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朝、清々しい朝。私は町を救った英雄として、町で一番のホテルに泊まっている。そして目覚めと共に窓を開けた。
「げっ!? なんで、あんたたちがいるのよ? ここ3階よ!?」
「俺たちは不死身だ!」
「さあ! 楽しい冒険に出かけよう!」
俺とくまぴょんは不死身だった。正確には呪われているので死ねないだけである。
「キャアアア! 痴漢よ! 痴漢!」
「え?」
「まさかのパターン化!?」
「痴漢はどこだ!? 我々はカトリーヌ・ねこぴょん様、親衛隊である!」
「出た・・・。」
「しかも前より人数が増えていないか?」
「カトリーヌ・ねこぴょん様を痴漢からお守りしろ!」
「おお!」
「突撃!」
「ギャアアア!?」
大部隊になっていた、ねこぴょんの親衛隊に、また俺たちは殺されかけた。
「死ねないっていうのも辛いな・・・。」
「温かい味噌汁が飲みたい・・・。」
バタ。いつでも俺とくまぴょんは前向きだった。
「それでは、希望の星! 女魔法剣士、カトリーヌ・ねこぴょん様の出陣式を行います!」
私は町人たちに歓迎されながら、旅に出る日を迎えた。
「おまえの名前はねこぴょんだろうが?」
「英雄になれば、好きな名前を付けれるのよ!」
「何を!? サイコロの目は絶対である!」
「黙りなさい。奴隷ストーカー。」
「はい・・・。」
俺とくまぴょんは首輪に繋がれていた。
「なぜ、私たちがこうなったのか、説明しよう。」
くまぴょんは親切だった。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私が町を歩いていても。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私が服を着替えていても。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私がトイレに入っていても。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私がお風呂に入っていても。
「そう、私たちは、うさぴょんの出したサイコロの目の呪いによって、ねこぴょんと仲間になったので離れることが出来ないのです。」
「俺たちより、ねこぴょん親衛隊の方が痴漢ではないか!?」
その通り。
「いいのよ。だって私の親衛隊なんだから。」
「おお! カトリーヌ・ねこぴょん様! 万歳!」
「どこまでもついて行きます!」
「この命尽きるまで、お守りします!」
「カトリーヌ・ねこぴょんお姉さま! キャア!」
この時、ねこぴょん親衛隊は100人を超える初心者冒険者の集団に成長していた。
「なんちゅう、カリスマ性だ・・・。」
「私たちの首輪ファッションはコスプレイヤーの間ではやるかな?」
「そっちかい!?」
「思ったより、ねこぴょん親衛隊の登場回数が多いな?」
「ああ、俺たちよりも目立っている!? どうする!?」
「そろそろ何か対策を立てなければ、私たちが埋没してしまうぞ!?」
俺とくまぴょんは危機感に襲われていた。
「それではカトリーヌ・ねこぴょん様、町を出て冒険の旅に出発しましょう。」
「あなたは?」
「私は、カトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊、隊長セーラです。こちらは私のメイドのバッキ―です。」
「カトリーヌ・ねこぴょん様、よろしくお願いします。」
「よろしくね。」
遂にカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊は、親衛隊長と、そのメイドキャラまで排出する名門親衛隊に成長した。
「では、偉大なる冒険の旅にレッゴー!」
「おお!」
「カトリーヌ・ねこぴょん様! 万歳!」
私は町人たちに祝福されながら、100人を超える親衛隊を引き連れて旅路に出発する。
「カトリーヌ・ねこぴょん様、どうぞサイコロを。」
「うむ。苦しゅうない。」
「ニヤ。」
俺はどさくさに紛れてねこぴょんにサイコロを渡すことに成功した。
「んん!? なんでサイコロがいるのよ!?」
「はっはっは! 遅かりし由良之助! まんまと俺の策にはまったな! ねこぴょん!」
「本性を現したわね!? 魔王の手先め!?」
「その通りだ! バレたか!?」
「いいえ。違います。私たちは魔王の手先ではなく、魔王に追われている呪われた逃亡者です。」
くまぴょんは親切なナイスガイだった。
「こんな魔王の心臓のサイコロなんて返すわよ! んん!? 手から離れない!?」
「はっはっは! そのサイコロに触れた者は、サイコロを振るまで手からサイコロが離れないのだ!」
「そんな・・・呪われている・・・。」
「はい。呪われて1020年です。」
「ラーメン屋か?」
「中華料理は4000年の歴史だろうが。」
「はい。その通り。」
俺とくまぴょん、そして、ねこぴょんの複雑な会話を聞き込んでいる親衛隊長と、そのメイドがいた。
「なんなのこの人達は!?」
「お嬢様!? なんだか怪しい関係ですね!?」
「そうね。ただの飼い主と猟犬2匹ということではなさそうね。」
「はい。お嬢様。」
「このバカうさぎとバカくまを利用すれば、邪魔者カトリーヌ・ねこぴょんを倒せるかもしれない!」
「お嬢様の夢が実現するのですね!」
「そう、私が勇者として旅立ちの町から旅立ち、魔王を倒し、この荒んだ世界に平和をもたらし、人々に感謝され、お金持ちになるという夢!」
「さすが! お嬢様!」
「その夢をスタートから邪魔したカトリーヌ・ねこぴょん・・・あなただけは許さない! 絶対に許さない!」
「おお! お嬢様が燃えている!」
「私の夢を邪魔する者は英雄だろうが、魔王だろうが、ぶっ殺す!」
「お嬢様!? 言葉使いが!?」
「あら? いけない。私としたことが。ほっほほほ。」
「はい。それでこそ、いつものお嬢様です。」
これがカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊の隊長セーラと、そのメイドのバッキ―の真の姿であった。
「それでは気を取り直して振ってみよう!」
「カトリーヌ・ねこぴょん様 サイコロ出陣式の始まりです!」
「こうなったら、やぶれかぶれだ! えい!」
「何が出るかな! 何が出るかな! ヤッホー! ヤッホー!」
ねこぴょんはサイコロを振った。
「2!? 2歩進むってこと!?」
「ぶ、ぶー! 不正解!」
「どういうことよ!?」
「私が説明しよう。」
くまぴょんは親切だった。
「始まりの町が、イチ、という名前であるならば、次の町の名前が、ニ、という可能性もあるということです。」
「じゃあ!? 私が呪われたり、サイコロを振った意味がないじゃない!?」
「そういうこと。」
「そういうことじゃない!? 親衛隊のみなさん! この狼藉ものを懲らしめてやりなさい!」
「はい! カトリーヌ・ねこぴょん様! 親衛隊長セーラが命じる! 親衛隊員よ! かかれ!」
「おお!」
親衛隊が俺とくまぴょんに襲いかかる。
「ギャアアア!? お許しください!? ねこぴょん様!?」
「許してほしければ、カトリーヌ・ねこぴょん様と言いなさい!」
「まさかの親衛隊オチとは!? グワアアア!?」
俺とくまぴょんは生死の狭間をさまよった。
「ああ・・・死にたい。死んでラクになりたいよ。」
「明日の私は何をしているんだろう・・・バタ。」
改めて、ねこぴょんが出陣の号令をかける。
「行こう! ニの町へ!」
「おお!」
こうしてカトリーヌ・ねこぴょんと親衛隊は、うさぴょんとくまぴょんを踏んで旅立った。
つづく。
「げっ!? なんで、あんたたちがいるのよ? ここ3階よ!?」
「俺たちは不死身だ!」
「さあ! 楽しい冒険に出かけよう!」
俺とくまぴょんは不死身だった。正確には呪われているので死ねないだけである。
「キャアアア! 痴漢よ! 痴漢!」
「え?」
「まさかのパターン化!?」
「痴漢はどこだ!? 我々はカトリーヌ・ねこぴょん様、親衛隊である!」
「出た・・・。」
「しかも前より人数が増えていないか?」
「カトリーヌ・ねこぴょん様を痴漢からお守りしろ!」
「おお!」
「突撃!」
「ギャアアア!?」
大部隊になっていた、ねこぴょんの親衛隊に、また俺たちは殺されかけた。
「死ねないっていうのも辛いな・・・。」
「温かい味噌汁が飲みたい・・・。」
バタ。いつでも俺とくまぴょんは前向きだった。
「それでは、希望の星! 女魔法剣士、カトリーヌ・ねこぴょん様の出陣式を行います!」
私は町人たちに歓迎されながら、旅に出る日を迎えた。
「おまえの名前はねこぴょんだろうが?」
「英雄になれば、好きな名前を付けれるのよ!」
「何を!? サイコロの目は絶対である!」
「黙りなさい。奴隷ストーカー。」
「はい・・・。」
俺とくまぴょんは首輪に繋がれていた。
「なぜ、私たちがこうなったのか、説明しよう。」
くまぴょんは親切だった。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私が町を歩いていても。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私が服を着替えていても。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私がトイレに入っていても。
「ねこぴょん!」
「キャアアア! 痴漢!」
「我々はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊である!」
私がお風呂に入っていても。
「そう、私たちは、うさぴょんの出したサイコロの目の呪いによって、ねこぴょんと仲間になったので離れることが出来ないのです。」
「俺たちより、ねこぴょん親衛隊の方が痴漢ではないか!?」
その通り。
「いいのよ。だって私の親衛隊なんだから。」
「おお! カトリーヌ・ねこぴょん様! 万歳!」
「どこまでもついて行きます!」
「この命尽きるまで、お守りします!」
「カトリーヌ・ねこぴょんお姉さま! キャア!」
この時、ねこぴょん親衛隊は100人を超える初心者冒険者の集団に成長していた。
「なんちゅう、カリスマ性だ・・・。」
「私たちの首輪ファッションはコスプレイヤーの間ではやるかな?」
「そっちかい!?」
「思ったより、ねこぴょん親衛隊の登場回数が多いな?」
「ああ、俺たちよりも目立っている!? どうする!?」
「そろそろ何か対策を立てなければ、私たちが埋没してしまうぞ!?」
俺とくまぴょんは危機感に襲われていた。
「それではカトリーヌ・ねこぴょん様、町を出て冒険の旅に出発しましょう。」
「あなたは?」
「私は、カトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊、隊長セーラです。こちらは私のメイドのバッキ―です。」
「カトリーヌ・ねこぴょん様、よろしくお願いします。」
「よろしくね。」
遂にカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊は、親衛隊長と、そのメイドキャラまで排出する名門親衛隊に成長した。
「では、偉大なる冒険の旅にレッゴー!」
「おお!」
「カトリーヌ・ねこぴょん様! 万歳!」
私は町人たちに祝福されながら、100人を超える親衛隊を引き連れて旅路に出発する。
「カトリーヌ・ねこぴょん様、どうぞサイコロを。」
「うむ。苦しゅうない。」
「ニヤ。」
俺はどさくさに紛れてねこぴょんにサイコロを渡すことに成功した。
「んん!? なんでサイコロがいるのよ!?」
「はっはっは! 遅かりし由良之助! まんまと俺の策にはまったな! ねこぴょん!」
「本性を現したわね!? 魔王の手先め!?」
「その通りだ! バレたか!?」
「いいえ。違います。私たちは魔王の手先ではなく、魔王に追われている呪われた逃亡者です。」
くまぴょんは親切なナイスガイだった。
「こんな魔王の心臓のサイコロなんて返すわよ! んん!? 手から離れない!?」
「はっはっは! そのサイコロに触れた者は、サイコロを振るまで手からサイコロが離れないのだ!」
「そんな・・・呪われている・・・。」
「はい。呪われて1020年です。」
「ラーメン屋か?」
「中華料理は4000年の歴史だろうが。」
「はい。その通り。」
俺とくまぴょん、そして、ねこぴょんの複雑な会話を聞き込んでいる親衛隊長と、そのメイドがいた。
「なんなのこの人達は!?」
「お嬢様!? なんだか怪しい関係ですね!?」
「そうね。ただの飼い主と猟犬2匹ということではなさそうね。」
「はい。お嬢様。」
「このバカうさぎとバカくまを利用すれば、邪魔者カトリーヌ・ねこぴょんを倒せるかもしれない!」
「お嬢様の夢が実現するのですね!」
「そう、私が勇者として旅立ちの町から旅立ち、魔王を倒し、この荒んだ世界に平和をもたらし、人々に感謝され、お金持ちになるという夢!」
「さすが! お嬢様!」
「その夢をスタートから邪魔したカトリーヌ・ねこぴょん・・・あなただけは許さない! 絶対に許さない!」
「おお! お嬢様が燃えている!」
「私の夢を邪魔する者は英雄だろうが、魔王だろうが、ぶっ殺す!」
「お嬢様!? 言葉使いが!?」
「あら? いけない。私としたことが。ほっほほほ。」
「はい。それでこそ、いつものお嬢様です。」
これがカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊の隊長セーラと、そのメイドのバッキ―の真の姿であった。
「それでは気を取り直して振ってみよう!」
「カトリーヌ・ねこぴょん様 サイコロ出陣式の始まりです!」
「こうなったら、やぶれかぶれだ! えい!」
「何が出るかな! 何が出るかな! ヤッホー! ヤッホー!」
ねこぴょんはサイコロを振った。
「2!? 2歩進むってこと!?」
「ぶ、ぶー! 不正解!」
「どういうことよ!?」
「私が説明しよう。」
くまぴょんは親切だった。
「始まりの町が、イチ、という名前であるならば、次の町の名前が、ニ、という可能性もあるということです。」
「じゃあ!? 私が呪われたり、サイコロを振った意味がないじゃない!?」
「そういうこと。」
「そういうことじゃない!? 親衛隊のみなさん! この狼藉ものを懲らしめてやりなさい!」
「はい! カトリーヌ・ねこぴょん様! 親衛隊長セーラが命じる! 親衛隊員よ! かかれ!」
「おお!」
親衛隊が俺とくまぴょんに襲いかかる。
「ギャアアア!? お許しください!? ねこぴょん様!?」
「許してほしければ、カトリーヌ・ねこぴょん様と言いなさい!」
「まさかの親衛隊オチとは!? グワアアア!?」
俺とくまぴょんは生死の狭間をさまよった。
「ああ・・・死にたい。死んでラクになりたいよ。」
「明日の私は何をしているんだろう・・・バタ。」
改めて、ねこぴょんが出陣の号令をかける。
「行こう! ニの町へ!」
「おお!」
こうしてカトリーヌ・ねこぴょんと親衛隊は、うさぴょんとくまぴょんを踏んで旅立った。
つづく。
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