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3T 魔法渋谷高校

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 ここは新宿駅にいる栞、谷子、ドキ子たち。スカウターレシーバーで道子と交信している。
「魔法代々木高校はリタイヤですって。」
「リタイヤ!?」
「司令官の女の子が18マス進めるという裏技をやったんだけど、18マスを説明している間に体力の限界を迎えたみたいね。」
 ドキ子たちは魔法代々木高校の出場者がドキ子の友達たちとは知らなかった。
「私たちも2ターンで限界を迎えているわ。」
「そうそう。ちょっと休憩で図書館で本を読みたいです。」
「ドキ子たちも棄権しましょう! ドキ。」
 栞たちは鉄道の奥深さに精神的に追い詰められていた。まさか2ターンを終えるだけで文字数が半分に到達しようとし、渋谷区の駅を回るだけで、こんなにも駅の数が多かったとは想定していなかった。
「そうね。素直に「恵比寿から笹塚に行く」とか単純なものにしておけば、楽しく2、3ターンで終わっていたのに。今回の渋谷区予選は、内臓が痛くなるわ。」
 鉄道大好きの道子も、みんなで鉄道を楽しみたいのに、リタイヤする者もでている、この苦行ぶりを見て運営の不手際を恨んでいた。
「特別ルールとかで、3ターンで一番、多く進んだチームの勝ちとかに変更しないかな、こっちが参っちゃう。」
「栞お姉ちゃん、魔法でルールを変えちゃおうよ。」
「ドキ子、良い事に気が付いたわ。ドキ。」
 その時、ドキ子が苦行から抜け出す良い方法を思いついた。
「その方法とは、他の高校の選手を全て倒してしまえばいいのよ! ドキ。」
「おお! その手があったか!」
「魔法少女が3人いる私たちなら余裕で勝てるわ!」
「おお!」
 栞たちは実力行使に出ることを決めた。
「ダメよ!」
 道子がスカウターレシーバーで、ウォーミングアップする栞たちを止める。
「これは魔法鉄道ゲームなんだから、みんなで鉄道と青春しましょうよ! 破壊活動なんかしちゃダメよ! これは高校の思い出作りなんだから!」
「み、道子。」
 道子になだめられて、栞たちの戦意が低下していく。
「みんな、一緒にがんばろう!」
「わかったわ。道子の言う通りよ。私たちが間違っていたわ。」
「もう少しだけがんばる。」
「ドキ子! 猛烈に感動しているわ! ドキ。」
「ありがとう! みんな!」
 バラバラになっていた魔法渋谷高校のメンバーの心を道子の想いのこもった言葉がチームを1つにした。
「魔法渋谷高校! 正々堂々と鉄道に乗って勝つぞ!」
「おお!」
 気合を入れ直して、道子がサイコロを振る。
「でやあ! 3。3か。魔法京王線に乗って、初台、幡ヶ谷からの笹塚駅ね。」
「了解。道子、私たちがんばるからね!」
「勝ったら魔法機関車トーマス3の絵本ちょうだいね。」
「大丈夫。ドキ子は疲れてもカワイイから。」
「ありがとう、みんな。」
 栞、谷子、ドキ子の友情に感動して涙をこぼしそうになる道子であった。
「ドカーン!」
 その時だった。突如、新宿駅で爆発音が聞こえる。
「キャアアアー!」
 周囲の人々の悲鳴声が聞こえる。
「いったい何が起こったの!?」
 栞たちは周囲を見渡す。一般の鉄道利用のお客さんたちで新宿駅はパニックになっていた。
「これはミサイルの攻撃。こんなことができるのは、泪しかいない!」
 栞はこの空爆が軍隊を司る魔法少女の泪の仕業だと気づいた。
「キャアアアー!」
 また周囲から悲鳴声が聞こえてくる。
「今度は何!?」
 栞たちは周囲を見渡すと、火の玉や幽霊が一般人を追いかけまわしてた。
「妖怪!? こんなことをできる奴は、結しかいない!」
 泪の次は結。栞は純粋にゲームを楽しもうとしていた気持ちに水を差される。
「ちょうどストレスを発散させたかったのよね。」
「ドキ子も行くわ。ドキ。」
「怪獣ちゃんは道子の指示通り、笹塚駅に向かって。」
「うん、分かった。」
 ゲームのルールに、チームを分散してはいけないというルールはなかった。
 つづく。
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