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31話 本屋×アプローチ
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「えっと・・・あ、これだ」
本屋に着くと二人は雑誌や漫画、ライトノベルが揃えられているスペースの反対側にある参考書が揃えられているスペースでゴミ捨て場に群がるカラスの如く漁り始めるのだった。
参考書といっても二人にとって、問題集は初級や中級といったそんな軽はずみなものではなく、無論名門の大学から出題される問題がほとんどを占める赤本にしか目が向いていない。
真依は入学してから早々成績トップに君臨しており、賢人もまた入学式から1ヶ月経った後に転校してきたのにもかかわらず、真依と肩を並べる程の成績を収めつつあり、今やこの二人が順位を競い合うデットヒート状態にある。
そんな互いに今後の学年順位の変動に関わる参考書探しをする二人。
真依は何も気にせず目星の付いた参考書を見つけては手に取っているが、賢人はまずそれどころではなかった。
何故なら・・・・・・
ーーーボヨヨ~ン。
見ているだけでそんなアニメのような効果音が聞こえてくるぐらいにたわわな真依の果実に目を離せなかったからだ。
参考書を手に持って一冊一冊積んでいくうちに、参考書が胸に押し当てられて最終的にずっしりと乗ってしまっている。
それはさておき、賢人は本屋に着く前から里奈と同じように身長差がある真依に無理矢理腕を組まれてくっつかれながら歩いていたものだから、途中ですれ違う人たちからどんなに視線を浴びたことか。
その中に同じ学校の生徒が含まれていなかったことが唯一の幸いだった。
更に不思議な本屋の中は思ったより広かったが、他のお客さんはおろか店員さんすら姿が見えなかった。
つまり現状から考えると今本屋の中で二人っきりということになる。
「賢人くん、そっちは何か見つけた?」
「う、ううん!」
このようにたまに向こうから話しかけられると、賢人は慌てて視線を逸らして辛うじて返事をするの繰り返しだ。
それを見ている真依はまるで見透かしているのか、クスクスと静かに微笑んでいた。
「・・・真依ちゃんはさ、いつもこんな感じなの?」
このままでは気まずいと、賢人は咄嗟に質問した。
真依は賢人の質問に目を丸くしながらもふにゃりと笑いながら静かに答える。
「・・・いつもって、今の私がってこと?」
「ち、ちゃうよ!誰もそんなこと言うてへんやん!」
真依は上目遣いをしながら両手で胸を寄せ上げしながら賢人に質問し返した。賢人は顔を赤くしながら慌てながら関西弁で否定する。
その様子を見て真依はからかうかのようにクスクスと笑った。
正直今の真依からそんな対応をされると恥ずかしくて仕方なかった。
それこそラノベで稀に見る年上のお姉さんが年下で意中の異性を手玉に取るためにするアプローチのようだった。
「そうやなくて!ほら、勉強とかする時はこうやって参考書を買いに行ってるのかって話やねん!」
賢人は普段からの勉強面についてと弁解した上で改めて質問する。
「ふーん。なーんだそっちかー、ドキドキしたのに~」
「っ・・・」
それを聞いて真依は分かっているくせにわざと納得したような顔で残念そうに言った。
だかその無邪気な顔がまた可愛くて胸がドキッとしてしまった。
最もドキドキしたと言っている彼女自身が本当にそうなのかは分からないが。
「・・・そうね。元々勉強は得意だけど、その分皆から期待されているからそれに応えなきゃいけないと思ってね」
「・・・」
「でもね、そうしているうちにいつのまにかリーダーシップを取るような立場になってね。期待が高まるのと同時にプレッシャーに押されちゃって自信が無くなっちゃう気がしてね・・・」
「真依ちゃん・・・」
急に話を戻してくれたかと思いきや、さっきまでの態度とは打って変わっていつもの真面目な真依で不安や責任感を打ち明けた。
普段からそんな風に思っていたなんて。それも初対面の時はおろか今までの学校生活の中で。
言葉が出なくなりそうだったが、賢人は喋り出した。
「・・・確かにそういうの辛いよね。その気持ちよく分かるよ。
だけど真依ちゃんの言う皆の期待に応えるために日々努力するってのも悪くないと思うよ?」
「でも、もし失敗して皆から責められたりしたら・・・」
「大丈夫だよ、もしそうなったとしても僕は味方するよ。だって僕は真依ちゃんのこと信じてるもん。現に真依ちゃんのおかげで転校してきたときの不安が無くなったんだから」
「賢人くん・・・」
「それにこんなに綺麗で優しいk・・・!?」
賢人が言い終わる前に真依は賢人を胸の中で強く抱き締めた。
クラスをまとめる者として当然のことで、それも責任感と隣り合わせでプレッシャーに押されて誰にも相談できない不安を完全無欠な委員長を幻滅される覚悟で打ち明けた。
それでも目の前にいる彼は幻滅するどころか、むしろより信頼を持つようになり、もし皆から責められたとしても自分は味方してくれる彼の優しさに嬉しさのあまり、とうとう気持ちが抑えられなくなってしまったのだ。
「もーこんなに可愛い人からそんなに優しくされたら、もっと頑張りたくなっちゃうじゃない♡」
「・・・!!」
優しさに触れられた拍子で賢人に対して母性本能が働いたのか真依は賢人の顔を豊満な胸に埋めたまま優しく頭を撫でた。
賢人の顔は真っ赤で何か言ってるようだが、抱き締められているせいで何を言っているのか分からなかった。
「あー、賢人くんの顔熱くなってきたー♡可愛いー♡」
賢人の熱が伝わってきたのを感じた真依は無邪気に笑ってそう言った。
今の彼女から逃れるなんて出来ない。
動けないし動けたとしても今は動きたくない。
もっとこうされていたい。
賢人は心の何処かでそんな風に考えてしまうのだった。
本屋に着くと二人は雑誌や漫画、ライトノベルが揃えられているスペースの反対側にある参考書が揃えられているスペースでゴミ捨て場に群がるカラスの如く漁り始めるのだった。
参考書といっても二人にとって、問題集は初級や中級といったそんな軽はずみなものではなく、無論名門の大学から出題される問題がほとんどを占める赤本にしか目が向いていない。
真依は入学してから早々成績トップに君臨しており、賢人もまた入学式から1ヶ月経った後に転校してきたのにもかかわらず、真依と肩を並べる程の成績を収めつつあり、今やこの二人が順位を競い合うデットヒート状態にある。
そんな互いに今後の学年順位の変動に関わる参考書探しをする二人。
真依は何も気にせず目星の付いた参考書を見つけては手に取っているが、賢人はまずそれどころではなかった。
何故なら・・・・・・
ーーーボヨヨ~ン。
見ているだけでそんなアニメのような効果音が聞こえてくるぐらいにたわわな真依の果実に目を離せなかったからだ。
参考書を手に持って一冊一冊積んでいくうちに、参考書が胸に押し当てられて最終的にずっしりと乗ってしまっている。
それはさておき、賢人は本屋に着く前から里奈と同じように身長差がある真依に無理矢理腕を組まれてくっつかれながら歩いていたものだから、途中ですれ違う人たちからどんなに視線を浴びたことか。
その中に同じ学校の生徒が含まれていなかったことが唯一の幸いだった。
更に不思議な本屋の中は思ったより広かったが、他のお客さんはおろか店員さんすら姿が見えなかった。
つまり現状から考えると今本屋の中で二人っきりということになる。
「賢人くん、そっちは何か見つけた?」
「う、ううん!」
このようにたまに向こうから話しかけられると、賢人は慌てて視線を逸らして辛うじて返事をするの繰り返しだ。
それを見ている真依はまるで見透かしているのか、クスクスと静かに微笑んでいた。
「・・・真依ちゃんはさ、いつもこんな感じなの?」
このままでは気まずいと、賢人は咄嗟に質問した。
真依は賢人の質問に目を丸くしながらもふにゃりと笑いながら静かに答える。
「・・・いつもって、今の私がってこと?」
「ち、ちゃうよ!誰もそんなこと言うてへんやん!」
真依は上目遣いをしながら両手で胸を寄せ上げしながら賢人に質問し返した。賢人は顔を赤くしながら慌てながら関西弁で否定する。
その様子を見て真依はからかうかのようにクスクスと笑った。
正直今の真依からそんな対応をされると恥ずかしくて仕方なかった。
それこそラノベで稀に見る年上のお姉さんが年下で意中の異性を手玉に取るためにするアプローチのようだった。
「そうやなくて!ほら、勉強とかする時はこうやって参考書を買いに行ってるのかって話やねん!」
賢人は普段からの勉強面についてと弁解した上で改めて質問する。
「ふーん。なーんだそっちかー、ドキドキしたのに~」
「っ・・・」
それを聞いて真依は分かっているくせにわざと納得したような顔で残念そうに言った。
だかその無邪気な顔がまた可愛くて胸がドキッとしてしまった。
最もドキドキしたと言っている彼女自身が本当にそうなのかは分からないが。
「・・・そうね。元々勉強は得意だけど、その分皆から期待されているからそれに応えなきゃいけないと思ってね」
「・・・」
「でもね、そうしているうちにいつのまにかリーダーシップを取るような立場になってね。期待が高まるのと同時にプレッシャーに押されちゃって自信が無くなっちゃう気がしてね・・・」
「真依ちゃん・・・」
急に話を戻してくれたかと思いきや、さっきまでの態度とは打って変わっていつもの真面目な真依で不安や責任感を打ち明けた。
普段からそんな風に思っていたなんて。それも初対面の時はおろか今までの学校生活の中で。
言葉が出なくなりそうだったが、賢人は喋り出した。
「・・・確かにそういうの辛いよね。その気持ちよく分かるよ。
だけど真依ちゃんの言う皆の期待に応えるために日々努力するってのも悪くないと思うよ?」
「でも、もし失敗して皆から責められたりしたら・・・」
「大丈夫だよ、もしそうなったとしても僕は味方するよ。だって僕は真依ちゃんのこと信じてるもん。現に真依ちゃんのおかげで転校してきたときの不安が無くなったんだから」
「賢人くん・・・」
「それにこんなに綺麗で優しいk・・・!?」
賢人が言い終わる前に真依は賢人を胸の中で強く抱き締めた。
クラスをまとめる者として当然のことで、それも責任感と隣り合わせでプレッシャーに押されて誰にも相談できない不安を完全無欠な委員長を幻滅される覚悟で打ち明けた。
それでも目の前にいる彼は幻滅するどころか、むしろより信頼を持つようになり、もし皆から責められたとしても自分は味方してくれる彼の優しさに嬉しさのあまり、とうとう気持ちが抑えられなくなってしまったのだ。
「もーこんなに可愛い人からそんなに優しくされたら、もっと頑張りたくなっちゃうじゃない♡」
「・・・!!」
優しさに触れられた拍子で賢人に対して母性本能が働いたのか真依は賢人の顔を豊満な胸に埋めたまま優しく頭を撫でた。
賢人の顔は真っ赤で何か言ってるようだが、抱き締められているせいで何を言っているのか分からなかった。
「あー、賢人くんの顔熱くなってきたー♡可愛いー♡」
賢人の熱が伝わってきたのを感じた真依は無邪気に笑ってそう言った。
今の彼女から逃れるなんて出来ない。
動けないし動けたとしても今は動きたくない。
もっとこうされていたい。
賢人は心の何処かでそんな風に考えてしまうのだった。
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