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第2話 川端先輩のお茶会の参加者
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次の日。
放課後に千は咲奈に声をかけた。
「三島さん!」
「あ・・・谷崎さん。どうしたの? 私なんかに・・・。」
「あのね、少し聞きたいことがあるの。」
「私に・・・?」
咲奈は首をかしげながら、不思議そうな顔で千を見る。
それもそうだ。
学年でも有名なカースト上位の谷崎千に話しかけられているのだから。
クラスの誰にも見向きもされない咲奈が憧れる千。
だが、千が口にした内容はとんでもないものであった。
「三島さんって・・・川端先輩のお茶会に参加していたのね。」
「!?」
明らかに咲奈は動揺をしている。
目線を左右上下に動かせながら言葉を詰まらせていた。
「ねぇ、参加しているのでしょ? 誰にも言わないから、教えて。」
「あ・・・あの・・・見ていたの?」
「たまたまね。みんな恐れ多くて川端先輩なんてじっと見ないでしょ?だから気付かなかったのね。」
「あ・・・えっと・・・。」
「参加しているのよね?」
「え・・・えぇ。ずっと前に川端先輩に招待されて。それから毎回呼んでくださるの。あの・・・誰にも言わないでね。大事にしたくないの。でも・・・
見られたのが谷崎さんで良かった。」
「・・・言わない・・・。」
千は微笑んでいるものの、内心は憎しみと嫉妬が渦巻いていた。
どうして、なぜ。
優れたところなど何一つも持たない三島咲奈が。
どうして、なぜ。
自分を呼ばないのに彼女を呼ぶのだ。
どうして、なぜ。
ずっと前から呼ばれている?
なぜ、私に見られたのが嬉しいの?
三島咲奈は、私を馬鹿にしているの!?
唇をかみしめながら立っていると、それに何か気づいたのか、咲奈は慌てて立ち上がった。
「ごめんなさい。川端先輩のお茶会に行かなきゃ!!」
「・・・今日もするの?」
「その・・・えっと、あの・・・お茶会の準備を手伝って欲しいって言われていて。」
「そうなんだ。いいなぁ。」
「・・・そんなことはないわ。じゃあ、また・・・。」
咲奈はいつかのように頭を下げると逃げるように行ってしまった。
どうしてあんな子が!?
本来ならば次のお茶会の構想を練って準備せねばならなかったが、千は全くそんな気分にはなれず、憎しみのこもった鋭い目つきで自室に戻ったのだった。
部屋に帰ると、千は壁を思い切り叩く。
「私は上に行くためにこんなにも努力しているのに!! あの子は何をしているというの!?」
そして自分の机の上のものを全て払い除けた。
「私のお茶会に参加したいですって? 私はあの子に今まで馬鹿にされていたの? どういう目で私は見られていたの!?」
これほどに嫉妬と憎しみを持ったことがあろうか。
全てが順調に進んできた千の初めてといっていい敗北だ。
しかもそれがいつも馬鹿にしていた三島咲奈に負けた。
「どういう手を使ったの・・・ きっと何か卑劣な手を使ったに違いないわ。」
千は爪を噛みながら、どうにかして咲奈から真実を聞き出して、そして貶めてやろうと復讐心を燃やしていた。
それは、実に身勝手な復讐心だが。
そしてまた次の日の放課後。
千は咲奈を問い詰めようと彼女の元に訪れた。
しかし、咲奈の答えは昨日と同じ。
「ごめんなさい! 私、早く行かなきゃ! 川端先輩に呼ばれているの!」
「また?」
「あ、えっと。そうなの。」
「また、お手伝いするの?」
「ごめんなさい! 急いでるから!!」
咲奈は千を振り切るように駆けて行った。
どうして、毎日のように咲奈は凰華の元へ行くのか。
そういえば、あまり放課後に彼女を教室で見たことはない。気にしていなかったから見えなかったとしても。
ただ、クラスメイトから逃げているだけの言い訳か。
それとも。
千は不可解になり、こっそり咲奈の後を追いかけて行った。
そして行き着いた先は、薔薇の温室。
こんなところに勝手に入っていいはずがない。ここは許された人しか入ることはできない。
ここに入るということは、やはり凰華の手伝いをしているのだろうか。
千は見つからないように、そっと温室に入ると咲奈を探す。
すると奥から何やら声が聞こえた。
「あ・・・っ。」
「咲奈、気持ちいい?」
咲奈ですって?
そして、この声は。
薔薇の茂みから千は覗き見る。
「な・・・!?」
千は大声をあげそうになって、慌てて自分の口を塞いだ。
千の目線の先には、川端凰華と三島咲奈がいた。
いや、いたというだけではない。
二人激しく抱き合っている。
「ん・・・っ、あ・・・。」
「可愛い。好き。」
制服も下着も、全て滅茶苦茶に脱がされて咲奈は凰華に抱かれている。
凰華は、咲奈の首筋を舐めるように口付けをしたり胸をまさぐったりして彼女を愛でる。
そして二人は、見ていると気がおかしくなりそうほどの熱く激しい口付けを交わす。
「どういうこと・・・?」
見られているとは知らず、二人の戯れは続く。
凰華は咲奈の手を取ると、彼女の手の甲を舐め上げる。
「もっと喘いで。私、ずっと咲奈をお茶会に呼ぶから。もっと聞かせて。」
そういうことなのか。
千は嫌悪の目で咲奈を見つめる。
これ以上いると我慢ができなくなりそうだと千はゆっくりその場を離れた。
「汚い子。そうやってお茶会に呼ばれるようにしていたのね。クラスではおとなしい子ぶって。気持ちの悪い。」
千は怒りのあまり震えだす。
「許せない。卑劣な手を使って川端先輩のお茶会に素知らぬ顔で参加して。みんなに見てもらえてない存在が、どうしてあの川端先輩に見られているの? 私のプライドを傷つけたなんて絶対に許さない。」
今すぐにでも咲奈を痛ぶって滅茶苦茶にして、懇願させたい。
謝らせたい。
そして、咲奈に代わって川端凰華のお茶会に参加して自分の方が咲奈よりも優れているということを見せつけたい。
あの川端凰華に見てもらいたい。
どれをとっても、身勝手であり歪んだ考え。
千を傷つけると全ての常識的な見解など消え失せる。
「でも、どうやって三島さんを貶めればいいのかしら・・・どうやって呼び出せば。」
誰にも気づかれないように二人で。
一番、三島咲奈に屈辱を与える方法。
千は考え込んだが、そんなこと彼女にとって答えを見つけるのに時間はかからなかった。
なぜなら。
「そうだわ、私は有能な主催者だから。普通に彼女を招待すればいいのだわ。彼女だってそれを望んでいたのだもの。」
放課後に千は咲奈に声をかけた。
「三島さん!」
「あ・・・谷崎さん。どうしたの? 私なんかに・・・。」
「あのね、少し聞きたいことがあるの。」
「私に・・・?」
咲奈は首をかしげながら、不思議そうな顔で千を見る。
それもそうだ。
学年でも有名なカースト上位の谷崎千に話しかけられているのだから。
クラスの誰にも見向きもされない咲奈が憧れる千。
だが、千が口にした内容はとんでもないものであった。
「三島さんって・・・川端先輩のお茶会に参加していたのね。」
「!?」
明らかに咲奈は動揺をしている。
目線を左右上下に動かせながら言葉を詰まらせていた。
「ねぇ、参加しているのでしょ? 誰にも言わないから、教えて。」
「あ・・・あの・・・見ていたの?」
「たまたまね。みんな恐れ多くて川端先輩なんてじっと見ないでしょ?だから気付かなかったのね。」
「あ・・・えっと・・・。」
「参加しているのよね?」
「え・・・えぇ。ずっと前に川端先輩に招待されて。それから毎回呼んでくださるの。あの・・・誰にも言わないでね。大事にしたくないの。でも・・・
見られたのが谷崎さんで良かった。」
「・・・言わない・・・。」
千は微笑んでいるものの、内心は憎しみと嫉妬が渦巻いていた。
どうして、なぜ。
優れたところなど何一つも持たない三島咲奈が。
どうして、なぜ。
自分を呼ばないのに彼女を呼ぶのだ。
どうして、なぜ。
ずっと前から呼ばれている?
なぜ、私に見られたのが嬉しいの?
三島咲奈は、私を馬鹿にしているの!?
唇をかみしめながら立っていると、それに何か気づいたのか、咲奈は慌てて立ち上がった。
「ごめんなさい。川端先輩のお茶会に行かなきゃ!!」
「・・・今日もするの?」
「その・・・えっと、あの・・・お茶会の準備を手伝って欲しいって言われていて。」
「そうなんだ。いいなぁ。」
「・・・そんなことはないわ。じゃあ、また・・・。」
咲奈はいつかのように頭を下げると逃げるように行ってしまった。
どうしてあんな子が!?
本来ならば次のお茶会の構想を練って準備せねばならなかったが、千は全くそんな気分にはなれず、憎しみのこもった鋭い目つきで自室に戻ったのだった。
部屋に帰ると、千は壁を思い切り叩く。
「私は上に行くためにこんなにも努力しているのに!! あの子は何をしているというの!?」
そして自分の机の上のものを全て払い除けた。
「私のお茶会に参加したいですって? 私はあの子に今まで馬鹿にされていたの? どういう目で私は見られていたの!?」
これほどに嫉妬と憎しみを持ったことがあろうか。
全てが順調に進んできた千の初めてといっていい敗北だ。
しかもそれがいつも馬鹿にしていた三島咲奈に負けた。
「どういう手を使ったの・・・ きっと何か卑劣な手を使ったに違いないわ。」
千は爪を噛みながら、どうにかして咲奈から真実を聞き出して、そして貶めてやろうと復讐心を燃やしていた。
それは、実に身勝手な復讐心だが。
そしてまた次の日の放課後。
千は咲奈を問い詰めようと彼女の元に訪れた。
しかし、咲奈の答えは昨日と同じ。
「ごめんなさい! 私、早く行かなきゃ! 川端先輩に呼ばれているの!」
「また?」
「あ、えっと。そうなの。」
「また、お手伝いするの?」
「ごめんなさい! 急いでるから!!」
咲奈は千を振り切るように駆けて行った。
どうして、毎日のように咲奈は凰華の元へ行くのか。
そういえば、あまり放課後に彼女を教室で見たことはない。気にしていなかったから見えなかったとしても。
ただ、クラスメイトから逃げているだけの言い訳か。
それとも。
千は不可解になり、こっそり咲奈の後を追いかけて行った。
そして行き着いた先は、薔薇の温室。
こんなところに勝手に入っていいはずがない。ここは許された人しか入ることはできない。
ここに入るということは、やはり凰華の手伝いをしているのだろうか。
千は見つからないように、そっと温室に入ると咲奈を探す。
すると奥から何やら声が聞こえた。
「あ・・・っ。」
「咲奈、気持ちいい?」
咲奈ですって?
そして、この声は。
薔薇の茂みから千は覗き見る。
「な・・・!?」
千は大声をあげそうになって、慌てて自分の口を塞いだ。
千の目線の先には、川端凰華と三島咲奈がいた。
いや、いたというだけではない。
二人激しく抱き合っている。
「ん・・・っ、あ・・・。」
「可愛い。好き。」
制服も下着も、全て滅茶苦茶に脱がされて咲奈は凰華に抱かれている。
凰華は、咲奈の首筋を舐めるように口付けをしたり胸をまさぐったりして彼女を愛でる。
そして二人は、見ていると気がおかしくなりそうほどの熱く激しい口付けを交わす。
「どういうこと・・・?」
見られているとは知らず、二人の戯れは続く。
凰華は咲奈の手を取ると、彼女の手の甲を舐め上げる。
「もっと喘いで。私、ずっと咲奈をお茶会に呼ぶから。もっと聞かせて。」
そういうことなのか。
千は嫌悪の目で咲奈を見つめる。
これ以上いると我慢ができなくなりそうだと千はゆっくりその場を離れた。
「汚い子。そうやってお茶会に呼ばれるようにしていたのね。クラスではおとなしい子ぶって。気持ちの悪い。」
千は怒りのあまり震えだす。
「許せない。卑劣な手を使って川端先輩のお茶会に素知らぬ顔で参加して。みんなに見てもらえてない存在が、どうしてあの川端先輩に見られているの? 私のプライドを傷つけたなんて絶対に許さない。」
今すぐにでも咲奈を痛ぶって滅茶苦茶にして、懇願させたい。
謝らせたい。
そして、咲奈に代わって川端凰華のお茶会に参加して自分の方が咲奈よりも優れているということを見せつけたい。
あの川端凰華に見てもらいたい。
どれをとっても、身勝手であり歪んだ考え。
千を傷つけると全ての常識的な見解など消え失せる。
「でも、どうやって三島さんを貶めればいいのかしら・・・どうやって呼び出せば。」
誰にも気づかれないように二人で。
一番、三島咲奈に屈辱を与える方法。
千は考え込んだが、そんなこと彼女にとって答えを見つけるのに時間はかからなかった。
なぜなら。
「そうだわ、私は有能な主催者だから。普通に彼女を招待すればいいのだわ。彼女だってそれを望んでいたのだもの。」
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