あなたの月 8月

渋谷かな

文字の大きさ
上 下
20 / 72

チキン、ファンタジー

しおりを挟む
「コケコッコー!」
 現代日本に朝が来た。
「おはよう。チキン。」
 葉月はチキンの朝の鳴き声で目が覚める。
「コケッ!」
 古来よりチキンは人々の憧れだった。
「はあ!? 今日は日曜日!? 学校が休みなのになんで起こすのよ!?」
 激怒する葉月。
「コケッ!?」
 そんなことをニワトリに言われても!? 人間がトイレに行くと同じ生理現象だぞ!? と反論するチキン。
「こうなったらチキンをぶつ切りにして、串に刺して、焼き鳥にしてやる!」
 これが本当の焼き鳥である。
「コケッ!?」
 葉月に恐怖するチキン。
「大丈夫よ。あんたの羽に火をつければ火の鳥、フェニックスとして甦ることができるんだから、安心して、焼き鳥になりなさい!」
 これは葉月の理屈である。
「コケッ!?」
 葉月を信じられないチキンは捕まらないように走った。
「待て! 逃げるな! 私のお肉!」
「コケッ!?」
 葉月とチキンの朝の体操であった。
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・はあ・・・・・・。」
「コケッ・・・・・・コケッ・・・・・・コケッ・・・・・・。」
 疲れたところで一緒に床に倒れ込み仲直りする。
「こんな時にポーションがあれば・・・・・・。」
 ポーションとは体力回復薬である。
「コケッ。」
 チキンが葉月の頭に何かがあると教える。
「ん? んん!? 卵だ!」
 葉月は卵を見つけた。
「いただきます!」
 葉月は生卵を食べた。
「元気! ハツラツ! オロナミンCー!」
 こうして葉月は生き返った。
「ありがとう! チキン!」
「コケッ!」
 人間とニワトリにも友情は芽生えるのだった。
「退屈。なんもすることがない。」
「コケッ。」
 ほっこりと二度寝をしている葉月とチキン。
「チキン、どっちがいい?」
「コケッ?」
 その時、葉月がチキンに質問する。
「干支守をアイドルにしてド派手な歌を歌うか、異世界ファンタジー化して、剣や魔法でド派手に戦うか?」
 ど派手でなければヒットしないから。
「コケッ。」
 このまま平和な日常モノでいいよ、っとチキンは言っている。
「そうよね。この流れで行けばファンタジー化よね。」
「コケッ・・・・・・。」
 こいつなんも聞いてねえ、っと思うチキンであった。
「最近の流行は、戦っているのは人間なんだけど、ロボットが戦っている様なド派手なのがトレンドらしいわ。」
「コケッ?」
 チキンには何を言っているのか分からない。
「ビームライフルが、チキンライフルでしょ。ビームサーベルが、チキンサーベル。かめはめ波が、チキン破。スーパーサイヤ人が、スーパー鳥肌。北斗百裂拳がチキン百突き。ペガサス流星拳が、チキン流星拳。飛天御剣流天翔龍閃が、チキン流天翔酉閃で決まりっと。」
 次々とチキンの必殺技が生み出されていく。
「コケッ?」
 チキンに葉月の言葉は謎の呪文である。
「サイコガンは、チキンガン。こうやってみると必殺技って、あんまりないのね。」
「コケッ。」
 暇な日曜日は何事も無く過ぎていくのだった。
 つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

顔と名前を覚えることが苦手な私が出会ったお爺さんは、私とよく似た人を忘れられなかったようです

珠宮さくら
青春
三千華は結婚して家庭を持ってから、思い出深い季節が訪れて大学生の頃のことを思い出すことになった。 家族以外の人の顔と名前を覚えることが苦手な三千華は、そこで自分の顔にそっくりな女性と間違い続けるお爺さんとボランティアを通じて出会うことになるのだが、その縁がより自分に縁深いことを知ることになるとは思ってもみなかった。

ユキメの地元は島で、幼馴染は進学でいなくなる。19の夏、私どうすればいいの? 原題:ユキメの夏

浮空みどり
青春
西田雪芽はとある島に暮らす高校生。 高校一年の時に脳の疾患で倒れ、文字が読めなくなった。 勉強も、友達も、彼がいなかったら全てが失われていただろう。 それだけ幼なじみの芳樹の存在が何よりの支えだった。 そんな彼が大学は島を出ると聞くが、雪芽は何もできないまま19の夏を過ごすのであった。 ’19 執筆 ’23 改訂

アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~

歩楽 (ホラ)
青春
とってもギャグな、お笑いな、青春学園物語、 料理があって、ちょびっとの恋愛と、ちょびっとのバトルで、ちょびっとのユリで、 エロ?もあったりで・・・とりあえず、合宿編23話まで読め! そして【お気に入り】登録を、【感想】をお願いします! してくれたら、作者のモチベーションがあがります おねがいします~~~~~~~~~ ___ 科学魔法と呼ばれる魔法が存在する【現代世界】 異世界から転生してきた【双子の兄】と、 兄の魔力を奪い取って生まれた【双子の妹】が、 国立関東天童魔法学園の中等部に通う、 ほのぼの青春学園物語です。 ___ 【時系列】__ 覚醒編(10才誕生日)→入学編(12歳中学入学)→合宿編(中等部2年、5月)→異世界編→きぐるい幼女編 ___ タイトル正式名・ 【アンタッチャブル・ツインズ(その双子、危険につき、触れるな関わるな!)】 元名(なろう投稿時)・ 【転生したら双子の妹に魔力もってかれた】

タカラジェンヌへの軌跡

赤井ちひろ
青春
私立桜城下高校に通う高校一年生、南條さくら 夢はでっかく宝塚! 中学時代は演劇コンクールで助演女優賞もとるほどの力を持っている。 でも彼女には決定的な欠陥が 受験期間高校三年までの残ります三年。必死にレッスンに励むさくらに運命の女神は微笑むのか。 限られた時間の中で夢を追う少女たちを書いた青春小説。 脇を囲む教師たちと高校生の物語。

傍観者ーBystanderー 二年B組

hakusuya
青春
傍観者は存在感を消し去り、人知れず視線を登場人物に送り続ける。決して介入することはない。 彼が客観視をやめ、ひとたび舞台にあがるとき、物語はあやうい方向へ動き出す。それは果たして創作者の意図なのか、はたまた演出家の綾なのか。それとも、彼自身の意志なのか。

本当にあった怖い話

邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。 完結としますが、体験談が追加され次第更新します。 LINEオプチャにて、体験談募集中✨ あなたの体験談、投稿してみませんか? 投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。 【邪神白猫】で検索してみてね🐱 ↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください) https://youtube.com/@yuachanRio ※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

ゾンビだらけの世界で俺はゾンビのふりをし続ける

気ままに
ホラー
 家で寝て起きたらまさかの世界がゾンビパンデミックとなってしまっていた!  しかもセーラー服の可愛い女子高生のゾンビに噛まれてしまう!  もう終わりかと思ったら俺はゾンビになる事はなかった。しかもゾンビに狙われない体質へとなってしまう……これは映画で見た展開と同じじゃないか!  てことで俺は人間に利用されるのは御免被るのでゾンビのフリをして人間の安息の地が完成するまでのんびりと生活させて頂きます。  ネタバレ注意!↓↓  黒藤冬夜は自分を噛んだ知性ある女子高生のゾンビ、特殊体を探すためまず総合病院に向かう。  そこでゾンビとは思えない程の、異常なまでの力を持つ別の特殊体に出会う。  そこの総合病院の地下ではある研究が行われていた……  "P-tB"  人を救う研究のはずがそれは大きな厄災をもたらす事になる……  何故ゾンビが生まれたか……  何故知性あるゾンビが居るのか……  そして何故自分はゾンビにならず、ゾンビに狙われない孤独な存在となってしまったのか……

【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?

おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。 『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』 ※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。

処理中です...