あなたの月 8月

渋谷かな

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また会う日まで

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「さあ、思いっきり遊んだし、そろそろ、お家に帰ります。家族も心配しているだろうし。」
 干支・ワールドで疲れた葉月は現実世界に帰ることにした。
「そうですか。それは寂しくなりますね。」
「そうですね。短い間だったけど、楽しかったです。クスン。」
 別れが寂しくて、じんわりする葉月。
「コケッ。」
「おお!? チキン!? おまえも泣いてくれるのか!?」
「コケッ!」
 気持ちが高まり泣きながら抱き合う葉月とチキン。
「許してくれ! おまえを食べないで、エトワールに置いていく私を!」
「コケッ!?」
 おまえ、まだ俺を食うつもりだったのか!? と葉月に距離をとるチキン。
「大丈夫ですよ。チキンとは離れ離れにはなりませんよ。」
「なんですと!?」
 酉月は葉月とチキンは一緒だという。
「あなたは酉の干支守になったのです。だから、現代世界に帰っても、ニワトリとはずっと一緒ですよ。」
 そう、葉月は干支守になったのだ。
「聞いた! チキン! 私たちは、ずっーと一緒よ!」
「コケッ!」
「チキン! おお! 私のチキン!」
「コケッ!」
 また喜び笑顔で抱き合う葉月とチキン。
「これであなたを食べるチャンスがあるってことよね。」
「コケッ!?」
「逃がさないわよ! 貴重な食糧!」
「コケッ!? こ、こ、こ、コケッ!?」
 力強く抱きしめる葉月の腕から逃れられないチキン。
「ん? んん? 何かおかしいな? チキンと現実世界でも一緒?」
 葉月は大切なことに気がついた。
「はい。あなたは干支守としてニワトリをペットとして飼わなければいけません。」
「はい~!?」
 チキンは葉月に飼われることになった。
「鳥の干支守として、ニワトリを奉ってくださいね。」
「私にチキンに平伏せというのか!?」
「はい。」
 笑顔で答える酉月。
「ということは!? 私はチキンよりも格下になるの!?」
「コケッ!」
 私は偉いのだ! とチキンは言っている。
「そんなバカな!? 私がたかがニワトリ如きに頭を下げて生きなくてはいけないなんて!? あり得ん!? 絶対にあり得んぞー!?」
 頭がパンクしそうな葉月。
「そうそう。言い忘れていましたが、時空を超えたい時は干支の石像に願って下さい。」
「そういえば、私がエトワールに来た時もハチ公の石像に触れていたような。」
 確かに葉月は犬のハチ公の像に愚痴っていた。
「初回はサービスで今回は私が願ってあげましょう。」
 優しい酉月。
「やったー! サービス大好き!」
「コケッ!」
 無料や、サービスという言葉に弱い人間とニワトリ。
「酉の干支守よ! 元居た世界に帰れ!」
 時空の入り口が開く。
「ウワアアアアアー!?」
「コケッー!?」
 入り口に吸い込まれてる葉月とチキン。
「ここは・・・・・・渋谷!?」
「コケッ!?」
 葉月とチキンは現代に戻ってきた。
 つづく。
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