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20話 尋問②×二人っきり
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「真依・・・」
「お前、まさか・・・・・・」
「・・・」
怜人と伸之は、真依に『何故自分には黙っていて、ずっと隠していたのか』と、
憤慨されることを覚悟したが、真依はそうやって怒るどころか、今度は真依の方が黙り込んだ。
そして数秒に渡る沈黙を突然破って、真依は口を開いた。
だが、その表情は怒っているというより、
むしろ少し何らかの気持ちを隠しているようだった。
「二人とも、あんまり誤解しないでね?
別に私は賢人くんが石見先輩と一緒に居ることが気になるとかそんなのじゃなくて、
あくまで同じクラスの委員長として役目を担う者として気にかけているだけだからね?
・・・じゃあそういうことで!」
「「・・・・・・」」
真依は学校での自分の立場を含めたあまりにも長い言い訳(?)を二人に冷静かつ気さく(?)に浴びさせるとその場にいることが気まずくなったのか、己の気持ちを紛らすかのようにそそくさとその場を去っていった。
それに対して二人はこの状況に対して何を言えば良いのか分からず、ただ呆然として座ることしか出来なかった。
◇◇◇◇
一方、当の賢人と里奈は?と言うと、そんなやり取りが行われていることを知る由も無く、
尚も誰も邪魔してこない二人っきりで、最高(?)の時間を過ごしていた。
端から見てもその様子は、以前にも増してより親密そうだった。
「ーーー私が屋上でデートに誘った時、
花から電話が掛かってきたの覚えてるでしょ?」
「はい、もちろん」
(忘れはしないよ。なんたって、僕と里奈先輩の初デートを約束した日なんだから)
「それでね?あの時花は私が賢人くんをデートに誘ったのを知った途端、
他の二人も連れて一緒に行きたいって言い出したの」
「あ、そうだったんですか」
(成る程、通りであれだけ取り乱して喋ってた訳だ)
「でも、あの時一番恥ずかしかったのは、花に彼氏をデートに誘っているのはおろか、
この私に彼氏が出来たことを無自覚に話しちゃったことじゃなくて・・・」
「・・・ことじゃなくて?」
「・・・け、賢人くんの目の前で、
む、無意識に素の私を出しちゃったこと・・・・・・」
「・・・ぇ?」
もじもじとしながら話す里奈に、賢人は思わず声が小さくして答えてしまった。
それ以前から、恐らくその日に人生で恥ずかしいことが連続で起きたことを、
わざわざ丁寧に喋ってくれた里奈の話を聞いて、唯一の目撃者であり、
本人の彼氏である優しい賢人は、それを聞いてドキッとしたものの、
彼氏としてこんな言葉で返した。
「でも、普段から学校で見る清楚でクールな里奈先輩より、
素の方の里奈先輩の方が、とても可愛いと思いますよ・・・?」
「・・・っ!!
あの、えっと・・・ありがと、ね・・・?」
(嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘~!?賢人くんが素の私でも可愛いって言ってくれた!!
ホントマジで嬉しいんだけど!迷惑になってなくて良かった!!)
賢人の天使にも相当する言葉に、里奈は心の中で喜びのあまり、
大声で叫びたい程に舞い踊りそうになったが、
実際にそうすると流石に賢人に引かれると思い、顔を真っ赤にしながらもじもじと
『可愛い』と言ってくれたことに照れながら感謝することで精一杯だった。
「・・・それでね?話を変えるけどさ・・・
期末テストが終わった後、すぐ夏休みに入るじゃん?」
里奈は恥ずかしさを誤魔化そうと、話題を変えようとしたが、
『可愛い』と言われたことで、まだ胸の高まりが止まらず引きずってしまっているせいか、
思うように言葉を発することが出来なかった。
しかし、賢人は全く気にすること無く、返事した。
「・・・いや、これと言った予定は特に無いですけど、なんで?」
「良かったら、二人で夏の思い出でも作ろうかな?って・・・
私じゃ・・・駄目、かな?」
「・・・!いやいや!そんなこと無いですよ!?
むしろめちゃくちゃ嬉しいですよ!!」
どうやら断られるのかと思ったのか、涙目になりながら聞く里奈に、
賢人は慌てながら、気遣いとOKの意味を込めて答えた。
「・・・良かった。賢人くんならそう言ってくれるかと思った」
「もちろんですよ。そんなこと言っちゃうなんて、
彼氏としても男としても、情けないですから!」
「・・・ありがとう!」
「・・・っ!」
賢人から良い返事が聞けて里奈は嬉しくなり流しそうになった悲しみの涙が、
一瞬で嬉し泣きの涙に早変わりし、瞳に溜めていた涙の雫をこぼしてしまったものの、
誤解されたくない思いで、笑顔を作った。
だが、これがまた乙女の効果を発動させたしく、
僅かな涙を流しながら笑みを浮かべる里奈がなんとも麗しくて、賢人の胸を素早く貫いた。
「・・・とりあえず、この日には絶対これとか、特に予定はまだ決まってないけど、
とにかく今は期末テストの勉強、お互い頑張りましょ!」
「・・・はい!」
里奈は夏休みの予定の話題については、少々残念そうして下げたが、
とにかく今は刻一刻と迫る期末テストに向けて頑張ろうと、ガッツポーズした。
賢人もまた、急に話を下げる里奈に戸惑ったが、
自分も頑張るから、賢人も頑張ってほしいと応援してくれていると思うと、嬉しくなって返事した。
「じゃあ私、そろそろ行かなきゃ。
またお姉ちゃんとお手伝いする約束があるから」
「はい、また明日学校で!」
二人が座っているベンチの位置から見て、噴水広場の目と鼻の先に
数本立っている公園灯の他に、
ぽっつりと一本だけ佇んでいる柱に付いている大きな時計を見てみると、
ちょうど正午を過ぎる頃だった。
里奈はもう少し賢人と二人でお話したかったらしく、
少し名残惜しそうだったことが窺えたが、真面目が故に約束は破りたくない里奈は
渋々賢人に先に帰らなくてはならないことを打ち明け、無事賢人から了承も得られて安心すると、
座っていたベンチから立ち上がり鞄を持って、そのまま公園の出入り口に向かって、
真っ直ぐ歩いていった。
賢人がその堂々とした後ろ姿に見惚れていると、
里奈は公園を少し出たところで突然振り返って、口パクで何かを言っていた。
賢人はその口パクの言葉を疑問的に口にした。
「・・・『バイバイ』?」
里奈はその一言が賢人に伝わったことが分かると、少々お茶目な雰囲気を出しながら、
漫画やアニメならハートマークが出るような可愛らしいウィンクを、
賢人に向かって思いっきりぶつけた。
学校では普段から清楚と冷徹を貫くその姿と、
本人は意図していなかったが、先ほど見せた少量の涙を流しながら作る笑みは綺麗そのものだが、
今賢人の目に映っている、彼氏の前でのみ見られる、明るくて思わずギャップ萌えしてしまうような
美少女になる彼女から繰り出されるウィンクは、「綺麗」というよりも「可愛い」の方が似合っていた。
「・・・っ!!」
誰も見ていない(?)公園のど真ん中にいる自分だけに加えて、
それが学校一の美少女から狙い撃ちでされたと考えるあまり、
賢人は里奈の顔を直視できず、とっさに視線を逸らした。
そんな賢人の様子を見て、ウィンクが伝わったことが分かった里奈は、
少々恥ずかしがる賢人を見て、可愛らしいなと思ってくすくすと笑いながら、
あっという間に公園の出入り口から走り去っていった。
「・・・・・・」
あまりにも突然で、リア充を夢見る思春期の男子ならこれをされただけで、
思わず数秒もかからずあの世に昇天しまいそうな出来事に、賢人はいつも頭が回らなくなり、
顔を赤く染めたまま、その場で立ち尽くすことしか出来なかった。
「・・・ぼ、僕も帰るか」
◇◇◇◇
あの後、里奈に続いて賢人も帰ろうとしたが、あの状況であまりにも緊張してしまったのか、
気づけばトイレが近くなっており、公園の中にある公衆便所で用を済ましてから帰ることにした。
ところが、小であるのにもかかわらず、緊張した影響でよっぽど溜まっていたせいか、
思っていたよりもトイレが長引いてしまった。
「・・・さてと、改めまして帰るとするか!」
賢人は改まって公園を見渡して、同級生や同年代の若者はおらず、
友達と一緒に遊びに来た小学生や小さな子供を連れてきた保護者が数人いるだけであることを確認すると、
すぐさまその場から公園の出入り口に向かって、そのまま出ていった。
もしもあの状況を前者に見られていたと思うと、ものすごく恥ずかしいからだ。
賢人が確認する限り、そのような人物は見当たらず、幸いが功を呼んだ。
もっとも、賢人が見ていない草むらの中から、
怜人と伸之、そして二人の後をつけてきた真依の三人に一部始終を見られていたとは知らずに・・・
「・・・帰るとは言ったものの、帰ってから何しようかなー・・・」
賢人は帰ってからすぐに、テスト勉強に取り掛かろうとも考えたが、
期末テストに出てくると指定された範囲の内容は、ほぼほぼ全てやり終えてしまったため、
やろうにも既に答えが分かっていて、予習のつもりでやったとしても、
文句無しの満点になってしまう。だからこのまま帰っても、やることはあまりないと言ってもいい。
そんな勉強面からすれば、ほぼ『完全無欠』ともいえる頭脳で、
賢人は帰ってから何をしようかと、公園から少し離れた住宅街の中を歩きながら、
ひたすら考えていると・・・・・・
「だったら、うちと少し遊んでくー?」
「・・・!?」
後ろから突然声を掛けられた賢人は驚いて、思わず固まってしまった。
しかし、少し前に聞いたことがある声と口調からして、まさかと思いつつ、賢人は勢いよく振り向いた。
そこにいたのは・・・・・・
「し、重盛さん!?」
そう、そこにいた賢人を呼ぶ声の主であるチャラチャラとした黒ギャルは、
見覚えがあるかと思いきや、ほんの数ヶ月前に里奈との初デートの時、
偶然(?)その場で立ち会った里奈の幼馴染み四人のうちのひとりで、
その時里奈が一番気をつけるようにと、警告していた重盛 蘭子その人だった。
「あはっ♡賢人くん、おっひさー♪」
「お前、まさか・・・・・・」
「・・・」
怜人と伸之は、真依に『何故自分には黙っていて、ずっと隠していたのか』と、
憤慨されることを覚悟したが、真依はそうやって怒るどころか、今度は真依の方が黙り込んだ。
そして数秒に渡る沈黙を突然破って、真依は口を開いた。
だが、その表情は怒っているというより、
むしろ少し何らかの気持ちを隠しているようだった。
「二人とも、あんまり誤解しないでね?
別に私は賢人くんが石見先輩と一緒に居ることが気になるとかそんなのじゃなくて、
あくまで同じクラスの委員長として役目を担う者として気にかけているだけだからね?
・・・じゃあそういうことで!」
「「・・・・・・」」
真依は学校での自分の立場を含めたあまりにも長い言い訳(?)を二人に冷静かつ気さく(?)に浴びさせるとその場にいることが気まずくなったのか、己の気持ちを紛らすかのようにそそくさとその場を去っていった。
それに対して二人はこの状況に対して何を言えば良いのか分からず、ただ呆然として座ることしか出来なかった。
◇◇◇◇
一方、当の賢人と里奈は?と言うと、そんなやり取りが行われていることを知る由も無く、
尚も誰も邪魔してこない二人っきりで、最高(?)の時間を過ごしていた。
端から見てもその様子は、以前にも増してより親密そうだった。
「ーーー私が屋上でデートに誘った時、
花から電話が掛かってきたの覚えてるでしょ?」
「はい、もちろん」
(忘れはしないよ。なんたって、僕と里奈先輩の初デートを約束した日なんだから)
「それでね?あの時花は私が賢人くんをデートに誘ったのを知った途端、
他の二人も連れて一緒に行きたいって言い出したの」
「あ、そうだったんですか」
(成る程、通りであれだけ取り乱して喋ってた訳だ)
「でも、あの時一番恥ずかしかったのは、花に彼氏をデートに誘っているのはおろか、
この私に彼氏が出来たことを無自覚に話しちゃったことじゃなくて・・・」
「・・・ことじゃなくて?」
「・・・け、賢人くんの目の前で、
む、無意識に素の私を出しちゃったこと・・・・・・」
「・・・ぇ?」
もじもじとしながら話す里奈に、賢人は思わず声が小さくして答えてしまった。
それ以前から、恐らくその日に人生で恥ずかしいことが連続で起きたことを、
わざわざ丁寧に喋ってくれた里奈の話を聞いて、唯一の目撃者であり、
本人の彼氏である優しい賢人は、それを聞いてドキッとしたものの、
彼氏としてこんな言葉で返した。
「でも、普段から学校で見る清楚でクールな里奈先輩より、
素の方の里奈先輩の方が、とても可愛いと思いますよ・・・?」
「・・・っ!!
あの、えっと・・・ありがと、ね・・・?」
(嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘~!?賢人くんが素の私でも可愛いって言ってくれた!!
ホントマジで嬉しいんだけど!迷惑になってなくて良かった!!)
賢人の天使にも相当する言葉に、里奈は心の中で喜びのあまり、
大声で叫びたい程に舞い踊りそうになったが、
実際にそうすると流石に賢人に引かれると思い、顔を真っ赤にしながらもじもじと
『可愛い』と言ってくれたことに照れながら感謝することで精一杯だった。
「・・・それでね?話を変えるけどさ・・・
期末テストが終わった後、すぐ夏休みに入るじゃん?」
里奈は恥ずかしさを誤魔化そうと、話題を変えようとしたが、
『可愛い』と言われたことで、まだ胸の高まりが止まらず引きずってしまっているせいか、
思うように言葉を発することが出来なかった。
しかし、賢人は全く気にすること無く、返事した。
「・・・いや、これと言った予定は特に無いですけど、なんで?」
「良かったら、二人で夏の思い出でも作ろうかな?って・・・
私じゃ・・・駄目、かな?」
「・・・!いやいや!そんなこと無いですよ!?
むしろめちゃくちゃ嬉しいですよ!!」
どうやら断られるのかと思ったのか、涙目になりながら聞く里奈に、
賢人は慌てながら、気遣いとOKの意味を込めて答えた。
「・・・良かった。賢人くんならそう言ってくれるかと思った」
「もちろんですよ。そんなこと言っちゃうなんて、
彼氏としても男としても、情けないですから!」
「・・・ありがとう!」
「・・・っ!」
賢人から良い返事が聞けて里奈は嬉しくなり流しそうになった悲しみの涙が、
一瞬で嬉し泣きの涙に早変わりし、瞳に溜めていた涙の雫をこぼしてしまったものの、
誤解されたくない思いで、笑顔を作った。
だが、これがまた乙女の効果を発動させたしく、
僅かな涙を流しながら笑みを浮かべる里奈がなんとも麗しくて、賢人の胸を素早く貫いた。
「・・・とりあえず、この日には絶対これとか、特に予定はまだ決まってないけど、
とにかく今は期末テストの勉強、お互い頑張りましょ!」
「・・・はい!」
里奈は夏休みの予定の話題については、少々残念そうして下げたが、
とにかく今は刻一刻と迫る期末テストに向けて頑張ろうと、ガッツポーズした。
賢人もまた、急に話を下げる里奈に戸惑ったが、
自分も頑張るから、賢人も頑張ってほしいと応援してくれていると思うと、嬉しくなって返事した。
「じゃあ私、そろそろ行かなきゃ。
またお姉ちゃんとお手伝いする約束があるから」
「はい、また明日学校で!」
二人が座っているベンチの位置から見て、噴水広場の目と鼻の先に
数本立っている公園灯の他に、
ぽっつりと一本だけ佇んでいる柱に付いている大きな時計を見てみると、
ちょうど正午を過ぎる頃だった。
里奈はもう少し賢人と二人でお話したかったらしく、
少し名残惜しそうだったことが窺えたが、真面目が故に約束は破りたくない里奈は
渋々賢人に先に帰らなくてはならないことを打ち明け、無事賢人から了承も得られて安心すると、
座っていたベンチから立ち上がり鞄を持って、そのまま公園の出入り口に向かって、
真っ直ぐ歩いていった。
賢人がその堂々とした後ろ姿に見惚れていると、
里奈は公園を少し出たところで突然振り返って、口パクで何かを言っていた。
賢人はその口パクの言葉を疑問的に口にした。
「・・・『バイバイ』?」
里奈はその一言が賢人に伝わったことが分かると、少々お茶目な雰囲気を出しながら、
漫画やアニメならハートマークが出るような可愛らしいウィンクを、
賢人に向かって思いっきりぶつけた。
学校では普段から清楚と冷徹を貫くその姿と、
本人は意図していなかったが、先ほど見せた少量の涙を流しながら作る笑みは綺麗そのものだが、
今賢人の目に映っている、彼氏の前でのみ見られる、明るくて思わずギャップ萌えしてしまうような
美少女になる彼女から繰り出されるウィンクは、「綺麗」というよりも「可愛い」の方が似合っていた。
「・・・っ!!」
誰も見ていない(?)公園のど真ん中にいる自分だけに加えて、
それが学校一の美少女から狙い撃ちでされたと考えるあまり、
賢人は里奈の顔を直視できず、とっさに視線を逸らした。
そんな賢人の様子を見て、ウィンクが伝わったことが分かった里奈は、
少々恥ずかしがる賢人を見て、可愛らしいなと思ってくすくすと笑いながら、
あっという間に公園の出入り口から走り去っていった。
「・・・・・・」
あまりにも突然で、リア充を夢見る思春期の男子ならこれをされただけで、
思わず数秒もかからずあの世に昇天しまいそうな出来事に、賢人はいつも頭が回らなくなり、
顔を赤く染めたまま、その場で立ち尽くすことしか出来なかった。
「・・・ぼ、僕も帰るか」
◇◇◇◇
あの後、里奈に続いて賢人も帰ろうとしたが、あの状況であまりにも緊張してしまったのか、
気づけばトイレが近くなっており、公園の中にある公衆便所で用を済ましてから帰ることにした。
ところが、小であるのにもかかわらず、緊張した影響でよっぽど溜まっていたせいか、
思っていたよりもトイレが長引いてしまった。
「・・・さてと、改めまして帰るとするか!」
賢人は改まって公園を見渡して、同級生や同年代の若者はおらず、
友達と一緒に遊びに来た小学生や小さな子供を連れてきた保護者が数人いるだけであることを確認すると、
すぐさまその場から公園の出入り口に向かって、そのまま出ていった。
もしもあの状況を前者に見られていたと思うと、ものすごく恥ずかしいからだ。
賢人が確認する限り、そのような人物は見当たらず、幸いが功を呼んだ。
もっとも、賢人が見ていない草むらの中から、
怜人と伸之、そして二人の後をつけてきた真依の三人に一部始終を見られていたとは知らずに・・・
「・・・帰るとは言ったものの、帰ってから何しようかなー・・・」
賢人は帰ってからすぐに、テスト勉強に取り掛かろうとも考えたが、
期末テストに出てくると指定された範囲の内容は、ほぼほぼ全てやり終えてしまったため、
やろうにも既に答えが分かっていて、予習のつもりでやったとしても、
文句無しの満点になってしまう。だからこのまま帰っても、やることはあまりないと言ってもいい。
そんな勉強面からすれば、ほぼ『完全無欠』ともいえる頭脳で、
賢人は帰ってから何をしようかと、公園から少し離れた住宅街の中を歩きながら、
ひたすら考えていると・・・・・・
「だったら、うちと少し遊んでくー?」
「・・・!?」
後ろから突然声を掛けられた賢人は驚いて、思わず固まってしまった。
しかし、少し前に聞いたことがある声と口調からして、まさかと思いつつ、賢人は勢いよく振り向いた。
そこにいたのは・・・・・・
「し、重盛さん!?」
そう、そこにいた賢人を呼ぶ声の主であるチャラチャラとした黒ギャルは、
見覚えがあるかと思いきや、ほんの数ヶ月前に里奈との初デートの時、
偶然(?)その場で立ち会った里奈の幼馴染み四人のうちのひとりで、
その時里奈が一番気をつけるようにと、警告していた重盛 蘭子その人だった。
「あはっ♡賢人くん、おっひさー♪」
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