上 下
21 / 63

21

しおりを挟む
「いや~。お風呂は気持ちよかったな。化粧も完璧。下着も完璧。問題は・・・さいぴょんが宿屋の前で、ちゃんと待っているかよね。」

ころぴょんは宿屋の出入り口から外に出た。

「さいぴょんはいるかな・・・ゲっ!?」

ころぴょんの目の前に500人の群衆が広がっていた。

「ころぴょん。」
「さいぴょん!? この人たちは!?」
「ころぴょんを待っている間に、師匠に言われて修行してたら、奴隷が500人も増えちゃった。」
「師匠!?」
「初めまして。師匠です。これが500人分の奴隷契約書です。」
「はあ?」
「すでにさいぴょん、ころぴょんは、この町で有名な極悪コンビです。」
「はあ!?」

僕ところぴょん。と師匠。それに500人の奴隷の大団体が誕生していた。

「ちょっと待って!? 意味が分からない!? 私がお風呂に入っている3時間!? わずか3時間の間に何があったというの!? 説明して!?」
「実は・・・かくかくしかじかで。」
「ふんふん・・・分かるかい!? ちゃんと説明しろ!?」
「では師匠の私から。私がさいぴょんの財布を掏ったら文無しの田舎者。面白いので怪力チキンと腕試しバトルをさせる。するとさいぴょんは大魔神を召喚し、勝負に勝ち奴隷を1人ゲット。賞金100ゴールドも手に入れる。これは儲かると見た私は次々とさいぴょんを戦わせる。気が付けば500人の奴隷と、軍資金の5万ゴールドを手に入れていたという話です。」
「なんじゃそりゃ!?」

さすが師匠。僕のかくかくしかじかでは伝わらなかったものを、適切にころぴょんに説明してくれた。

「師匠は、あの時の泥棒だったんですね!?」
「今更、気づくな。」
「すいません。師匠。」
「泥棒を師匠と呼ぶな!?」
「でも今の僕が、500人の奴隷と5万ゴールドを手に入れることが出来たのは師匠のおかげです。初めての町でお風呂のために3時間も放置した、ころぴょんに言われたくない。」
「ごめん、ごめん。私が悪かったって。ははは。」
「ということで、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」

こうして、ころぴょんと師匠も無事に挨拶を終えた。

「あ、どうして私たちは極悪コンビなの? ただの田舎者のさいぴょんと、かわいいころぴょんよ? 何かおかしくない?」
「それもかくかくしかじかで・・・。」
「あんたは喋らなくていい!? 師匠、よろしく。」
「それはですね。さいぴょんに原因があります。」
「やっぱり!?」
「さいぴょんが戦う時に召喚した者たちが悪かったです。大魔神、ギガンテス、伝説の巨人、極悪魔導士、暗黒プリースト、破壊ウイッチ、死を呼ぶスライム、魔王のおもかげ、ブラックエンジェル、魔界の帝王など、さまざまな悪いモンスターを呼び出し、イチの町を破壊しまくりました。」
「さいぴょん!? あなた何をしてくれたのよ!?」
「知らないよ!? 僕は心のサイコロを振っただけだもの!?」
「言い訳は結構!? 覚悟なさい!?」
「あの、さいぴょんを殺す前に話には続きがありまして。」
「え?」
「良い人間として、賞金5万ゴールドを町の復興に使うこともできたのですが、それなら極悪人として、町を支配してしまった方が、1円も払わなくてもいいので、お得と思ったので、町を頂くことにしました。」
「偉い! そうよ! お金は私のモノよ! 誰にも渡さないわ!」
「悪魔だ・・・。」
「この人、私より悪いかも・・・。」
「キャッハッハ! キャッハッハ!」

こうして、僕ところぴょんと師匠は、アジトを手に入れた。

つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

ヒューストン家の惨劇とその後の顛末

よもぎ
恋愛
照れ隠しで婚約者を罵倒しまくるクソ野郎が実際結婚までいった、その後のお話。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処理中です...