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29話 1日目終了×ダーリン
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「ーーーよし、チャイムが鳴るまで教室は出るなよ」
長谷川先生が全員の解答用紙に名前が書いてあるか確認が済むと、回収した解答用紙をクラスと学年が書かれた封筒に入れた。結局テスト中もずっと長谷川先生からの熱い眼差しに集中を乱されながらも、肝心のテストはなんとか全力を尽くすことが出来た。
そして今、ようやく3科目のテストが終わって席から立ち上がって友達と話し合ったり、テスト中ずっと椅子に座ったままで退屈さと窮屈さから一気に解放されてくつろいだりし始めた。
「ふぅ・・・」
賢人もまた、ある意味解放されて体から溜まっていた緊張感が抜けていくのを感じて息をついた。
「なぁ賢人、お前テストどうだった?」
「あぁ怜人、出来る限りのことはしたよ」
そんな矢先に怜人と伸之が声をかけてきた。
賢人はなんとなく適当に答えるが、自身がテスト中にどんな目に遭いながら取り組んでいたかについては、とりあえず話さないことにした。
◇◇◇◇
キーンコーンカーンカーン
チャイムが鳴り響くと同時に、長谷川先生を始めとする各教室にいた先生たちが退室していき、それと入れ替わるようにチャイムが鳴る前から廊下で待っていた担任の先生たちが次々と教室へと入っていった。
最後に竹内先生が朝礼の後に回収した携帯が入った箱を持って教室に入ってきた。
「よーし、テスト1日目お疲れ様!
帰りの挨拶は無しで良いから携帯忘れずにな。
放課後に巡回があるから寄り道するんじゃないぞ」
そう言って竹内先生は箱を教壇の上に置くと、途端にクラスメイトたちが次々と自分の携帯を取っていく。
賢人もそれに続いてそれぞれを携帯を取って自分の席に戻ると、荷物をまとめながら携帯の電源を入れた。
すると、LINEにメッセージが送られてきていた。
送ってきた相手は里奈だった。
賢人はすぐにLINEを開いて里奈からのメッセージをタップした。
『私たち2年生はもう1時間テスト科目があります。本当は一緒に帰りたいところだけど、1時間も待たせたら悪いから先帰ってても大丈夫です(泣)寄り道しちゃダメだぞ、ダーリン♡』
(なっ・・・!?)
その内容は賢人たち1年生が3時間なのに対して、里奈たち2年生は4時間テストをするから一緒に帰れないことを知らせるものだった。
しかしその内容も内容で、生徒会に身を置く者らしい丁寧な口調からの(泣)を付けるといった賢人が想像できる里奈の携帯ならではの感情表現。
だが、賢人がこのメッセージで一番変だと感じたのはその後に書かれている文章。
何を血迷ったのか急に小悪魔みたいな口調でまっすぐ家に帰るように促すものかと思いきや最後はおそらく賢人のことを『ダーリン』と呼び、その後にハートを付けて終わるという里奈とは思えないものだった。
「だ、ダーリン・・・?」
賢人は里奈の思いも寄らない呼び方に顔を赤くしてそう言った。どうして此の期に及んでその呼び方なんだという気持ちもあったが、携帯越しとはいえいきなりその呼び方をされると恥ずかしくなってくる。
もしこんなメッセージを誰かに見られたら・・・
「おーい賢人!なに携帯じーっと見てんだよ?」
「わーーーっ!」
この状況で突然怜人に声をかけられて、賢人は驚いて大声を上げてしまった。
その拍子に怜人の他、竹内先生やクラスメイトたちが驚いてこっちを見てきた。
「ご、ごめんなさい。なんでもないです・・・」
賢人は思わず全員に謝罪した。
その様子を見て怜人は心配して再び声をかける。
「賢人。お前大丈夫か?」
「ああうん!大丈夫大丈夫!
ていうか怜人、肝心のテストはどうだったのさ?」
怜人に里奈からのメッセージを見られてはまずいと、なんとか誤魔化してすぐに話を逸らす。
「う、まあまあぼちぼち努力はしたさ」
「ぼちぼちじゃないだろ。
せっかく皆で集まってテスト勉強までしたんだから」
急に痛い質問された怜人は何かと開き直った態度で答える。
だが、二人の話を聞いていた伸之が話に入ってきて更に突き上げる。
「う、うるせえな!斎藤さん、お前こそどうだったんだよ?」
教師のように厳しい発言をする伸之に、怜人は負けじと質問し返す。
「フン。馬鹿なお前とは違って、僕は真面目に取り組んだまでさ」
「だから馬鹿って言うんじゃねえ!賢人も言ってやってくれ!」
「!」
またもや炸裂する伸之の毒舌に怜人は賢人に弁護してもらおうと再び声をかける。
賢人は怜人の話を聞いていなければ、怜人を見てすらいなかった。二人がやり取りしている里奈からの新たにLINEのメッセージが届いたのだ。
「・・・どした、賢人?」
賢人が自分の話も聞かずに、また携帯を見ていることに気づいた怜人は疑問に思ってもう一度声をかける。
「ごめん、先帰るね!」
「えっ、ちょ、おい!」
さっきとは違って今は怜人と伸之がいる。もしも送られてきたのがさっきと同じ内容だとしたら、このままでは二人にさっきのメッセージを見られてしまう。
それはまずいと賢人は鞄を持って教室を出ていった。
「どうしたんだ、あいつ?」
「さあ、なんか用事でも思い出したんじゃね?」
取り残された二人は賢人の真意に気づかないままその場で立ち尽くすだけだった。
長谷川先生が全員の解答用紙に名前が書いてあるか確認が済むと、回収した解答用紙をクラスと学年が書かれた封筒に入れた。結局テスト中もずっと長谷川先生からの熱い眼差しに集中を乱されながらも、肝心のテストはなんとか全力を尽くすことが出来た。
そして今、ようやく3科目のテストが終わって席から立ち上がって友達と話し合ったり、テスト中ずっと椅子に座ったままで退屈さと窮屈さから一気に解放されてくつろいだりし始めた。
「ふぅ・・・」
賢人もまた、ある意味解放されて体から溜まっていた緊張感が抜けていくのを感じて息をついた。
「なぁ賢人、お前テストどうだった?」
「あぁ怜人、出来る限りのことはしたよ」
そんな矢先に怜人と伸之が声をかけてきた。
賢人はなんとなく適当に答えるが、自身がテスト中にどんな目に遭いながら取り組んでいたかについては、とりあえず話さないことにした。
◇◇◇◇
キーンコーンカーンカーン
チャイムが鳴り響くと同時に、長谷川先生を始めとする各教室にいた先生たちが退室していき、それと入れ替わるようにチャイムが鳴る前から廊下で待っていた担任の先生たちが次々と教室へと入っていった。
最後に竹内先生が朝礼の後に回収した携帯が入った箱を持って教室に入ってきた。
「よーし、テスト1日目お疲れ様!
帰りの挨拶は無しで良いから携帯忘れずにな。
放課後に巡回があるから寄り道するんじゃないぞ」
そう言って竹内先生は箱を教壇の上に置くと、途端にクラスメイトたちが次々と自分の携帯を取っていく。
賢人もそれに続いてそれぞれを携帯を取って自分の席に戻ると、荷物をまとめながら携帯の電源を入れた。
すると、LINEにメッセージが送られてきていた。
送ってきた相手は里奈だった。
賢人はすぐにLINEを開いて里奈からのメッセージをタップした。
『私たち2年生はもう1時間テスト科目があります。本当は一緒に帰りたいところだけど、1時間も待たせたら悪いから先帰ってても大丈夫です(泣)寄り道しちゃダメだぞ、ダーリン♡』
(なっ・・・!?)
その内容は賢人たち1年生が3時間なのに対して、里奈たち2年生は4時間テストをするから一緒に帰れないことを知らせるものだった。
しかしその内容も内容で、生徒会に身を置く者らしい丁寧な口調からの(泣)を付けるといった賢人が想像できる里奈の携帯ならではの感情表現。
だが、賢人がこのメッセージで一番変だと感じたのはその後に書かれている文章。
何を血迷ったのか急に小悪魔みたいな口調でまっすぐ家に帰るように促すものかと思いきや最後はおそらく賢人のことを『ダーリン』と呼び、その後にハートを付けて終わるという里奈とは思えないものだった。
「だ、ダーリン・・・?」
賢人は里奈の思いも寄らない呼び方に顔を赤くしてそう言った。どうして此の期に及んでその呼び方なんだという気持ちもあったが、携帯越しとはいえいきなりその呼び方をされると恥ずかしくなってくる。
もしこんなメッセージを誰かに見られたら・・・
「おーい賢人!なに携帯じーっと見てんだよ?」
「わーーーっ!」
この状況で突然怜人に声をかけられて、賢人は驚いて大声を上げてしまった。
その拍子に怜人の他、竹内先生やクラスメイトたちが驚いてこっちを見てきた。
「ご、ごめんなさい。なんでもないです・・・」
賢人は思わず全員に謝罪した。
その様子を見て怜人は心配して再び声をかける。
「賢人。お前大丈夫か?」
「ああうん!大丈夫大丈夫!
ていうか怜人、肝心のテストはどうだったのさ?」
怜人に里奈からのメッセージを見られてはまずいと、なんとか誤魔化してすぐに話を逸らす。
「う、まあまあぼちぼち努力はしたさ」
「ぼちぼちじゃないだろ。
せっかく皆で集まってテスト勉強までしたんだから」
急に痛い質問された怜人は何かと開き直った態度で答える。
だが、二人の話を聞いていた伸之が話に入ってきて更に突き上げる。
「う、うるせえな!斎藤さん、お前こそどうだったんだよ?」
教師のように厳しい発言をする伸之に、怜人は負けじと質問し返す。
「フン。馬鹿なお前とは違って、僕は真面目に取り組んだまでさ」
「だから馬鹿って言うんじゃねえ!賢人も言ってやってくれ!」
「!」
またもや炸裂する伸之の毒舌に怜人は賢人に弁護してもらおうと再び声をかける。
賢人は怜人の話を聞いていなければ、怜人を見てすらいなかった。二人がやり取りしている里奈からの新たにLINEのメッセージが届いたのだ。
「・・・どした、賢人?」
賢人が自分の話も聞かずに、また携帯を見ていることに気づいた怜人は疑問に思ってもう一度声をかける。
「ごめん、先帰るね!」
「えっ、ちょ、おい!」
さっきとは違って今は怜人と伸之がいる。もしも送られてきたのがさっきと同じ内容だとしたら、このままでは二人にさっきのメッセージを見られてしまう。
それはまずいと賢人は鞄を持って教室を出ていった。
「どうしたんだ、あいつ?」
「さあ、なんか用事でも思い出したんじゃね?」
取り残された二人は賢人の真意に気づかないままその場で立ち尽くすだけだった。
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