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35話 夏休み×メンバー
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「・・・ん?なにこれ?」
賢人は自宅に戻り、部屋で鞄の中身を整理をしていると一枚の紙切れが入っていることに気づいた。
もしかして配られたプリントのうち一枚だけファイルに入れ忘れていた?
いや、そもそも常に整理整頓を心がけているからそんなことはまずないだろう。
そんなことを思いつつよく見てみると、それはとあるプールのチラシだった。
夏といえばプールだしまさに今の季節に丁度いいが、こんなチラシをもらった覚えもないし見覚えもない。
そうなると誰かが入れたにしかならない、という結論に至った瞬間ピンと来た。
「長谷川先生・・・」
ふと脳裏をよぎった賢人はその名前を口にした。
まさか生徒指導室に呼ばれたあの時入れられたのか?
普通の人ならまずそう直感できるのはおかしいと感じるが、賢人はそうではない。
何故なら、チラシに微かに匂う香りがあの時あと一歩のところまで迫られたときに感じた長谷川の甘い匂いと似ていたのである。
それにしてもいつ入れたんだよ?
真っ先にその言葉が浮かんだ。やはり長谷川先生恐るべし。
「・・・・・・!」
しばらくこのチラシを見ながら沈黙した後、賢人はピンと来た。
よくよく考えてみれば、これは一つの情報提供してくれたことになる。
あの状況で気づかないうちに渡してくるのはどうか思うが、とりあえず長谷川先生に感謝せざるを得ない。
「となると・・・」
一人で行くのは一人で映画館を観に行くよりも遥かに寂しいと思い、せっかくなので怜人や伸之、里奈や莉央も誘うと思った。その一方で、高校生活そしてなにより彼女との最初の思い出にしたいと賢人は張り切るのであった。
『え?夏休みにプール?いいじゃんそれ!行きたい行きたい!』
『プールか、悪くない。俺も行こう』
『プールか~・・・いいよ!ちゃんと里奈も誘うんだよ?』
怜人、伸之、莉央とプールに行くメンバーが決まりつつあり・・・・・・
『賢人くんどうしたの?』
「あぁ、里奈先輩」
他の三人とは違い里奈にはLINEではなく電話で連絡を取った。
なにより一緒に行きたい本命である彼女だから、LINEで返事を待つより直接電話で連絡を取った方が早いと判断したからだ。
『すいません急に電話しちゃって・・・もしかしたら忙しいところを邪魔しちゃったかと・・・」
「いいのよ大丈夫。今ね、蘭子たちと一緒に居るの」
「あ・・・」
蘭子といえば、からかい目的とはいえ里奈を差し置いて強引に関係を迫ってきた黒ギャルのことだ。
思い出すだけで寒気がして恥ずかしくもなった。
しかし蘭子たちということは、おそらく花や朱乃も一緒にいるのだろう。
そう考えて少し安心した。
「実は今度の夏休みにプールに行きたいと思っていて、怜人たちや莉央さんも誘っているんですけど、よかったら里奈先輩もどうですか?」
『え~マジで!?行く行く!もちろん行く~!!』
もしかしたら断られるかもしれないと思い、賢人は少々弱気になって話を切り出してみると、里奈は予想以上に喜んで承諾してくれた。
これがとても嬉しくて、大声で叫びたい勢いだった。
『え~なになに~?里奈、賢人くんと喋ってんの~?』
(ゲッ・・・!!)
喜びに浸っていたのも束の間、肝心のプールの場所を教えている最中に突然携帯から里奈ではなく正直聞きたくなかった人物の声が聞こえてきた。
無論蘭子だ。
『やっほー!賢人くん久しぶりー!』
『本当に賢人くんなんだ~』
『あらあら、これはこれはお久しゅうございます』
蘭子から花、朱乃へと順番に声が聞こえてきた。
向こうの状況を察するに、里奈との会話を盗み聞きしていた蘭子が里奈から携帯を強奪して花と蘭子にもこちらの声が聞こえるように音量を上げて話しているのだろう。
「あ、はい。三人とも大変ご無沙汰で・・・」
里奈とは違う年上の女性三人に、ついご丁寧に言葉を返してしまった。
『もーなに改まっちゃってんのよー』
『そうそう、そんな畏まらなくていいっつうのー』
『むしろグイグイ来ても構いませんわよ?賢人くん』
『ちょっと三人とも!今は私と賢人くんとの話なんだから!!』
割と肉食系な三人は年上相手に草食系な対応しかできない賢人につまんなそうにブーブー言って、そんな割って話に入ろうとする三人を里奈が慌てながら咎める。
『それで~?夏休みに二人で何処か行く話でもしてたの~?』
((ギクっ!!))
蘭子の指摘に賢人と里奈は固まる。
どれだけ勘が鋭いんだこの人は。
『アッハハー⭐︎その反応はもしかして図星だったー?』
『え~里奈っちだけずるい~』
『そうですわ。里奈一人だけに賢人くんを独り占めなんて不公平ですわ』
自分の指摘が当たっていたことを察した蘭子の発言を聞いて、花と朱乃は里奈に抗議する。
『まあ、詳しい話は里奈に聞くからよろしく~』
『ちょっと!勝手に決めn・・・』
プツッ!ツーツーツー・・・
勝手に都合よく話を進める蘭子は里奈が言い終わる前に電話を切ってしまった。
ホント滅茶苦茶だ。
その後、結局里奈は賢人や他の友人たちと夏休みにプールに行くことを蘭子たちに説明し、蘭子たちも行くことになってしまった。
賢人は自宅に戻り、部屋で鞄の中身を整理をしていると一枚の紙切れが入っていることに気づいた。
もしかして配られたプリントのうち一枚だけファイルに入れ忘れていた?
いや、そもそも常に整理整頓を心がけているからそんなことはまずないだろう。
そんなことを思いつつよく見てみると、それはとあるプールのチラシだった。
夏といえばプールだしまさに今の季節に丁度いいが、こんなチラシをもらった覚えもないし見覚えもない。
そうなると誰かが入れたにしかならない、という結論に至った瞬間ピンと来た。
「長谷川先生・・・」
ふと脳裏をよぎった賢人はその名前を口にした。
まさか生徒指導室に呼ばれたあの時入れられたのか?
普通の人ならまずそう直感できるのはおかしいと感じるが、賢人はそうではない。
何故なら、チラシに微かに匂う香りがあの時あと一歩のところまで迫られたときに感じた長谷川の甘い匂いと似ていたのである。
それにしてもいつ入れたんだよ?
真っ先にその言葉が浮かんだ。やはり長谷川先生恐るべし。
「・・・・・・!」
しばらくこのチラシを見ながら沈黙した後、賢人はピンと来た。
よくよく考えてみれば、これは一つの情報提供してくれたことになる。
あの状況で気づかないうちに渡してくるのはどうか思うが、とりあえず長谷川先生に感謝せざるを得ない。
「となると・・・」
一人で行くのは一人で映画館を観に行くよりも遥かに寂しいと思い、せっかくなので怜人や伸之、里奈や莉央も誘うと思った。その一方で、高校生活そしてなにより彼女との最初の思い出にしたいと賢人は張り切るのであった。
『え?夏休みにプール?いいじゃんそれ!行きたい行きたい!』
『プールか、悪くない。俺も行こう』
『プールか~・・・いいよ!ちゃんと里奈も誘うんだよ?』
怜人、伸之、莉央とプールに行くメンバーが決まりつつあり・・・・・・
『賢人くんどうしたの?』
「あぁ、里奈先輩」
他の三人とは違い里奈にはLINEではなく電話で連絡を取った。
なにより一緒に行きたい本命である彼女だから、LINEで返事を待つより直接電話で連絡を取った方が早いと判断したからだ。
『すいません急に電話しちゃって・・・もしかしたら忙しいところを邪魔しちゃったかと・・・」
「いいのよ大丈夫。今ね、蘭子たちと一緒に居るの」
「あ・・・」
蘭子といえば、からかい目的とはいえ里奈を差し置いて強引に関係を迫ってきた黒ギャルのことだ。
思い出すだけで寒気がして恥ずかしくもなった。
しかし蘭子たちということは、おそらく花や朱乃も一緒にいるのだろう。
そう考えて少し安心した。
「実は今度の夏休みにプールに行きたいと思っていて、怜人たちや莉央さんも誘っているんですけど、よかったら里奈先輩もどうですか?」
『え~マジで!?行く行く!もちろん行く~!!』
もしかしたら断られるかもしれないと思い、賢人は少々弱気になって話を切り出してみると、里奈は予想以上に喜んで承諾してくれた。
これがとても嬉しくて、大声で叫びたい勢いだった。
『え~なになに~?里奈、賢人くんと喋ってんの~?』
(ゲッ・・・!!)
喜びに浸っていたのも束の間、肝心のプールの場所を教えている最中に突然携帯から里奈ではなく正直聞きたくなかった人物の声が聞こえてきた。
無論蘭子だ。
『やっほー!賢人くん久しぶりー!』
『本当に賢人くんなんだ~』
『あらあら、これはこれはお久しゅうございます』
蘭子から花、朱乃へと順番に声が聞こえてきた。
向こうの状況を察するに、里奈との会話を盗み聞きしていた蘭子が里奈から携帯を強奪して花と蘭子にもこちらの声が聞こえるように音量を上げて話しているのだろう。
「あ、はい。三人とも大変ご無沙汰で・・・」
里奈とは違う年上の女性三人に、ついご丁寧に言葉を返してしまった。
『もーなに改まっちゃってんのよー』
『そうそう、そんな畏まらなくていいっつうのー』
『むしろグイグイ来ても構いませんわよ?賢人くん』
『ちょっと三人とも!今は私と賢人くんとの話なんだから!!』
割と肉食系な三人は年上相手に草食系な対応しかできない賢人につまんなそうにブーブー言って、そんな割って話に入ろうとする三人を里奈が慌てながら咎める。
『それで~?夏休みに二人で何処か行く話でもしてたの~?』
((ギクっ!!))
蘭子の指摘に賢人と里奈は固まる。
どれだけ勘が鋭いんだこの人は。
『アッハハー⭐︎その反応はもしかして図星だったー?』
『え~里奈っちだけずるい~』
『そうですわ。里奈一人だけに賢人くんを独り占めなんて不公平ですわ』
自分の指摘が当たっていたことを察した蘭子の発言を聞いて、花と朱乃は里奈に抗議する。
『まあ、詳しい話は里奈に聞くからよろしく~』
『ちょっと!勝手に決めn・・・』
プツッ!ツーツーツー・・・
勝手に都合よく話を進める蘭子は里奈が言い終わる前に電話を切ってしまった。
ホント滅茶苦茶だ。
その後、結局里奈は賢人や他の友人たちと夏休みにプールに行くことを蘭子たちに説明し、蘭子たちも行くことになってしまった。
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