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ポーちゃんママとろくろ首

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「ワオーン!」
 犬も鳴きだす江戸の夜道。
「ヒク! 酔っぱらっちゃった! アハハ!」
 酔っ払いの男が道を歩いていた。
「お兄さん。ちょっと遊んでいきませんか?」
 そこに若い女が甘い声で後ろから声をかけてくる。
「え、遊んでくれるの? すまんな。アハハ!」
 酔っ払いの男はラッキーと思い声の方へ振り返る。

「く、く、首が長い!? ギャアアアアアアー!? お化け!?」

 酔っ払いの男は慌てて逃げ出した。
「ケッケッケ。私の名前はろくろ首。首が伸びちゃうぞ! いっぱい人間を驚かすのだ! ケッケッケー!」
 ろくろ首が現れた。

「見たんだ!? 俺は見てはならない者を見てしまったのだ!?」
 翌朝、番屋に酔っ払いの男が駆け込んでいた。
「いったい何を見たんだい?」
「首が伸びる女だ!?」
「嘘つき。」
 番所の役人たちは誰も信じない。
「本当だ!? おらあー! 見たんだ! 首が伸びる女を!」
 酔っ払いの男は錯乱しているように見えた。
「ダメだ。こいつは。俺たちの管轄外だ。」
「そうですね。雑務は西町奉行所に送っておきますか。」
「そうだな。あそこは何でも屋だからな。」
 こうして首の伸びる女事件は西町奉行所に送られた。

「事件だ! 事件だ! 事件だ!」
 誰かが大声で叫びながら駆けてくる。
「うるさい。卯月。」
 やって来たのは卯月。
「どうしたのよ?」
 声をかけるのが弥生。
「事件だ! やっと西町奉行所にも事件らしい事件がやって来たんだよ!」
 西町奉行所は北と南の人気奉行所の下請け的扱いをされており、江戸の町の大事件ではなく、誰もしたがらないつまらない事件というより、雑務ばかりさせられていた。
「首の伸びる女?」
 事件に食いつく皐月。
「そうだよ! やっと私たちの実力を発揮できる事件がきたんだよ!」
 卯月は大いに喜ぶ。
「ただいま。」
「戻りました。」
 そこに少年と少女が帰ってくる。
「睦月! 水無! 事件だよ!」
 卯月は一人でもうるさい。
「黙れ。卯月。」
 皐月からすると卯月は蹴りを入れる対象である。
「あなたたちは何をやってたの?」
 尋ねる弥生。
「僕はどら焼きを焼いてました。」
「私は公道の水やりです。」
 これが西町奉行所の日常である。
「まったく、つまらん依頼ばかりだ。」
 皐月は西町奉行所の日々に憤慨していた。
「そう、怒るな。」
 そこに偉そうな雰囲気の男性が現れる。
「奉行。おはようございます。」
 現れたのは西町奉行所の奉行、旧暦零助。
「うむ。なにか事件があったのか?」
「はい! 首の伸びる女が現れたそうです!」
「うるさい! 卯月!」
「それはろくろ首だな。」
「ろくろ首?」
「首を伸ばして人間を脅かす妖怪だ。」
 奉行の旧暦は物知りであった。
「やっと妖怪が動き出したか。俺たちの専門分野だ。」
 喜ぶ皐月。
「こらこら。妖怪が現れない方が江戸の町が平和でいいのだ。」
 窘める奉行。
「みんな、仲良くしようね。」
 仲裁する睦月。
「それは無理じゃない。」
「え?」
「みんな雑用ばかりやらされてストレスが溜まっているから。」
 弥生のいう様に西町奉行所の与力たちは気合が入っていた。
「みじん切りにしてやる!」
「ガオー! ガオー!」
 暴れまわる卯月に皐月。
「今夜から見回りを始める。」
「ええー!? 夜勤ですか!? ガッカリ・・・・・・。」
 水無月は雑務で疲れていた。
「江戸の人々が安心して眠れるように頑張るのだ。」
「おお! 妖怪退治だ!」
 怪奇事件担当の西町奉行所の本職は妖怪退治であった。

「俺は自分がどこまで強くなれるのか知りたくて西町奉行所の与力になった。」
 夜間の見回りをする皐月たち。
「家出した猫のミーちゃんを探すためじゃなかったんですね。」
「違うわい!」
 西町奉行所の仕事は多岐にわたる。
「睦月。おまえはどうして西町奉行所の与力になったんだ?」
「そうですね。公務員なので安定した生活ができるからですかね。」
 睦月は安定志向であった。
「仲良しこよしのおまえらしいわ。」
「あははは。」
 愛想笑いで応じる睦月。
(・・・・・・僕は妖怪を許さない! 大切な友達を殺した妖怪を!)
 しかし優しい表面の睦月の心の中の本心は違っていた。
「ギャアアアアアアー!」
 その時、夜の静かな江戸の町に悲鳴が響く。
「妖怪!?」
「違う。あれは卯月が騒いでいる声だ。」
 人騒がせな卯月である。
「どうせ弥生と水無はサボりで、今頃、温かい布団で眠っているだろうよ。」
「睡眠不足はお肌の大敵!」
「疲れました・・・・・・おやすみなさい・・・・・・zzz。」
 弥生と水無は熟睡中。
「いいな。僕も帰る。」
「こら。江戸の町を守る与力なんだから働け。」
「うんにゃ。」
 本当は睦月も眠たかった。

「キャアアアアアアー! お化け!」
 今度こそか弱き女性の悲鳴だった。
「出た! 妖怪だ!」
「いってみよう!」
 皐月と睦月は追いかける。

「大丈夫ですか?」
 睦月が倒れている女性に声をかける。
「妖怪はどこに行った? 俺がぶった切ってやる!」
 皐月は妖怪と戦うことしか考えていなかった。
「あ、あっちです。」
 倒れている女性は指を指して妖怪が逃げた方向を教える。
「俺は妖怪を追う! 睦月、被害者の保護は頼んだぞ!」
「はい。」
 皐月は妖怪を追いかけて駆けていく。

「災難でしたね。怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。」
 睦月は倒れていた女性を助ける。
「女性の夜道の一人歩きは怖いので自宅までお供しますよ。」
「ありがとうございます。」
 睦月は女性を家まで送ることにした。

「でも、どうして夜道を一人で歩いていたんですか?」
 睦月は歩きながら女性に尋ねてみた。
「それは・・・・・・おまえを驚かすためさ!」
 いきなり女性の首が伸びた。
「ギャアアアアアアー!」
 睦月は驚いて腰を抜かす。
「私の名前はろくろ首! 人間を脅かすのが趣味なんだよ! ケッケッケ!」
 女性の正体は妖怪ろくろ首だった。
「分かっていましたよ。」
 しかし平然と睦月は立ち上がる。
「え?」
「だって、普通の女性は、こんな物騒な夜中に一人で出歩きませんから。」
 睦月はろくろ首の正体を分かっていた。
「ということは、おまえが一人になったのは私の正体を明かすためだったのか!?」
「違います。あの人は人のいうことは聞きませんから。」
 皐月は今も妖怪を求めて江戸の町を彷徨っている。
「おまえはいったい何者だ!?」
「僕の名前は睦月。ただの西町奉行所の与力です。」
 睦月が刀を構えて名前を名乗る。

「こうなったら、おまえを倒してやる! 必殺! 首伸!」
 ろくろ首が首を伸ばして襲い掛かってくる。
「ウワアアアアアー!」
 睦月は間一髪のところでかわす。
「どうだい? 私の首の威力は。ケッケッケ。」
「手強い相手だ!? 奴の間合いに入れない!?」
 伸びた首は鞭の様で刀の睦月はろくろ首に近づくことができない。
(友よ。如月よ。おまえの力を貸してくれ!)
 睦月は心の中で友の名を呼んだ。
「忍法! 光遁! 光線の術!」
 光のビームを放つ。
「忍術!? 侍が忍術を使うだと!? バカな!?」
 侍は刀が武器で忍者ではないので忍術は使えない。
「悪いな。僕は忍術も使えるんだ。」
 だが睦月は忍術が使える。
(ありがとう。如月。)
 睦月は友の死と共に忍者だった如月から忍術を託された。 
「ギャアアアアアアー!」
 光の忍術がろくろ首に命中した。
「妖怪王はどこにいる?」
「なに?」
 睦月はろくろ首に尋ねてみた。
「黒竜はどこにいるんだ!」
「おまえ、妖怪王様を知っているのか!?」
「ああ、知り合いだ。」
 睦月は妖怪王に出会ったことがある。友の仇である。
「僕は妖怪王を倒す!」
 睦月はそのためだけに西町奉行所の与力になった。
「おまえなんかに妖怪王様が倒せるものか!」
 ろくろ首が首を伸ばして攻撃してくる。
「友よ! 僕に力を貸してくれ!」
 睦月の剣に光が宿る。
「剣が光り輝くだと!?」
「僕の忍術刀だ!」
 光の忍術をまとって眩しい剣が煌めいた。
「くらえ! ろくろ首! これが俺の光刀斬だ!」
 睦月が必殺技で攻撃する。
「ギャアアアアアアー! 覚えてなさいよ!」
 ろくろっ首は倒され逃げ去った。
「僕は妖怪を許さない!」
(如月、おまえの仇は僕が討つ!)
 睦月の信念である。

「よくやった。ご苦労だったな。」
 翌朝、ろくろ首事件の解決を旧暦奉行に報告した睦月たち。
「今度こそは俺が!」
「どうして睦月なんだ!?」
「私たちがサボっていたのは秘密です。」
「寝てただけで事件が解決できるんだから良い時代です。アハッ!」
「たまたまですよ。」
 個性豊かな西町奉行所の与力たち。
「妖怪を捕まえないことには奉行所で裁けないからな。」
「今度は捕まえよう。」
「おお!」
 これでもチームワークはバッチリの睦月たち。
「これにて一件落着!」
 コンコン。
 つづく。

ピキーン!

 ポーちゃんママはここで一度止める。
「とりあえず、最初のエピソードはできた。西町奉行所の件も、まあまあ違和感はない。」
 引き続きろくろ首編を書き続けても問題はないかな?

ピキーン!

 ポーちゃんママはここで一度止める。
「エピソードを入れると文字数は稼げるな。この調子なら書けるな。」
 まだ違和感はない。
「でも他の作品と同じことの繰り返しであることは認めなければいけない。」
 結局はこれしかないのだろうか? パクリ? オマージュ? リスペクト? まあ、そんな作品ばかりだから拘らなくていいのだろう。

ピキーン!

 ポーちゃんママは今話を書き終えた。
「いつの間にか3500字を超えている。」
 物語を書くって楽だな。
「こんなノリでいいのだろう。」
 深くは考えない。前に進もう。
 つづく。
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