私の方が上官だぞ!? おまえたちは下級天使! 私は中級と上級の間の天使だぞ!」
「中途半端だな。」
「神様は黙っていてください!?」
「はいはい。」
なんやかんやと楽しく会話している間に、ありぴょんは懺悔の沼から引きずり出された。
「ゲホ、ゲホ、死ぬかと思った。」
「神を飼おうとした、おまえは死ぬことも許されない。」
「う、うさぴょん!? くまぴょん!? どうして!? おまえたちが!?」
「まだ分からないのか?」
「なに!?」
「おまえは神の手の平で踊らされていただけに過ぎない。」
「全ては、退屈しのぎの神様の人生ゲームなのだから。」
「な、なんなんだ!? おまえたちは!?」
「神です! 神様なのです!」
「自己紹介が遅れて、ごめんなさい。」
「神様!? ふざけるな! 神なんか、いる訳がない!」
可哀そうな、ありぴょんは現実を受け入れることが出来なかった。これが愚かな人間という生き物である。
「それがいるんだな。だって、俺たちが神だもの。」
「ありぴょん、神を奴隷犬として飼ったのは、まずかったね。君は神の怒りを買っているんだよ。」
「神の怒り?」
「反省して謝罪するなら、レベル30くらいの悪役にしてあげようと思ったが・・・気が変わった。おまえはレベル1から悪役として苦労するがいい!」
「自業自得だね。神に弓を引いたことを後悔するがいい。」
「はあ!? おまえたちは何を言っている!? バカじゃないのか!?」
「救いようがないな。もう、いいや。」
「さようなら。」
「ギャアアア!?」
こうして、ありぴょんは人間の世界に転送された。ご武運を祈ろう。
「誰が中途半端だ!?」
「あなたです。」
「私たちが出世して、直ぐに抜いてみせます。」
「まだやっていたのか・・・。」
「みんな、元気だな。」
世の中には神様も呆れることが多い。
そして、ありぴょんは人間界に飛ばされた。
「こ、ここは・・・どこだ?」
どこかの町で目覚めたありぴょんは周囲を見渡した。なんだか見覚えがある町だった。
「そうだ!? ここはニの町だ。懐かしいな~。うん?」
ありぴょんが懐かしさにノスタルジックな気持ちになっていると、目に一枚の張り紙が見えた。
張り紙には・・・。
「我の名前は、ありぴょん! 私は、神に逆らう者だ! あの大悪党、カトリーヌ・ねこぴょん軍の生き残りである。この世を支配する。泣け! 叫べ! 町人よ! 私の奴隷犬になるがいい! わっはっはー!」
と、書かれてあった。
「なんじゃこりゃ!? 知らないぞ!? 知らないわよ!? 私は、こんな張り紙を張った覚えはない!?」
ありぴょんは目を疑った。自分の知らない間に、大悪党に仕立て上げられていたのだった。
「いたぞ! ありぴょんだ!」
「神をバカにする者は許せない!」
「大悪党カトリーヌ・ねこぴょんの生き残りだ!」
「殺せ! 殺せ!」
「俺たちの町が滅んだのも、こいつのせいだ!」
「生かして返すな!」
「生け捕りにして、吊るし首にするんだ!」
「生き血を差し出せ!」
全てのニの町の生き残っていた人々の怒りは、ありぴょんに向けられた。
「ひいいいいっ!? いったい何なんだ!?」
まだ、現状をありぴょんには理解できなかった。
つづく。
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