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結 VS 恵

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 ここは渋谷のスクランブル交差点。魔法少女20人による、格闘ゲームが繰り広げられている。
「そうか。格闘ゲームだと、対してストーリーを考えなくていいのね。」
「確かに格闘ゲームもサッカーゲームも戦いや試合に勝つことがメインで、つなぎのストーリーの比率は薄っぺらいもんね。」
 手りゅう弾を受けても不死身の渋井姉妹。
「さあ、どいてちょうだい。」
「結!?」
 そこに第3魔法少女、恋愛結が現れた。
「同じ魔法少女の仲間同士が戦うことは気が引けるけど、これもゲームだから仕方がない。」
 ゲーム。楽しいもののはずが、ゲームといえば、皆殺しにしようが、いじめ、パワハラ、セクハラなど、ゲームといえば許される。ゲームとは残酷なのかもしれない。ゲームをしている人間の時間を奪っていく。確実に勉強をした人間と学力に差ができる。ゲームで遊んでしまうことで、その人間の未来を奪うのだから。
「その通り!」
「恵!」
 そこに第4魔法少女、海老原恵が現れる。
「久ぶりの登場と思ったら、格闘ゲーム。これはチャンスです! 私が結を倒して、メインを魔法渋谷高校から、魔法恵比寿高校に変えてみせます!」
「げ、下剋上だ!?」
 弱い者が強い者を倒す。人は、それを下剋上と呼ぶ。戦国時代の流行語だ。
「それでは結さんと恵さんの試合を開始します。どうぞ!」
 渋井姉妹の父、渋井谷男は、意外とレフリー役を気に入っていた。
「朝食後の運動だ。簡単にひねりつぶしてくれる!」
「そう簡単には負けませんよ! 私にはネットショッピングの神がついている!」
 互いに一言を言って、戦う気力は十分である。
「私からいくわよ! 私は妖怪を司る魔法少女として、第8魔法少女の幽霊のおみっちゃんを始め、全ての妖怪を支配下に置いている。これからの高齢化社会にお墓や墓場の清掃、なんならお坊さん役も妖怪にやらせることも可能。最近は、妖怪警察24時で、悪い犯人を驚かせて倒すという社会貢献。そこら辺の妖怪、妖の感動ストーリーなんて、昔からある、ただの鉄板よ! 同じようにパクれば、感動妖怪ストーリーなんて、直ぐにできるわよ! あと朝食、モーニングカフェとコラボれるわ!」
 結の言うことももっともである。思いを残した人間が死に、妖になり現世に残る。その思いや無念を片付ければ、無事に成仏できる。タイトルが違うだけで、内容が同じでも、いつでも大衆にウケる。新しい話を考えるより、それだけやってれば原作者デビューできてお金持ちになれそうだ。
「恵だって負けませんからね! 私は第4魔法少女で、狸を司る魔法少女です! うちの狸子はタヌポンであって、とっても可愛いんだから! 私は魔法少女で唯一の彼氏持ち! 彼氏の名前は寿司と書いて、コトブキツカサ君よ! 恋愛もラブコメも私に任せなさい! あと現代人ぽく、趣味はSNS投稿に、ネットショッピング! これは趣味であって、引きこもりとは言わせないんだから!」
 薄いようで濃いような恵の言い分であった。
「あなたの負けよ! 私がいいって言うから、いいのよ!」
「エビメグは勝ちます! ツカサ君! 私に力を貸して!」
 いよいよ、実力行使の勝負にでる。
「呪い殺せ! いでよ! 魑魅魍魎! ティファ・ティファ・ティファニー!」
「ああ! 置いてて良かった! 狸の置物! リヤ・リヤ・リヤロド!」
 無数の妖怪と巨大化したタヌキの狸子が現れ、戦っている。
「ギャア!」
 しかし多勢に無勢。妖怪が勝利した。
「ああ~負けちゃった。いいもん。家に帰ってネットサーフィンだ!」
 恵はタヌキの狸子を回収して帰って行った。
「栞、今度はあなたと勝負よ!」
 結は栞を挑発する。
「なんて恐ろしい朝食大好き娘なの!?」
 栞は泪以上の強敵の出現に恐怖した。
 つづく。
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