上 下
13 / 63

13

しおりを挟む
「神よ! 私の愛するセーラお嬢様をお助け下さい!」

バッキーは教会で祈りを捧げていました。

「バッキー。あなたの願いを叶えましょう。」
「か、神様!?」
「いいえ、私は上中天使です。」
「天使さまなのですね!? どうか! セーラお嬢様をヒロインにして下さい! そのためなら私は何でもやります!」
「いいでしょう。あなたが私の手足となり言うことを聞くのであれば、あなたの望みを叶えましょう。」
「ありがとうございます! ああ! 天使さま! 私がお嬢様の夢を叶えてみせます!」

こうしてメイドのバッキーは、大好きなセーラお嬢様のために、中途半端な天使ララキの手先になったのでした。

「死ね! カトリーヌ・ねこぴょん!」
「んん? なんだ? 殺気を感じる!?」
「ドキッ!?」
「どうなさいましたか? カトリーヌ・ねこぴょん様?」
「何かさっきのようなプレッシャーを感じたのだが、・・・気のせいか?」
「周囲には誰もいませんが?」
「そうか。私の気のせいかもしれないな。」
「目の前で戦闘が行われているんです。殺気を感じるのは普通ではありませんか?」
「そうだな。バッキーの言う通りだ。これからの戦いに私も不安になっているのかもしれない。」
「不安? 天下のカトリーヌ・ねこぴょん様が?」
「私だって、普通の人間だよ。勝手に周りの者に担がれただけの張りぼてのかかしと同じさ。」
「張りぼてのかかし!?」
「リーダーなど、周りから文句を言われるだけの孤独な仕事だ。誰が好き好んでやるものか。はあ・・・。」
「そんなものですか・・・。」
「出陣の支度をする。奴隷犬を呼んできてくれないか?」
「かしこまりました。」

カトリーヌ・ねこぴょん様も意外と普通。そう思いながらバッキーは奴隷犬を呼びに行くのだった。

その頃、サンの町の中では・・・。

「この町は、俺様の町だ!」
「何を! 俺様の町だ!」
「戦っているのは・・・人間!? 人間同士だ!?」

突撃したカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊隊長セーラが見たものは、町を破壊しながら戦うライト・レフト兄弟であった。それぞれ自分の子分を引き連れて100対100くらいの激しい戦闘を繰り広げていた。

「キャア!?」
「やめてください!?」
「怖いよ!? 助けて!?」
「逃げろ! 逃げるんだ!?」

町の人々はライトとレフトの戦いに巻き込まれて泣いたり、戸惑い、逃げ惑うであった。

「これはいけない。カトリーヌ・ねこぴょん様にご報告しなければ!」

セーラは町で起こっている出来事をカトリーヌ・ねこぴょん様に伝えようとした。

「あ? なんだ? おまえたちは?」
「死にたいのか!? 殺すぞ!?」
「しまった!? 見つかったか!?」
「見かけない顔だな? よそ者か?」
「若い女が手下を30人は連れている。どこかの城の部隊か?」
「見つかってしまっては仕方がない。私はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊隊長セーラ。おまえたちを退治してくれる!」

こうしてカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊隊長セーラとライト・レフト兄弟の兄弟ゲンカが大きくなってしまったのであった。

つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

無能な悪役王子に転生した俺、推しの為に暗躍していたら主人公がキレているようです。どうやら主人公も転生者らしい~

そらら
ファンタジー
【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】 大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役王子に転生した俺。 王族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な第一王子。 中盤で主人公に暗殺されるざまぁ対象。 俺はそんな破滅的な運命を変える為に、魔法を極めて強くなる。 そんで推しの為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが? 「お前なんかにヒロインと王位は渡さないぞ!?」 「俺は別に王位はいらないぞ? 推しの為に暗躍中だ」 「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」 「申し訳ないが、もう俺は主人公より強いぞ?」 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング50位入り。1300スター、3500フォロワーを達成!

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

処理中です...